めまいはどうして起こるの?ふわふわ・ぐるぐるへの対処法!

公開日:2020/08/12  更新日:2020/08/19
この記事の監修医師
稲葉 岳也 (いなばクリニック 院長)

めまいの原因やめまいを伴う病気

1.耳石

めまいの症状のうち、およそ半分程度は「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」によるものであり、これは耳の中にある「耳石」という小さな石が原因で起こります。

耳石は耳の奥にある内耳の中の耳石器という器官にあり、頭が傾くと耳石器の中の耳石が移動します。

この耳石の動きを感覚細胞が読み取って平衡感覚として脳に送られ、目から入る情報と併せて体のバランスを取っているのです。

しかし、この耳石が老化や頭部への衝撃などが原因ではがれ落ち、耳石とつながる三半規管へと入り込んでしまうことがあります。

三半規管の内部はリンパ液で満たされており、このリンパの流れをクプラという構造物が感知することで脳は頭が動いたということを判断するのです。

しかし、はがれ落ちた耳石が三半規管に入り込んでしまうとリンパの流れが乱れ、例えば頭の動きが止まっても「まだ頭が動いている」という間違った情報が脳に送られてしまいます。

このように、実際の頭の動きと脳に送られた情報に差異があると、めまいが起こってしまうのです。

耳石はホルモンバランスの乱れによってもろくはがれやすくなってしまうため、「良性発作性頭位めまい症」は中高年の女性に起こりやすいと言われています。

また、運動不足の人も「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」が起こりやすいと考えられます。

耳石は小さな粒の集まりなので、たとえ三半規管に入ってしまっても体を動かしているうちに砕けてしまいリンパの流れを大きく乱すようなことはほとんどありません。

しかし運動不足の人の場合は耳石が砕ける機会が少ないので、めまいが起こりやすくなってしまうのです。

2.血流の悪さ

めまいは大きく分けると「内耳に原因があるめまい」と「脳に原因があるめまい」の2種類がありますが、血流の悪さはどちらのめまいにも関わってきます。

まず「血流の悪さが原因で起こる内耳に関するめまい」ですが、内耳は先程も説明した通り耳の一番奥にある器官で内部はリンパ液で満たされています。

血流が悪くなるとリンパ液の流れが悪くなって内耳にリンパ液が溜まり、内耳がむくみます。

いわゆる「耳がふさがれた」状態になってしまうため、平衡感覚やバランス感覚が狂ってめまいが起こってしまうのです。

次に、「血流の悪さが原因で起こる脳に関するめまい」についてです。

脳に向かって走る動脈は「内頸動脈」と「椎骨動脈」が2本ずつあり、そのうちの椎骨動脈は首の後ろ側を通って脳にいったあと1本の脳底動脈になります。

脳底動脈は平衡感覚に関わっている小脳や脳幹にも血液を送っているので、血流が悪くなることで小脳や脳幹への血流が滞るとめまいが起こってしまうのです。

3.更年期障害

更年期のめまいは、実は多くの女性が経験していることなのです。

なぜ更年期にめまいが起こるのかというと、そもそも更年期障害とは女性ホルモンが急激に減ってしまい、ホルモンのバランスが崩れてしまうことが原因で起こる障害なのです。

更年期にホルモンが減ってしまうことで、脳内での自律神経のコントロールがうまくいかなくなってしまうことがあります。

そしてめまいは、目や耳から入ってきた情報を脳が即座に処理できないことで起こります。

自律神経のコントロールがうまくいかなくなってしまうことで、脳が情報を処理できなくなるのでめまいが起こってしまうのです。

また、ホルモンの減少で血流が悪くなってしまうことや、体の老化により三半規管でバランスを上手に取れなくなってしまうことも、更年期のめまいに拍車をかけています。

4.内耳炎・慢性中耳炎

人の耳は、外側から奥に向かって外耳・中耳・内耳という構造になっています。

「中耳炎」という病名は比較的よく聞きますが、さらに内側にある内耳が炎症を起こしてしまうのが「内耳炎」です。

内耳炎になると、めまいや耳鳴りなどの症状が現れてしまいます。

内耳は耳の一番奥にあるので、耳の穴から入ってきた細菌やウイルスに感染してしまうことはありません。

では、なぜ内耳炎になってしまうのかというと、中耳炎を放置して鼓膜に開いた穴が塞がらず慢性中耳炎の状態になってしまうことが原因です。

慢性中耳炎にはいくつかの種類がありますが、耳内部の組織が腫れて肉芽ができる「真珠腫性中耳炎」を併発してしまうと内耳骨が破壊されて内耳まで細菌やウイルスが侵入してしまい、内耳炎になってしまうことがあるのです。

