ミオクロニー欠神てんかん
吉川 博昭

監修医師
吉川 博昭(医師)

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医学博士。日本ペインクリニック学会専門医、日本麻酔科学会専門医・指導医。研究分野は、整形外科疾患の痛みに関する予防器具の開発・監修、産業医学とメンタルヘルス、痛みに関する診療全般。

ミオクロニー欠神てんかんの概要

ミオクロニー欠神てんかんは、小児期に発症する「てんかん」の一種です。

ミオクロニー欠神てんかんでは、「ミオクロニー欠神発作」とよばれる、筋肉が規則的にピクッと動く攣縮(れんしゅく)とともに筋肉の硬直がおきる特徴的な発作がみられます。発作は上半身に起きることが多く、通常、さまざまなレベルの意識障害も伴います。

ミオクロニー欠神発作は、突然はじまり10秒から60秒ほど続いて、急におさまります。発作の頻度は1日に数回から数十回に及ぶこともあります。

平均の発症年齢は7歳とされていますが、生後11ヶ月〜12歳頃まで幅広く発症例が報告されています。小児期に発症するてんかんの中では、ミオクロニー欠神てんかんはまれな疾患に分類されており、厚生労働省の指定難病に登録されています。

ミオクロニー欠神てんかんの発症には、遺伝子の異常が関与していると考えられていますが、くわしい発症メカニズムは解明されていません。

治療の基本は、てんかん発作を抑制するための薬物療法です。しかし、治療の効果には個人差があり、完全に発作を抑えることが難しい場合もあります。一方で、継続的な治療によって長期間発作を抑えられるケースも報告されており、適切な治療と管理が重要です。
発作が続く場合は、日常生活や学業などの社会生活への影響を考慮しながら、適切な対応を行う必要があります。

ミオクロニー欠神てんかんの原因

現在までに、ミオクロニー欠神てんかんの原因は明らかになっていません。遺伝子の異常が関係しているとの見解もありますが、家族内で同じような症状をもつ人が報告されている症例は全体の一部に過ぎず、遺伝性の疾患であるという証拠はありません。

ミオクロニー欠神てんかんの多くは、複数の遺伝子異常や環境要因が複雑に関与して発症する可能性が高いと考えられています。

ミオクロニー欠神てんかんの前兆や初期症状について

ミオクロニー欠神てんかんには、特に前兆といえるものはありません。発症年齢は生後11ヶ月〜12歳ごろと幅広くなっていますが、平均の発症年齢は7歳と報告されています。

ミオクロニー欠神てんかんの主な症状はてんかん発作です。さまざまな程度の意識障害と、肩や腕を中心に筋肉が規則正しくピクッと動く「ミオクロニー性攣縮(れんしゅく)」、筋肉が自分の意思と関係なく収縮して硬直する「強直性収縮」を特徴とする「ミオクロニー欠神発作」がみられます。

ミオクロニー欠神発作では、けいれんを繰り返すにつれ、腕が次第に上がっていきます。通常は、肩や腕など上肢を中心にけいれんがみられることが多いとされています。しかし、下肢や全身のけいれんがみられるケースもあるため、発作時は転倒への注意が必要です。

ミオクロニー欠神発作は10〜60秒ほど続いたあと、突然終わることが一般的です。発作は1日に数回から、多いときには数十回を繰り返すことがあります。発作に伴う自律神経症状として呼吸の変化や尿失禁などがみられることもあります。

約半数の患者では発症時に何らかの発達の問題がみられます。知的障害は年齢とともに明らかになることが多く、最終的には全体の約70%の患者において知的障害が認められています。さらに、発達障害(自閉スペクトラム症、注意欠如多動性、発達性学習障害)や行動障害を伴うケースも報告されています。

ミオクロニー欠神てんかんの検査・診断

ミオクロニー欠神てんかんの診断は、発作の様子や頻度などの臨床症状、脳波検査(EEG)などをもとに行われます。とくに、特徴的な発作と脳波検査は診断の重要な材料となります。

ミオクロニー欠神てんかんに特徴的な発作(ミオクロニー欠神発作)がみられ、けいれんと連動する特徴的な波形(3Hz全般性棘徐波)が脳波検査で確認できれば、ミオクロニー欠神てんかんと診断される可能性が高くなります。

また、ほかの疾患の可能性を除外するために、MRIなどの画像検査や血液検査が実施されることもあります。

ミオクロニー欠神てんかんの治療

ミオクロニー欠神てんかんの治療には、主に抗てんかん薬が使用されます。薬剤によって発作の頻度を減らすことが期待できますが、すべての患者に同じ効果があるわけではなく、治療の効果には個人差があります。

治療が効きにくい疾患とされており、長期間の治療が必要になる場合もあります。しかし一部には長期的に発作を抑えられるケース(寛解)も報告されています。

ミオクロニー欠神てんかんになりやすい人・予防の方法

ミオクロニー欠神てんかんは、小児でみられるてんかんの中でも、まれな症例です。遺伝子異常が関わると考えられているものの、家族歴による発症は一部であり、どのような人がなりやすいかはわかっていません。

発症は男性のほうがやや多いとされており、早産で生まれた方や、妊娠中や出産後に障害(周産期障害)があった方、また、特定の遺伝子異常(14番染色体長腕部分トリソミー、12番染色体短腕トリソミー、アンジェルマン症候群、15番染色体逆位重複など)を持つ方において、ミオクロニー欠神てんかんの合併が報告されています。

ミオクロニー欠神てんかんの予防法も確立されていません。しかし、適切な治療を継続することで、ミオクロニー欠神てんかんの発作を長期間抑えることができる可能性があります。

ミオクロニー欠神発作があっても、通常の学校生活などを送ることもできると考えられています。ほかの子どもたちと同じように学び、友人との関わりを深めることは、発達のうえでも重要です。そのため、学校関係者と十分に話し合い、発作が起きた際の症状やリスク、緊急時の対応、連絡方法などを共有しておくことが大切です。


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