花粉症の治し方とは?原因や治療法について解説
花粉症でつらい思いをしていませんか?
本記事では、花粉症の治し方について以下の点を中心にご紹介します!
・花粉症の原因
・花粉症の治療法
・花粉症の予防法
花粉症で苦しんでいる方、花粉症を予防したい方はご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
そもそも花粉症とは
花粉症は、春や秋に植物の花粉が飛散することで引き起こされるアレルギー性疾患の1種で、日本では約60種類の植物が原因とされています。
代表的な原因物質には、スギやヒノキなどの針葉樹やブタクサ、ヨモギなどの雑草があります。
症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみや充血、喉のかゆみなどがあり、重症化すると喘息の発作を起こすこともあります。
花粉症と同様の症状を季節性アレルギー性鼻炎と呼び、これは特定の原因物質に限定されず、春や秋の季節になると発症する症状を指します。
花粉症の原因
花粉症の原因について、鼻の症状と目の症状に分けて解説していきます。
鼻の場合
花粉症で鼻に症状が出るのは、花粉が鼻の細胞内のマスト細胞に付着することで引き起こされるためです。
具体的には、花粉が鼻の粘膜に入り込むと、粘膜の細胞がヒスタミンや好中球などの化学物質を放出します。
これらの化学物質が血管を拡張させ、粘膜に炎症を起こして鼻水やくしゃみ、鼻づまりなどの症状が現れます。
また、鼻腔内にある上皮細胞と呼ばれる細胞が、花粉に過剰に反応することによって、アレルギー症状が起こるとされています。
上皮細胞は、花粉が粘膜に付着すると、抗原として認識し、アレルギー反応を引き起こす物質を放出します。
この物質が炎症を引き起こすので、鼻づまりや鼻水、くしゃみなどの症状が現れると考えられています。
花粉症による症状は、花粉の種類や濃度、個人の免疫状態によっても異なるため、個人差があります。
目の場合
花粉症における目の症状は、花粉が目の粘膜内のマスト細胞に付着することで引き起こされます。
花粉がマスト細胞に付着すると、マスト細胞が持つ顆粒からヒスタミンなどの物質が放出されます。
これらの物質が、目の神経や血管を刺激して、目の症状を引き起こします。
これらの症状は、ヒスタミンが引き起こす血管拡張や血管透過性の増加によって生じます。
また、ヒスタミンなどの物質が、目の粘膜を刺激することで、目のかゆみや涙目などの症状を引き起こすことが知られています。
このように、花粉がマスト細胞に作用することで、目の症状が発生する仕組みとなっています。
花粉症の目の症状を悪化させる行動には、目をこすってしまったり、コンタクトレンズをつけたまま寝たり、スマートフォンやパソコンを長時間使用することがあります。
これらの行動は、目の表面に刺激物が付着し、炎症を引き起こすことがあるため、避けることが重要です。
花粉症のときは、特に目が疲れやすく、乾燥しやすいため、加湿器を使用するなどして、空気の乾燥を防ぐことが大切です。
花粉症の治療法
花粉症の治療法について、対症療法と根治療法に分けてご紹介します。
花粉症の治し方①:対症療法
飲み薬:
市販の抗ヒスタミン薬や鼻炎薬などを服用することで、症状を緩和することができます。
目薬:
目のかゆみや充血を緩和する目薬があります。市販のものもありますが、症状がひどい場合は医師の処方が必要です。
鼻スプレー:
鼻づまりを解消するための鼻スプレーがあります。市販のものもありますが、症状がひどい場合は医師の処方が必要です。
マスク:
外出時にマスクを着用することで、花粉の吸入を防ぐことができます。花粉症用のマスクも販売されています。
エアコン:
室内にエアコンを設置することで、花粉の飛散を抑えることができます。ただし、エアコンのフィルターは定期的に清掃する必要があります。