5.メニエール病

メニエール病は自分や周りがグルグル回るようなめまいと片方の耳に起こる耳鳴り、そして難聴の3つの症状が出るのが特徴の病気であり、強い吐き気や嘔吐が起こることも多い病気です。

メニエール病は「内リンパ水腫(内耳のリンパが増えて内耳がむくんでしまった状態)」が原因で起こります。

内リンパ水腫になる理由ははっきりと解かってはいませんが、過労やストレスが引き金になっているのでは、と言われています。

めまいといえばメニエール病、というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、メニエール病の場合はめまいが10分~数時間程度と続くという特徴があります。

数秒~数分程度の短いめまいの場合は、メニエール病ではないケースがほとんどです。

メニエール病は危険な病気ではありませんが診断が難しい上に治りにくく、放置すると耳鳴りや難聴が進行してしまう厄介な病気です。

6.突発性難聴

突然、片耳に強い耳鳴りと難聴が起こる病気であり、半数程度の人はグルグルと回るめまいの症状も出ます。

40~50代に多いと言われていますが、最近では若い人の発症も増えているのだとか。

突発性難聴を治すためには一刻も早く治療を開始する必要があり、できれば48時間以内、遅くとも2週間以内には耳鼻科を受診することが望まれます。

ただし、治療をしても確実に治るわけではなく、完治する確率は約3分の1程度であると考えられています。

重い場合は片耳が全く聞こえなくなってしまうこともあるので、「突然、片耳の聞こえが悪くなった」という場合は早めに耳鼻科を受診しましょう。

7.高血圧症

最高血圧140mmHg以上、最低血圧90mmHg以上が続く状態を高血圧症といいます。

高血圧症の段階でめまいなどの症状が出ることもありますが、自覚症状がないケースも多いです。

ただし、高血圧を放置して脳梗塞や脳出血を起こしてしまうと体や頭がふわふわするような危険なめまいを起こしやすくなるので要注意です。

また、高血圧症治療のための降圧剤が効きすぎて血圧が急激に下がってしまうと、目の前が激しくグルグルと回るようなめまいが起きることがあります。

8.低血圧症

最高血圧が常に100mmHg未満の状態を指し、脳に血液が充分に行き渡らなくなるのでクラクラとするようなめまいを起こすことがあります。

また、立ち上がったときに最高血圧が急激に下がってしまう「起立性低血圧」でもクラクラするめまいが起こります。

9.貧血

鉄分不足で血液中のヘモグロビンが減少すると、体に酸素が行き渡らなくなってしまいます。

その結果、フワフワしたり、クラクラしたりするようなめまいを起こしてしまうことがあるのです。

鉄分不足以外に「十二指腸潰瘍」や「胃潰瘍」による出血が原因で貧血を起こしていることもあるので、吐血や下血がある場合はすぐに病院を受診しましょう。

10.脳梗塞・脳出血

高血圧症でも説明したように、脳梗塞や脳出血になるとめまいが起こることがあります。

脳梗塞は脳の血管で動脈硬化が進み、細くなってしまった血管に血液の塊が詰まってしまう病気です。

血液の塊が詰まることで血流が止まり、脳に血液が行き渡らなくなるので脳の組織が破壊されてしまうのです。

グルグルと回るめまいの他、つまづきや転倒、手足のしびれ、意識障害などの症状が出ます。

脳出血はその名の通り、脳の血管が破れて出血してしまう病気です。

破れた血管の下部への血流がなくなったり、脳の中に出血した血液の塊が周囲の組織を圧迫したりすることで、脳の組織が破壊されてしまいます。

小脳や脳幹部にこれらの障害が起きることで、激しいふわふわめまいや頭痛、吐き気、手足のまひといった症状が起こります。

このような症状の他にも、クラクラするようなめまいが起こるケースもあります。

11.前庭神経炎

前庭神経には三半規管や耳石器が感じた姿勢の情報を脳に伝えるという役割があります。

片方の前庭神経に炎症が起こると、情報の伝達に左右差が出てしまうのでグルグルと回る激しいめまいが起きてしまうのです。

耳鳴りや難聴はありませんが、めまいの発作中は眼振(眼球が不自然に動く)という症状が出るのが特徴です。

この前庭神経炎は風邪をひいたあとに起こりやすい病気ですが、危険なめまいではないのでそれほど心配しなくても大丈夫です。

めまいの種類

めまいはその特徴ごとに大きく3つに分類されており、それぞれに原因や症状が異なってきます。

1.回転性めまい

自分自身は動いていないのに、自分や周囲の壁や天井がグルグルと回っているように感じるめまいのことです。

回転性めまいは耳に原因があることが多く、緊急性は高くないケースが多いのでそれほど心配はありません。

耳鳴りや難聴を伴う場合は、「メニエール病」や「突発性難聴」が疑われます。

一方、耳鳴りや難聴を伴わない場合は「良性発作性頭位めまい症」の可能性が高いと考えることができます。

耳に原因があるケースの多い回転性めまいですが、脳が原因のケースもあり、その場合は一刻も早く病院を受診する必要があります。

激しい頭痛や意識障害・しびれ・ろれつが回らないなどの症状も出ている場合はすぐ病院にいきましょう。

それ以外の場合でも、めまいの症状が治まったらできるだけ早く耳鼻科を受診したほうが安心であると言えるでしょう。

2.浮動性(動揺性)めまい

いわゆる「ふわふわめまい」と呼ばれるめまいで、身体がふわふわと浮かぶような感覚がある、姿勢を保ったり真っすぐ歩いたりすることが難しい、などの症状が現れるめまいです。

