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「ジュクジュク傷が治らない」原因・考えられる病気はご存知ですか?医師が徹底解説!

「ジュクジュク傷が治らない」原因・考えられる病気はご存知ですか?医師が徹底解説!

ジュクジュクした傷が治らないのを治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

中川 龍太郎

監修医師
中川 龍太郎(医療法人資生会 医員)

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奈良県立医科大学卒業。臨床研修を経て、医療法人やわらぎ会、医療法人資生会南川医院に勤務。生活習慣病や肥満治療、予防医学、ヘルスメンテナンスに注力すると同時に、訪問診療にも従事している。日本プライマリ・ケア連合学会、日本在宅医療連合学会、日本旅行医学会の各会員。オンライン診療研修受講。

「ジュクジュクした傷が治らない」症状で考えられる病気と対処法

ジュクジュクした傷が治らないという経験はありませんか。傷に対しての対応・治療はどんどん変化してきており、実は傷に対して悪影響だったという習慣もあります。以下で解説いたします。

ジュクジュクした傷が治らない症状で考えられる原因と治し方

ジュクジュクした傷が治らない場合、まずは傷に対しての対応が間違っている可能性があります。
従来、傷の治療は「傷は乾かすべきである」「ガーゼを直接当てる」「傷は必ず消毒する」「傷を洗ってはいけない」というものでした。しかし現在のスタンダードな方法は“浸潤療法”といって、全く逆の方法になります。
つまり、「傷は浸潤させるべき(適度な湿度を保つ)」「ガーゼを直接貼ってはいけない」「傷の消毒は原則行わない」「傷は洗浄すべきである」というものになります。

傷を乾燥させてはいけない理由は、傷口が乾燥すると治癒のために必要な免疫系の抗体や新生細胞の進出が妨害され、感染が起こりやすいためです。
ガーゼを直接貼ってはいけないのは、傷口からでた浸出液が吸い取られてしまうからです。従来、浸出液は“膿み”として除去することが推奨されていましたが、現代では傷の治癒促進物質を含んだ欠かせない液体であるということが判明しています。
傷の消毒は、もちろん感染症を引き起こす細菌を障害しますが、皮膚の欠損した部分を補おうとする人体の新生細胞にもダメージを与えてしまい、結果的に傷の治癒が遅くなります。
傷を洗浄する、というのは傷の浸潤環境を保ちつつ、細菌を洗い流すためです。洗浄する際は水だけで問題ありません。
ここまでご紹介した浸潤療法を行っても傷が治らない場合、不良肉芽という状態に陥っている可能性があります。
傷の部分が綺麗な赤ではなく、白であったり暗い色になっていることが多いです。この場合は治癒がなかなか進まないため、原因を特定する必要があります。

処置が不十分で感染していたり、塗り薬に対して接触皮膚炎を起こしていたり、傷の奥の深い部分で膿瘍(膿の塊)が形成されている、といったケースがあります。
もし、浸潤療法を行ってもなかなか治らないという場合は、医療機関を受診しましょう。専門科は皮膚科、形成外科です。どんどん感染が進行する可能性もあるため、出来るだけ早い日程で受診してください。

すぐに病院へ行くべき「ジュクジュクした傷が治らない」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

高熱が出て体が震える場合は、救急科へ

ジュクジュクした傷が治らず、高熱が出て震える場合を指します。このような場合、後述する蜂窩織炎という皮下組織の感染症が悪化して敗血症に至っている可能性があります。
敗血症はすぐに集中治療が必要な緊急疾患です。詳細は後述しますが、高熱に体が震えるような症状が出た際は速やかに医療機関を受診してください。夜間休日であれば、救急車要請も必要な疾患です。

受診・予防の目安となる「ジュクジュクした傷が治らない」ときのセルフチェック法

  • ジュクジュクした傷が治らない以外に高熱がある場合
  • ジュクジュクした傷が治らない以外に患部の腫れがある場合
  • ジュクジュクした傷が治らない以外に体の震えがある場合

「ジュクジュクした傷が治らない」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「ジュクジュクした傷が治らない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