温湿布:
鼻づまりを緩和するために、鼻の下や首に温湿布を貼ると効果的です。
禁煙:
タバコを吸うと、花粉症の症状が悪化することがあります。喫煙者は禁煙することで、症状を軽減することができます。
症状がひどい場合や上記の方法で症状が改善されない場合は、医師に相談しましょう。
花粉症の治し方②:根治療法
花粉症の根治療法には、アレルゲン免疫療法があります。
花粉症の舌下療法とは、舌下免疫療法(SLIT)とも呼ばれ、アレルゲン(花粉)の抗原を舌下粘膜に滴下することで、徐々に免疫力を高め、花粉症の症状を緩和する治療法です。
この方法は欧米を中心に長年使用されており、安全性が高く、治療効果が高いことが知られています。
舌下療法は、まず専門医によるアレルギー検査を受け、アレルギーの原因となる花粉が特定されたら、その花粉に対する抗原液を舌下に滴下することから始まります。
初回は医療機関で受け、その後は自宅で定期的に行います。
通常は、治療開始前に抗原液の希釈率を調整し、徐々に濃度を上げていきます。
治療期間は、3年以上とされています。
症状の程度や個人差によって、効果が出るまでの期間は異なりますが、治療を継続することで、花粉症の症状が緩和される場合があります。
舌下療法は、アレルギーの原因となる花粉の種類を特定し、医師の指導の下で正しく行うことが重要です。
また、医師に相談することなく自己判断で行うことは危険ですので、治療には必ず医師の指導を受けるようにしましょう。
花粉症の治し方③:鼻腔粘膜焼灼術(レーザー治療)
鼻腔粘膜焼灼術(レーザー治療)は、花粉症の症状を緩和するために、鼻腔内の粘膜をレーザーで焼灼する手術です。
以下に手術の流れと効果について詳しく説明します。
【手術の流れ】
麻酔を行う – 麻酔薬を使用して、局所麻酔を行います。
鼻腔内に光ファイバーを挿入 – 鼻腔内に光ファイバーを挿入し、レーザーの光を照射します。
粘膜を焼灼 – レーザーの光によって、鼻腔内の粘膜を焼灼します。
手術終了 – 手術が終了したら、麻酔から覚めた患者さんは、そのまま帰宅することができます。
【効果】
鼻腔粘膜焼灼術は、花粉症によって起こる鼻汁や鼻づまりの緩和に効果があります。
レーザーによって、鼻腔内の粘膜を熱で焼灼することで、炎症を抑え、アレルギー反応を緩和する効果があります。
ただし、効果は個人差があり、完全に症状を取り除くことはできない場合があります。
また、鼻腔粘膜焼灼術は、比較的簡単な手術であり、麻酔を行っているため、痛みはほとんどありません。
ただし、手術後に鼻血が出ることがありますので、注意が必要です。
花粉症の予防法
花粉症の予防法について、食事編と生活習慣編に分けてお伝えします。
花粉症の予防法①:食事編
オメガ3脂肪酸を多く含む食品:
オメガ3脂肪酸は、炎症を抑える効果があるため、花粉症の症状を軽減するのに効果的です。
代表的な食品としては、青魚(サケ、マグロ、サバなど)、えごま油、亜麻仁油などがあります。
ビタミンCを多く含む食品:
ビタミンCは、炎症を抑える効果があり、抗酸化作用によって免疫力を高めることができます。
代表的な食品としては、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、キウイフルーツ、ブロッコリー、トマト、赤ピーマンなどがあります。
ポリフェノールを多く含む食品:
ポリフェノールには、アレルギー反応を抑える効果があり、花粉症の症状を軽減するのに効果的です。
代表的な食品としては、紅茶、緑茶、ココア、ブルーベリー、いちご、リンゴ、グレープなどがあります。
発酵食品:
発酵食品には、免疫力を高める効果があるため、花粉症の症状を軽減するのに効果的です。
代表的な食品としては、納豆、味噌、酢、ヨーグルト、キムチなどがあります。
ハチミツ:
