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箕浦 千佳

監修歯科医師
箕浦 千佳(歯科医師)

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朝日大学歯学部卒業 。現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務。専門は一般歯科、矯正歯科。

舌痛症の概要

舌痛症は、舌に痛みや不快感を感じる状態を指します。これは、舌に明確な傷や病変が見られないにも関わらず、痛みや焼けるような感覚ピリピリとした感じが持続することが特徴です。
舌痛症は特に中高年の女性に多く見られることが知られていますが、年齢や性別を問わずに発症します。
舌痛症の原因は多岐にわたり、口腔乾燥、ホルモンの変動、栄養不足、ストレス、またはアレルギー反応などが含まれます。たとえば、ビタミンB群の不足が起こると、口角炎・口内炎を含む多くの症状が引き起こされ、舌痛症につながることがあります。
また、歯科材料(金やチタン合金、石こう、セメントなど)やある種の食品に対する過敏性が原因で、舌に痛みが発生することもあります。

舌痛症の原因

主な原因の一つは、栄養不足です。特に、ビタミンB群(ビタミンB12、葉酸、B6)の不足が関連していることがあります。これらのビタミンは、口内の健康を維持するために重要で、不足すると舌の表面が平滑になったり、炎症を引き起こすことがあります。

口腔乾燥も舌痛症を引き起こす一因とされています。唾液が減少すると、口内の生理的な洗浄作用が低下し、舌が乾燥して敏感になります。これは、特に高齢者や特定の薬剤(抗ヒスタミン薬や抗うつ薬など)を使用している方に見られます。

また、精神的なストレスも舌の痛みに影響を及ぼすことが知られています。ストレスは体全体の緊張を高め、これが口内の筋肉や神経に影響を与えることがあります。

口腔内の炎症、例えば舌炎や口内炎も舌痛の原因となり得ます。これらは口内のバクテリアの異常増殖や外傷によって引き起こされることが多く、痛みや不快感を伴います。

さらに、アレルギー反応も原因の一つです。特定の食品や歯科材料、口腔ケア製品に対する反応が舌の痛みを引き起こすことがあります。食品では特に辛いもの、酸っぱいもの、非常に温かい食べ物が該当することが多いです。

舌痛症の前兆や初期症状について

舌痛症の初期症状は、しばしば舌における違和感や軽い痛みから始まります。この段階では、舌を動かしたときや食事中に軽いピリピリ感、焼けるような感覚、あるいはチクチクするような感覚が起こることがあります。これらの症状は、特に辛いものや酸っぱいものを食べた時に顕著になることが多いです。

また、舌の表面に異常を感じることもあります。舌が異常に滑らかに感じられる、あるいは逆に異常にざらざらしている感じがすることも、舌痛症の初期症状の一つです。これは、舌の表面の小さな突起(味蕾)が正常に機能していないことが原因で起こる場合があります。

口腔内の乾燥も舌痛症の一般的な前兆です。十分な唾液が分泌されていない場合、舌は乾燥して敏感になり、食べ物や飲み物が直接舌に触れたときの不快感が増します。これが続くと、痛みが強まることがあります。

初期症状に気づいたらどうするか

まず、口内を清潔に保つことが大切です。着色料の無い歯磨き粉を使用し、刺激の少ない口内洗浄液で定期的にすすぐと良いでしょう。これにより、舌の刺激を減らすことができます。

また、食事では辛いものや非常に熱いもの、酸っぱいものを避けることが重要です。これらの食べ物は舌を刺激し、症状を悪化させることがあります。代わりに、温かく柔らかい食事を心がけ、舌に優しい食環境を作りましょう。

水分補給も重要です。十分な水分を摂ることで、口内が乾燥するのを防ぎ、舌の不快感を軽減することができます。

ストレスは症状を悪化させることがあるため、リラクゼーション技術を身につけ、日常的にストレスを管理することもおすすめします。

より気になる方は歯医者に受診を検討したり、かかりつけのクリニック(一般内科や漢方内科)を受診することも推奨します。

舌痛症の検査・診断

①視診と問診

まずは、医師が舌と口腔の状態を観察し、舌の色、形、表面の状態を確認します。患者さんの症状や、いつどのようにして痛みが発生するかについて詳しく問診をします。これにより、外的な刺激や内的な疾患が原因かどうかの初期判断が可能となります。

②血液検査

ビタミン不足や鉄分不足が症状の原因である可能性を排除するために、血液検査を行うことがあります。また、炎症マーカーや特定の抗体の検査を通じて、自己免疫疾患が関与しているかも調べられます。

③アレルギーテスト

特定の食品や口腔ケア製品によるアレルギー反応が舌の痛みの原因である場合、アレルギーテストを行うことがあります。このテストにより、どの物質に対して過敏反応を示しているのか特定することができます。

④組織生検

見た目に異常が認められる場合や、病変が疑われる場合は、舌の一部の組織を採取して詳細な検査を行います。これにより、がんなどの重篤な疾患を除外または確認することができます。

これらの検査を行うことで、舌痛症の正確な原因を突き止め、最適な治療方法を選択するための情報を得ることができます。

舌痛症の治療

舌痛症が口腔乾燥によるものであれば、十分な水分摂取や唾液の分泌を促進する薬剤が処方されることがあります。また、無糖のガムを噛むことも助けになります。

精神的な要因が大きい場合は、ストレス管理が治療の鍵となります。リラクゼーション法を学ぶ、趣味の時間を持つ、または必要に応じて心理療法を受けることが推奨されます。

アレルギーが原因の一つと考えられる場合は、特定の食品や化学物質を避けることが有効です。アレルゲン特定のためのテストを行い、その結果に基づいて避けるべきものを明確にすることが重要です。

さらに、舌の痛みが特に強い場合には、局所的に使用する麻酔薬や痛み止め薬が処方されることもあります。これらの薬は、舌の痛みを直接和らげることで、日常生活の質を向上させる助けとなります。

舌痛症になりやすい人・予防の方法

舌痛症になりやすい人の特徴

栄養不足
特にビタミンB群や鉄分が不足している人は、舌痛症を発症しやすいです。

口腔乾燥症の方
唾液の分泌が少ない人は、舌が乾燥しやすく、痛みが生じやすい状態になります。

ストレスが多い生活を送っている人
精神的なストレスは全身に影響を及ぼし、舌の痛みを引き起こすことがあります。

刺激的な食事を好む人
辛い物や酸っぱい物、非常に温かい食べ物は舌を刺激し、痛みの原因となることがあります。

予防方法

バランスの良い食事
ビタミンB群や鉄分、亜鉛を含む食品を意識的に摂取しましょう。これには、肉類、魚類、全粒穀物、野菜などが含まれます。
十分な水分摂取
水分を適切に摂取することで、口腔内を潤し、乾燥を防ぐことができます。
ストレス管理
定期的なリラクゼーションや適度な運動、趣味の時間を持つことで、ストレスを軽減できます。
口内の清潔
毎日の歯磨きや定期的な歯科検診を受け、口腔衛生を保つことが大切です。

心理的なサポートも重要です。ストレスが症状を悪化させることがあるため、リラクゼーション法を学ぶ、適度な運動を取り入れる、趣味や社会活動に参加することで、精神的な健康を保ちましょう。

最後に、舌痛症の治療は個人差があるため、治療法がすぐに効果を示さない場合もあります。医師との定期的な相談を通じて、症状に合わせた最適な治療計画を練ることが、回復への道を開く鍵となります。

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