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切迫早産
西野 枝里菜

監修医師
西野 枝里菜(医師)

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【経歴】
東京大学理学部生物学科卒
東京大学薬学部薬科学専攻修士課程卒
名古屋大学医学部医学科卒
JCHO東京新宿メディカルセンター初期研修
都立大塚病院産婦人科後期研修
久保田産婦人科病院
【保有資格】
産婦人科専門医
日本医師会認定産業医

切迫早産の概要

切迫早産とは、「妊娠22週以降妊娠37週未満に下腹痛や性器出血、破水などの症状に加えて規則的な子宮収縮があり、内診で子宮頸管の短縮や子宮口が開いている状態」のことです。つまり、早産の危険性が高まっている状態をいいます。
破水とは、子宮内で胎児を包んでいる膜が破れてしまった結果、羊水が流出してしまう状態を指します。羊水の量が減ることで赤ちゃんが圧迫される危険性があります。

治療には子宮収縮抑制薬を使用して、子宮収縮を抑え、症状の悪化を防ぎます。また、細菌感染が疑われる患者さんには抗菌薬を投薬します。一般的には、子宮収縮が軽度で、子宮頸管の短縮や子宮口の開大がない場合は、外来通院による治療が行われます。一方で収縮が強く、頸管短縮や子宮口の開大が進行している場合は、入院して点滴治療を行います。妊娠週数や症状の程度を総合的に判断し、治療が決定されるのです。赤ちゃんの肺の発達を助けるために、ステロイドを母体に投薬する場合もあります。

切迫早産の原因

切迫早産は、早産の危険性が高まっている状態を指します。ここでは、切迫早産の主な原因を説明します。

感染

切迫早産の原因として多いのが感染です。膣や子宮内に細菌が侵入し、子宮内感染を引き起こすと、炎症が進行し絨毛膜羊膜炎になることがあります。感染によるおりものの色や臭いの変化が見られた場合は、医師への相談が大切です。

子宮頸管無力症

子宮頸管無力症は、子宮頸管がやわらかく、赤ちゃんを支える力が弱くなっている状態です。この状態では、子宮頸管が無自覚のうちに開いてしまい、早産のリスクが高まります。治療には、子宮頸管を縛る子宮頸管縫縮術が行われます。

子宮や胎盤の異常

子宮の形状異常や子宮筋腫、前置胎盤や常位胎盤早期剥離などの胎盤の位置異常は、切迫早産のリスクを高めます。異常がある場合は、医師の監督下で適切な管理が必要です。

多胎妊娠

双子や三つ子などの多胎妊娠は、子宮にかかる圧力が増大し、切迫早産の可能性が高くなります。妊娠中期以降にお腹が急激に大きくなるため、お腹の張りに注意が必要です。

胎児の異常

胎児発育不全胎児機能不全など、胎児の成長や健康状態に異常がある場合も、切迫早産のリスクが高まります。これらの異常は母体の妊娠合併症や生活習慣、胎児の染色体異常などが原因と考えられます。

生活習慣と環境

母体の健康状態は胎児にも影響を与えます。妊娠中の喫煙、不十分な栄養摂取、過度な体重の増減、極端な身体活動、精神的ストレスなどが切迫早産を引き起こす要因となることがあります。妊娠中はあらゆるリスク要因に注意し、定期的な検診を受けることが推奨されます。

切迫早産のリスクを軽減するためには、定期的な妊婦健診と適切な生活習慣が大切です。

切迫早産の前兆や初期症状について

切迫早産の代表的な症状は、お腹の張りや痛みです。お腹の張りや痛みは子宮収縮により引き起こされ、お腹の張りが頻繁に規則的に起こる場合は、切迫早産の可能性が高くなります。安静にしてもお腹の張りが治まらない、もしくは増加する場合は、受診が必要です。

