【闘病】難病の赤ちゃんと過ごした10カ月に及ぶ入院生活《ヒルシュスプルング病》(2/2ページ)

息子のかわいさと笑顔が闘病中の心の支え

編集部
病気が判明したときの心境について教えてください。
江川さん
ヒルシュスプルング病でない可能性が高いと言われていたので、検査で病気が判明し、しかも全結腸型と聞かされたときは、頭が真っ白になり言葉が出ませんでした。私たち夫婦と祖父母みんな落ち込んでしまい、悪いドラマのような状態に夢なのかなと思うことが何カ月も続いたのを覚えています。
編集部
息子さんのヒルシュスプルング病が発覚後、生活はどのように変化しましたか?
江川さん
結果的に10カ月も入院することになり、私もその間3日くらいしか家に帰らないほどずっと付き添っていたので、全く違う生活になりました。夫や祖父母は、週に何度も面会に来てくれ、病棟一面会の多い家族だったと思います。こんなに長く付き添っている親は周りにいなかったので、周りの患者さんのママや看護師さんからはいつも感心され、驚かれていました。
編集部
治療中の心の支えはなんでしたか?
江川さん
親ばかですが、一番は息子のかわいさや笑顔でした。どんなにつらい処置をしてもその後笑ってくれる健気な姿には、いつも勇気をもらっていました。それから担当の看護師さんが息子を好きでいてくれて、とてもかわいがってくれたのが凄く嬉しかったですね。いつも明るく、病気のことをよい意味で気にしないでいてくれて、毎日とても元気をもらえました。
編集部
現在の息子さんの体調や生活などの様子について教えてください。
江川さん
体調が悪くならない限りという制限付きですが、病気になってはじめて、次回の入院や手術予定がないというところまでたどり着きました。自力で便が出せないので、ひどい腹痛に悩まされおり、自宅での毎日の洗腸は欠かせません。しかし、体中点滴などの管だらけだったことが、うそのように今はとても元気です。飲み物や食べ物は、健常児と同じという訳にはいきませんが、ご飯も生まれてはじめてしっかりと食べられるようになってきました。当たり前の毎日に感動と笑顔があふれています。
編集部
医療従事者に望むことはありますか?
江川さん
望むことよりも、享受していることが山ほどあるので、感謝の言葉しか出てきません。びっくりするくらい献身的に一人ひとりの子のことを考えて処置をしてくださり、本当にありがとうございます。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
江川さん
私たちは大変な思いもしていますが決して、かわいそうでも不幸でもありません。とてつもない幸せを感じて日々過ごしています。子どもの笑顔で幸せになれる日々というのは、健常児も病児の親も変わらないと思います。
編集部まとめ
「幸せな日々を過ごしています」と語ってくださった江川さん。3歳になった今は少しずつではありますが、食べられるようになったことを嬉しそうに話していただきました。見た目ではわかりませんが、病気と闘っている子どもたち、病気を患っている子どもたちがいます。病児と暮らすということは大変ではありますが、不幸ではありません。今回の取材を通して、一人ひとりが優しい気持ちを持った社会になることを願います。