ハチミツには、花粉症の症状を軽減する効果があります。
ハチミツには、花粉が含まれているため、花粉症の症状を和らげる効果が期待できます。
ただし、糖分を多く含むため、過剰摂取には注意が必要です。
一方で、花粉症の症状を悪化させる可能性がある食品も存在します。
例えば、トマト、メロン、スイカなどの果物に含まれるタンパク質や酵素が、花粉と交差反応を引き起こしてアレルギー症状を悪化させることがあります。
また、ジャンクフードや加工食品に含まれる添加物や保存料なども、免疫システムを刺激して花粉症の症状を悪化させる可能性があります。
花粉症の予防法②:飲み物編
ビタミンCを含む飲み物:
ビタミンCには、アレルギー反応を鎮める作用があるとされています。
ローズヒップティー:
ローズヒップにはビタミンCが豊富に含まれており、抗炎症作用もあるとされています。
ジンジャーティー:
ジンジャーに含まれる成分には、抗炎症作用があるとされています。
緑茶:緑茶には、カテキンという成分が含まれており、アレルギー反応を抑制する作用があるとされています。
花粉症の予防法②:その他生活習慣編
花粉症予防には、空気清浄機を活用して花粉の飛散を防ぐことが大切です。
また、外出時には眼鏡やマスクを着用し、花粉との直接接触を避けるようにしましょう。
衣服も花粉が付着しにくい素材を選ぶことが望ましいです。
花粉飛散期前には、医師から処方された薬を事前に飲むことも有効です。
また、花粉症に悩まされる人は、室内にこもりがちになりがちですが、部屋を十分に換気することも大切です。
これらの対策を継続的に実践することで、花粉症の症状を軽減できます。
自分でできる花粉症対策方法
自分でできる花粉症の症状を軽くする方法を紹介いたします。
花粉を吸わない
マスクの着用:
花粉が口や鼻に入るのを防ぐために、マスクを着用しましょう。
マスクは、花粉症用の専用のものや、一般的な使い捨てのマスクでも効果があります。
ただし、マスクを着用すると息苦しく感じる場合があるため、自分に合ったタイプを選ぶようにしましょう。
空気清浄機の使用:
部屋の空気をきれいにすることで、花粉を取り除くことができます。
空気清浄機を使うことで、花粉を取り除くだけでなく、その他のアレルゲンも除去することができます。
花粉をつけない
アレルギー対策グッズの使用:
花粉症に効果のあるグッズも販売されています。
例えば、花粉を捕捉するフィルターを付けた空気清浄機や、花粉を防ぐためのカーテン、マスクなどがあります。
また、アレルギー用の目薬や鼻炎薬も効果的です。
窓を閉める:
花粉の季節には、窓を閉めて室内の空気をきれいに保ちましょう。
外気を取り入れることで、室内に花粉を取り込んでしまうため、窓を閉めることが重要です。
窓を開けたい場合は、花粉用のフィルターが付いた窓用エアコンを利用するのも一つの方法です。
花粉を持ち込まない
外出時の対策:
外出時には、帽子やサングラスを着用することで、目や髪につく花粉を防ぐことができます。
また、帰宅後は、外で着用した衣類をすぐに脱いで洗濯するようにしましょう。
外出後には手洗いをする:
外出後には手洗いをすることで、服や髪についた花粉を落としましょう。
特に、外出後は手洗いだけでなく、うがいも併せて行うと、口や喉に残った花粉を取り除くことができます。
まとめ
ここまで花粉症の予防法や治し方についてお伝えしてきました。
花粉症の治し方の要点をまとめると以下の通りです。
・花粉症の症状は、花粉がマスト細胞に付着し、目や鼻の神経を刺激することでわらわれる
・花粉症の治療法には、対症療法と根治療法があり、自分に合った治療法を見つけることが大切
・花粉症は普段の食事や生活習慣に気をつけることで予防できる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献