浮動性(動揺性)めまいはさらに、「中枢性」「全身性」「薬剤性」「心因性」の4つに分けられます。

中枢性めまい

小脳や脳幹に障害が起きることで発症するめまいです。

脳梗塞や脳出血が原因のめまいも中枢性めまいに分類され、激しい頭痛や嘔吐を伴うのでこのような症状が出た場合はすぐに病院を受診しましょう。

全身性めまい

「自律神経失調症」など体全体の問題に起因するめまいです。
貧血や発熱が原因の場合もあります。

薬剤性めまい

その名の通り、薬の服用が原因で起こるめまいです。

抗生物質や精神安定剤などの服用でめまいの症状が出やすいと言われています。

心因性めまい

検査をしても耳や脳などに特に異常がなく、原因が特定できない場合は心の問題でめまいが起こっている可能性があります。

精神的ストレスや自律神経の乱れが内耳や脳幹に悪影響を及ぼすことで起こるめまいです。

3.立ちくらみのようなめまい

急に立ち上がった時やお風呂から上がった時などに、立ちくらみのようなめまいを感じたことがある人は多いのではないでしょうか。

これは脳に流れる血液の量が一時的に減ってしまうことで起こるタイプのめまいです。

血圧は自律神経が調節していますが、ストレスや疲労が原因で自律神経が乱れると立ちくらみのようなめまいが起こりやすいと言われています。

めまいが起きた場合の応急処置

めまいが起きると不安になってしまい、すぐに病院にいかなくては!と思う方もいるかもしれません。

しかしめまいの9割以上はそれほど心配しなくて良いものです。

救急受診をするよりも、まずは応急処置をして落ち着いてからめまいの専門医に診てもらうのがベストでしょう。

1.安静にする

突然めまいが起きてしまった場合、まずは安静にするようにしましょう。

無理に動くと転んだりぶつかったりして危険なので、立っている場合はその場に座って休むようにしてください。

めまいは姿勢によって程度が変わることもあるので、座って安静にするだけで良くなるケースもあるのです。

ネクタイやベルトなど体を締め付けるものをゆるめ、できるだけ頭は動かさないようにしましょう。

普段からめまいがあり、薬を処方してもらっているのであればめまいが落ち着いたらできるだけ早めに飲んでください。

乗り物の揺れはめまいをひどくする要因のひとつです。

もし車を運転している最中にめまいが起こってしまった場合は前後の安全を確認してから車を路肩に止めて、めまいが落ち着くまで休みましょう。

電車やバスに乗っている場合であれば次の駅やバス停ですみやかに降り、安全な場所に移動してから休みましょう。

歩行中の場合は、安全な場所であればその場で座るかしゃがむかして落ち着くまで休むと良いでしょう。

めまいが起きたらとにかく可能な範囲で安静にする、と覚えておくとよいでしょう。

2.刺激をなくす

目や耳から入ってくる刺激はめまいの大敵です。

家の中でめまいが起きた場合は電気やテレビを消して、できるだけ部屋を暗く静かな状況にして、目を閉じてゆっくり休みましょう。

外にいる場合は日陰に入るなどしてなるべく日差しを避けるようにしてください。

めまいが起きた時の対処法や治し方

応急処置は上記で紹介した通りですが、落ち着いたあとの対処法や治し方についてもまとめてみました。

1.病院を受診する

上記でも説明したように、めまいの9割以上は緊急性のあるものではありません。

そのため焦って救急病院に駆け込むよりは、症状が落ち着いてからめまいの専門医を受診することをおすすめします。

ただし、

  • 意識がもうろうとしたり、意識が無くなったりする
  • 激しい頭痛
  • 顔や手足がしびれる、麻痺している
  • ろれつが回らない
  • 物が二重に見える、まぶたが自然に下がってくる

めまいと共に、これらの症状が起こった場合は脳梗塞や脳出血の可能性が高いので緊急で受診しましょう。