敗血症

敗血症は、「感染症によって重篤な臓器障害が引き起こされる状態」と定義されます。ここでいう感染症とは、傷から出現した皮膚の感染症も当然ながら、肺炎や尿路感染症、腹腔内感染症(胆嚢炎や胆管炎、虫垂炎などお腹の臓器の感染症)などさまざまな感染症が該当します。
症状は多彩であり、発熱や悪寒、ふるえ、体の節々の痛み、意識低下、息切れ、脈が速い、といったものがみられます。
もし敗血症が疑われた場合はすぐに医療機関を受診してください。敗血症は非常に重篤で、放置していると命に関わる緊急疾患です。
特に敗血症になるリスクが高い場合(65歳以上の高齢者、1歳未満の新生児や乳児、免疫機能が低下している方、悪性腫瘍・糖尿病・自己免疫性疾患などの病気がある方)は注意深く行動し、やや大げさと思っても医療機関でご相談ください。

蜂窩織炎

蜂窩織炎とは皮膚にできた傷から、皮膚の常在菌(健康な人でも常に存在する菌;普段は病気を引き起こすことはない)であるブドウ球菌などが侵入し、皮下組織まで感染を引き起こした病気です。
激しい痛みに赤み、腫れ、熱を伴うことが多いです。
自然に治る病気ではありませんので、できるだけ早く病院を受診することを勧めます。
主な診療科は皮膚科です。膿が溜まっている場合は、皮膚を切開して膿を排出し、抗菌薬投与を行います。もし高熱が続き、病変が急速に広がっている場合は、ガス壊疽や壊死性筋膜炎という緊急疾患の可能性がありますので、夜間でも医療機関を受診するようにしてください。

「ジュクジュクした傷が治らない」ときの正しい対処法は?

基本的に傷に対しての処置(創傷処置)は先述の浸潤療法が基本です。端的に説明すると、

  • 傷はしっかり流水で洗い流す(消毒は基本しない)
  • ガーゼは直接貼らない
  • 傷をほどよく湿った状態にする

ということになります。
傷をしっかりと洗い流す際は、とにかく入念に洗います。傷の部分だけでなくその周囲も流水で洗います。日本の場合は水道水が非常に綺麗なので、水道水でそのまま洗って問題ありません。海外などではミネラルウォーターなどの滅菌ずみの水を使用しましょう。
その後、抗菌薬の入った塗り薬を傷口に塗って被覆剤で覆います。理想的なのはドレッシング剤になります。これは薬局で市販のもので構いません。注意点として完全密閉型(キズパワーパッドTMなど)は菌が繁殖するため選ばないことです。おすすめはモイスキンパッド®︎という通気性のある被覆剤です。ご自身で判断がつかなければ薬局、ドラッグストアで聞いてみてください。
この洗浄から被覆剤を貼る、という流れを1日1回は最低行います(1日2~3回交換でも問題ありません)。
ただし、傷口がすでに赤く腫れている場合は感染が疑われます。この場合は、被覆剤ではなくガーゼを用います。
これらの対応を行っても改善しない場合は、医療機関を受診してください。

「ジュクジュクした傷が治らない」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「ジュクジュクした傷が治らない」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ジュクジュクした傷が治らないときの危険な状態を教えてください。

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

先述の不良肉芽という組織ができたり、膿がどんどん出てくる、発熱や悪寒戦慄を伴う場合は危険といえます。

ジュクジュクした傷を早く治すにはどうすればいいですか?

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

洗浄と浸潤療法を的確に行うことが傷を早く治すことにつながります。

ジュクジュクした傷は薬で治りますか?

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

飲み薬や塗り薬だけでは治りません。あくまで傷に対しての毎日の適切な処置が重要です。

まとめ ジュクジュクした傷が治らないときは浸潤療法に注意

傷に対しての治療(創傷処置)は10年前の常識と全く異なったものになっています。昔の考え方にとらわれていると、むしろ傷の治りを遅くしてしまい悪化させることすらあります。現代のスタンダードな方法を取り入れていきましょう。

「ジュクジュクした傷が治らない」症状で考えられる病気

「ジュクジュクした傷が治らない」から医師が考えられる病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

皮膚科の病気

感染症の病気

ジュクジュクした傷が治らない場合、原因としてすでに皮膚組織が感染している可能性があります。傷のある部位の熱や腫れ、痛みが強い場合は一度医療機関を受診してください。

「ジュクジュクした傷が治らない」に似ている症状・関連する症状

「ジュクジュクした傷が治らない」と関連している、似ている症状は2個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 傷の周囲が赤く腫れ上がっている
  • 傷から臭い膿が出ている

「ジュクジュクした傷が治らない」以外にこれらの症状がある場合、蜂窩織炎や皮下膿瘍の可能性があり、精査や切開処置が必要なこともあります。複数該当する場合は早めに受診しましょう。