【雑誌「anan」連動企画 vol.03】最先端の視力矯正、眼内コンタクトレンズ手術とは《眼科》
副編集長・佐藤あやが、気になる最新医療にQ&Aで迫る連載企画の第3回。今回のテーマは、最新の視力矯正術といわれる眼内コンタクトレンズ手術。メリットやリスク、実際の手術の流れ、費用など、気になる点を眼科医の吉田達彌先生と新見浩司先生にお伺いしました。
※2022年3月16日発売の「anan」に掲載された記事をMedical DOC用に再編集しています。
監修医師:
吉田 達彌(新見眼科 院長)
日本眼科学会認定 眼科専門医。ICL認定医。専門分野は、白内障・多焦点眼内レンズ手術、網膜硝子体手術、レーシックや眼内コンタクトレンズなどの屈折矯正手術。新見浩司先生の遠近両用眼内コンタクトレンズ手術も執刀。
監修医師:
新見 浩司(医療法人社団 医新会 理事長)
日本眼科学会認定 眼科専門医。ICL認定医。専門分野は白内障・多焦点眼内レンズ手術、斜視手術、屈折矯正手術、医療ICTシステム開発。『最新鋭 白内障手術』『眼科医がすすめる視力回復』(共にリンケージワークス)、『電子カルテデータブック 2005年版』(金原出版)など著書、共著多数。
佐藤あや(「Medical DOC」副編集長)
モデル、リポーター。2021年8月から「Medical DOC」の副編集長としても活動を開始。最新の美容・医療・健康情報には常にアンテナを張っている。1児の母。Instagramは@faafa8
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レーシックができなかった人へも朗報。リスクゼロではないがメリット大
佐藤あや
眼内コンタクトレンズ手術とはなんですか? メリットやデメリットを教えてください。
吉田先生
新見先生
ICLは世界で100万件以上の実績があり、日本では2010年に厚生労働省に認可されています。IPCLは2014年に販売開始された新しいレンズですが、既に10万件以上の実績があり、遠近両用の多焦点レンズもあるので、40歳以上の老眼が気になる方にも適応が広がってきています。
佐藤あや
視力矯正術といえばレーシックも有名ですが、どのような違いがあるのでしょうか?
吉田先生
レーシックによる近視矯正手術と比べて強度近視や角膜の薄い方にも施術可能で、術後のドライアイや近視戻りが少ないといわれています。また、目標とする度数に対して過矯正や低矯正になったり、将来的に度数の変化や何らかの不具合が生じた場合は、レンズの摘出・交換が可能というメリットがあります。
佐藤あや
眼を手術するとなると、少し怖さも感じます。
新見先生
もちろん、手術なのでリスクはゼロではありません。レンズの光学的性質上、術後に暗所で光を見たときにハロー(光の輪が見える)、グレア(光がギラついて見える)といった症状が現れることがありますが、多くの方は時間とともにあまり気にならなくなります。手術して安定するまでの間は点眼や術後ケアが大切です。極めて稀ですが、万が一に眼圧上昇や傷口からの細菌感染などの合併症を生じた場合でも適切に対処できるように、医師の指示どおり術後検診を受けるようにしてください。
佐藤あや
眼内コンタクトレンズ手術には、どれぐらいの費用がかかりますか?
新見先生
手術は健康保険の適用外の自由診療となり、両眼で60万~70万円くらいの費用がかかります。医療費控除の対象ですので、確定申告で、税金の還付を受け取ることができます。
佐藤あや
手術は高額ですが、今後もコンタクトレンズを使うことを考えると、早めに手術したほうが経済的なメリットが受けられそうですね。
手術自体は両眼で20分程度。術前検査やレンズオーダーに時間がかかります
佐藤あや
具体的な手術の流れはどうなるのでしょうか?
新見先生
手術を希望する場合、まず近視の程度や角膜の形、レンズを入れるスペースや病気の有無などをしっかり検査し、手術を受けられるかどうか見極めます。術後に、「思っていたような見え方ではなかった」というようなケースを防ぐためにも、複数日にわたり精密検査を行うこともあります。その後、一人ひとりに適したレンズを発注します。届くまでには1か月程度かかり、ようやく手術となります。
佐藤あや
所要時間や痛みの程度はどれほどですか?
新見先生
手術自体は、点眼麻酔をして片眼10分ほどで終了します。角膜を少し切って、虹彩と水晶体の間にレンズを挿入して固定すれば完了です。手術中は万華鏡を見ているようなまぶしさを感じますが、心配される痛みはほとんどありませんので安心してください。
佐藤あや
手術を受けたあとの注意点などがあれば聞いておきたいです。
吉田先生
術後すぐから翌朝までは、まぶしかったり違和感があったりしますので、なるべく眼を閉じて休めて、入浴や洗顔を避けて安静に過ごしてください。翌日以降はメイクもアイメイク以外ならOKです。スポーツや飲酒、カラーコンタクトなどは、術後検診にて医師に許可をもらってから再開してください。
佐藤あや
新見先生は、眼内コンタクトレンズ手術を受けられたそうですね。
新見先生
私はもともと強い近視でしたが、昔に自院でレーシック手術を受けて両眼ともに視力1・5まで回復しました。しかし50歳を過ぎて老眼が進んで手元が見えにくくなり、遠近両用の眼内コンタクトレンズ手術を吉田先生にしてもらいました。今は近くも遠くも裸眼で良く見えて快適です。
佐藤あや
手術で眼鏡やコンタクトレンズがいらない裸眼生活ができるようになるなんて夢のよう。
白内障手術が得意な医師は安心。定期検診のためにも通いやすい病院選びを
佐藤あや
眼内コンタクトレンズ手術を受けるとき、腕のいい医師の見極め方や、後悔しない病院選びのコツはありますか?
吉田先生
眼内コンタクトレンズ手術は、正しい知識と豊富な経験が必要とされるため、認定医制度が設けられています。基準をクリアして認定された医師しか手術ができないという点は、安心材料になると思います。
新見先生
さらに、腕のいい医師を見極める一つの目安として、白内障手術を数多く行っている医師、特に多焦点眼内レンズやレーザー白内障手術に加えて、レーシック手術など他の屈折矯正手術も行っている医師がおすすめです。なぜなら、白内障手術は水晶体の濁りを除去して眼内レンズを挿入する手術であるため、眼内コンタクトレンズ手術よりも難易度が高く、その症例数が多い医師は経験も豊富で頼れると思います。
佐藤あや
なるほど。勉強になります。
新見先生
また、手術をして終わりではなく、術後検診を受けていただく必要がありますので、自宅や職場などから通いやすい立地の病院であることも大切ですね。
佐藤あや
私もコンタクト歴が長いのですが、ドライアイが辛いし、コンタクトは眼瞼下垂の原因になると聞いたことがあるので、眼内コンタクトレンズ手術を受けたくなりました。信頼できる病院探しには、Medical DOCもぜひ活用してくださいね。
写真・中島慶子
ヘア&メイク・樋口明奈(佐藤さん)
取材、文・岡井美絹子