性器出血もよく見られる症状です。出血の量や程度はさまざまで、切迫早産につながるものもあれば、そうでないものもあります。性器出血が見られる場合は、治療が必要な出血かどうか判断するため、産婦人科への受診が推奨されます。

おりものの異常も切迫早産の前兆として大切です。おりものが突然増加したり、異常な色や臭いがする場合は、感染症の可能性があります。感染が進行すると、絨毛膜羊膜炎などの重篤な状態を引き起こし、切迫早産のリスクが高まります

破水が先行する場合もあり、破水は胎児を保護する羊水が流出する状態です。破水が続くと細菌感染や羊水の減少により胎児が圧迫されるリスクがあるため、早急な医療機関での受診が大切です。さらに、感染が背景にある場合、発熱を伴うこともあります。これも切迫早産の兆候となりうるため、発熱が続く場合は医師への相談が大切です。

切迫早産の症状が見られた場合、速やかに産婦人科を受診してください。妊婦健診では、内診や超音波検査を通じて早産の兆候がないかを確認します。定期的な妊婦健診を受けることで、早期に異常を発見し、適切な対策につながります。

切迫早産の検査・診断

切迫早産の疑いがある場合、迅速な診断と適切な治療が必要です。まず、内診が行われ、子宮頸管の状態を確認します。子宮口が開いていないか、子宮頸管が軟らかくなっていないか、胎児が下降していないかを評価します。これにより、早産のリスクを判断します。

次に、胎児心拍数陣痛図を使用して子宮収縮の頻度や持続時間を観察します。子宮収縮が頻繁で強い場合は、早産の危険性が高いとされます。この検査により、収縮の強さと間隔を詳しく評価します。

切迫早産の検査と診断は、母子の健康を守るためにとても大切です。早期に適切な診断を受けることで、早産のリスクを軽減し、安定した妊娠期間を過ごせるでしょう。

切迫早産の治療

切迫早産の治療は、早産の危険性を減らし、胎児の成長期間を延ばすことを目的とします。まず、治療の基本は安静です。軽度の場合、自宅での安静が推奨され、重いものを持たない、長時間の移動を避けるなどの注意が必要です。

安静にしても張りが治まらない場合は、子宮収縮抑制薬を使用します。内服薬と点滴薬があり、塩酸リトドリンや硫酸マグネシウムが主に使用されます。細菌感染の場合、抗生剤も併用します。子宮口があまり開いていない場合は、外来通院で治療を行います。

また、子宮収縮が強く、子宮口が開いている場合は入院が必要です。入院中は安静を保ち、子宮収縮抑制薬の点滴治療を行います。破水がある場合は妊娠週数により対応が異なります。34週未満の前期破水の場合、抗菌薬を投薬し感染を抑えつつ妊娠の継続を目指します。34週以降の前期破水の場合は、分娩誘発を行うか、陣痛を待ちます。

重度の場合、早産が避けられないと判断されると、新生児集中治療室がある病院へ搬送されます。

切迫早産の治療は母体と胎児の健康を守るために大切です。早期に適切な治療を受けることで、早産のリスクを減らし、胎児の成長をサポートします。

切迫早産になりやすい人・予防の方法

切迫早産になりやすい人にはいくつかの特徴があります。まず、これまでの妊娠で早産になったことがある方は、切迫早産になりやすいとされています。また、過度のストレスや長時間の労働、重い荷物を持つこともリスクを高めます。妊娠中は禁煙し、感染症に気をつけることも大切です。

切迫早産を予防するためには、生活習慣の見直しが大切です。重い荷物を持たない、働きすぎない、妊娠中は禁煙する、栄養バランスの取れた食事を心がけ、適切な体重管理を行う、十分な睡眠を取る、規則正しい生活を送ることが推奨されます。

妊娠中のダイエットや急激な体重増加を避けることも予防につながります。穏やかに過ごし、感染に気をつけ、適切な体重増加量を目指しましょう。

生活習慣を見直し、必要に応じて医師のアドバイスを求めることが大切です。

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