ところで、「めまい」って何科を受診したらいいの?と疑問に感じている方も中にはいるではないでしょうか。

基本的にはめまいの専門医は「耳鼻科」と「神経内科」で、それ以外は専門外となってしまうので診断間違いが起こってしまうこともあるのであまりおすすめはできません。

実際、めまいで病院を受診すると「メニエール病」と診断されることが多いのですが、専門外の医師に「メニエール病」を診断された場合はほとんどが間違いだとされています。

では、「耳鼻科」と「神経内科」のどちらを受診したら良いのかということについてですが、めまいが起こったら、まず「耳の症状が出ているかどうか」を確認しましょう。

耳鳴りや難聴、耳閉感(耳が詰まったような感じ)などの症状がある場合は耳に原因があるケースが多いので、まず耳鼻科を受診しましょう。

とはいえ、初めてめまいが起こった場合などは、難聴があるのかどうかなどの正しい判断が難しいものです。

めまいが落ち着いたら耳元で指を鳴らしてみると、難聴かどうかわかるので試してみてください。

また、耳鼻科疾患によるめまいは一般的に自分や周囲がグルグルと回っているように感じる「回転性めまい」であることが多いので、こちらも参考にしてみてください。

一方、めまいが起こったけれど耳の症状が特にないというような場合は、脳に原因があるケースが多いので神経内科を受診しましょう。

「脳が原因のめまい」と聞くと不安に感じる方もいるかもしれませんが、脳が原因のめまいでも90%以上の方はそれほど重篤な病気ではないので安心してください。

2.生活習慣改善

メニエール病や突発性難聴、心因性めまい、立ちくらみのようなめまいなどは、自律神経の乱れが根本的な原因として挙げられます。

自律神経はストレスや心身の疲労などにより乱れてしまうことがあるので、

  • ストレス解消の方法を見つけてストレスを溜めすぎないようにする
  • 早寝早起きなど、規則正しい生活を心がける
  • 栄養バランスの取れた食事を規則正しく取る
  • 適度に運動する

など、生活習慣を改善することがめまいの改善や予防につながるのです。

3.薬や漢方薬

めまいの症状が出た場合は、落ち着いたら一度病院で診てもらった方が安心ではあるのですが、処方箋なしで購入できる市販薬の中にもめまいに効く薬はあります。

精神の不安を改善できるビタミンB12や自律神経の乱れに効果のあるガンマオリザノール、血液循環の改善効果が期待できるビタミンEなどが配合されている薬には、めまいを改善する効果が期待できるのです。

また、市販薬に配合されている苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)という漢方薬は、立ちくらみのようなクラっとするめまいに効果があるとされています。

苓桂朮甘湯は、めまい以外にも耳鳴りや動機、頭痛などにも効果があるようです。

もし、これらの市販薬で様子をみてもめまいの症状が良くならない場合は、できるだけ早く病院を受診してください。

まとめ

いかがでしたか?

例外もありますが、基本的にはめまいはそれほど緊急性のある症状ではありません。

病院を受診することも大切ですが、それと共に生活習慣の改善を心がけてめまいの予防や改善に努めましょう!

監修ドクターコメント

稲葉先生

立ち上がった時にめまいを感じる機会は日常の中で意外と多く、緊急性の無いものであるケースがほとんどです。また、既に高血圧や貧血などの診断を受けている場合、それが原因である場合も考えられます。しかしながら、重大な疾患が原因となっている可能性も否定できません。「おかしいな?」と感じたら、一度医師に相談するのも良いと思います。

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