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性交痛
西野 枝里菜

監修医師
西野 枝里菜(医師)

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【経歴】
東京大学理学部生物学科卒
東京大学薬学部薬科学専攻修士課程卒
名古屋大学医学部医学科卒
JCHO東京新宿メディカルセンター初期研修
都立大塚病院産婦人科後期研修
久保田産婦人科病院
【保有資格】
産婦人科専門医
日本医師会認定産業医

性交痛の概要

性交痛は性行為中またはその後に感じる痛みであり、多くの人々に心身の不快感をもたらす問題です。この症状は、性的な経験を著しく損なうだけでなく、パートナーとの関係や自己評価にも影響を与えることがあります。どの年代でもあることですが、特に40歳代など更年期になると目立ってきます。問題として精神的なトラブルから性交痛に発展するケースがあり、なかなか親しい人にも相談ができないことも問題として挙げられています。

性交痛の原因

物理的原因

  • 腟の乾燥
    更年期にはエストロゲンの低下が原因で腟が乾燥し、性交時に痛みを感じることがあります。若い女性でも、授乳中や特定の薬の影響で同様の症状が出ることがあります。
  • 感染症
    真菌感染症や細菌性膣症など、膣内の感染は炎症を引き起こし、痛みの原因になります。これらの感染は、適切な治療で改善が期待できます。
  • 内部の構造的問題
    子宮内膜症や子宮筋腫など、生殖器内の病状が性交痛を引き起こすことがあります。

心理的原因

  • ストレスや不安
    精神的なストレスや不安も、無意識のうちに膣の筋肉を緊張させ、痛みを引き起こすことがあります。心理的な要因に対処することで、症状の改善が見込まれます。
  • 過去のトラウマ
    性的虐待の経験は、性行為に対して心理的な障壁を作り、痛みの原因となることがあります。専門のカウンセリングが有効であることが多い傾向です。

性交痛の前兆や初期症状について

性交痛の前兆

性交痛の前兆は、性行為を始める前にすでに感じることがあります。これには以下のような症状が含まれることがあります。

  • 膣の不快感
    性行為の前に膣入口付近に違和感や軽い痛みを感じることがあります。これは特に挿入を試みた際に明らかになることが多い傾向です。
  • 乾燥感
    膣の乾燥は性交時の摩擦を増し、痛みの原因となります。特にホルモンの変動が原因で起こることがあります。

初期症状

初期症状は、性行為中に特に顕著に現れることがあります。

  • 痛み
    挿入時や性行為中に感じる鋭い痛みや焼けるような痛みがあります。この痛みは、性行為が終わった後も続くことがあります。
  • 出血
    性行為後の軽い出血は、特に初めての性行為の際には起こる可能性があります。継続して起こる場合は異常な兆候であり、診察が必要です。

性交痛のときにはどの診療科を受診するべきか

まずは産婦人科を受診しましょう。皮膚疾患の場合には産婦人科で皮膚科の受診を勧められる可能性もあります。メンタルケアが必要な場合には産婦人科だけでなく精神科を受診することが必要になるケースが出てきます。

性交痛の検査・診断

性交痛の診断プロセス

性交痛の診断は、まず詳細な問診から始まります。医師は以下のような情報をヒアリングすることがあります。

  • 痛みの性質:痛みはどのような種類ですか?(焼けるような痛み、鋭い痛みなど)
  • 痛みのタイミング:性行為のどの段階で痛みが現れますか?(挿入時、性行為中、性行為後など)
  • 痛みの位置:痛みはどこに感じますか?(膣内、膣入口、深部など)
  • 痛みの頻度:どれくらいの頻度で痛みがありますか?
  • ほかの関連症状:出血やおりものの変化などほかに気になる症状はありますか?

検査方法

ヒアリングを終えると次のような検査が行われることがあります。

  • 婦人科的検査
    膣と外陰部の構造を評価するための身体検査を行います。この検査により、感染症、炎症、潰瘍など物理的な異常がないか確認します。
  • パップテスト
    異常な細胞がないか調べるため、膣内の細胞を採取します。これは特に、HPV感染症のスクリーニングに有効です。
  • 超音波検査
    子宮や卵巣の異常(筋腫や卵巣嚢腫など)を確認するために行われることがあります。
  • STD検査
    性感染症が性交痛の原因となる場合があるため、クラミジアや淋病などの検査を行うことがあります。

診断後の対応

診断結果に基づき、個々の状況に適した治療計画が立案されます。治療は薬物療法、局部療法、場合によってはカウンセリングを含むこともあります。性交痛の原因が心理的なものである場合は、セラピーやカウンセリングが推奨されることもあります。

性交痛の治療

物理的要因に対する治療

  • 潤滑剤の使用
    膣乾燥が原因の場合、水溶性の潤滑剤の使用が推奨されます。これにより、摩擦を減少させ、痛みを軽減します。
  • 局所エストロゲン療法
    閉経後の女性でエストロゲンの低下が原因の場合、膣クリームやリングを使用してエストロゲンを局所的に補うことが効果的です。
  • 物理療法
    骨盤底筋の過緊張が原因の場合、骨盤底筋のリラクゼーションやストレッチングが推奨されます。

感染症の治療

  • 抗生物質または抗真菌薬
    性感染症が原因の場合、適切な抗生物質や抗真菌薬の処方が必要です。

心理的要因に対する治療

  • カウンセリング
    心理的な障壁や過去のトラウマが原因の場合、カウンセリングやセラピーが大いに役立ちます。セラピストは、これらの問題を解決するための技術や戦略を提供します。
  • リラクゼーション
    ストレスや不安が原因の場合、マインドフルネスやリラクゼーション技法が症状の管理に役立つことがあります。

総合的なアプローチ

性交痛の治療は、患者さんの生活の質を向上させるために、複数の専門家が協力することが理想的です。婦人科医、泌尿器科医、臨床心理士などがチームを組むことで、患者さんに最適なサポートを提供できます。

性交痛はとても個人的な問題であるため、開かれたコミュニケーションと共感的なアプローチが治療の成功には欠かせません。症状に対して積極的に対処して、周りの方も理解や配慮をしていくべきでしょう。

性交痛になりやすい人・予防の方法

性交痛になりやすい人の特徴

  • ホルモン変動がある女性
    閉経期の女性や妊娠、授乳期の女性はホルモンバランスの変化により、膣の乾燥や組織の脆弱化が生じやすくなります。
  • 感染症の経験がある女性
    膣感染症や性感染症の経験がある人は、再発や持続的な炎症により性交痛を経験しやすいです。
  • 心理的ストレスを抱えている人
    心理的な不安やストレス、過去の性的トラウマがある人は、緊張により性交時の痛みを感じることがあります。

予防方法

  • 適切な潤滑剤の使用
    にホルモンの変動による乾燥が原因の場合、水溶性の潤滑剤を使用することで摩擦を減少させ、痛みを軽減することができます。
  • 定期的な婦人科検診
    感染症やその他の婦人科的問題を早期に発見し治療することで、性交痛のリスクを低減できます。年1回の婦人科訪問は健康な性生活を維持するのに役立ちます。
  • リラクゼーション技術の学習
    瞑想、深呼吸、ヨガなどのリラクゼーション技術を身につけることで、心理的な緊張を緩和し、性行為中のリラックスを助けることができます。
  • パートナーとのコミュニケーション
    性行為においては、パートナーとのオープンなコミュニケーションが大変重要です。不快感や痛みを感じた場合には、それを伝え、共に解決策を見つけることが大切です。

性交痛は適切な対策を講じることで管理しやすくなる場合が多いようです。万一症状が続く場合には、専門の医療提供者に相談し、適切な治療を受けることをおすすめします。

人には相談しにくい内容かもしれませんが、重症にならないためにも早めの受診を心掛けるようにしましょう。

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