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「うっ滞性乳腺炎」の原因や症状・予防法について解説!授乳中の女性必見!

 更新日:2023/09/12
「うっ滞性乳腺炎」の原因や症状・予防法について解説!授乳中の女性必見!

授乳している女性のトラブルの一つに、うっ滞性乳腺炎があります。初産婦に多く見られる乳腺炎で、乳房の腫れ・痛み・発熱などが発生するでしょう。

大抵の場合は、授乳の仕方を改善することですぐに軽快しますが、細菌感染して乳房内に膿が発生する場合もあります。高熱が出る場合もあるため、早めの処置や予防が大切です。

本記事では、うっ滞性乳腺炎とはどのような疾患なのか詳しく解説します。また、乳腺炎の原因や症状・治療・対処法も紹介しますので、うっ滞性乳腺炎について知りたい方は参考にしてください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

うっ滞性乳腺炎とは?

バストにしこりを感じる女性

うっ滞性乳腺炎はどのようにして発症しますか?

うっ滞性乳腺炎は、母乳が乳腺の中に溜まり炎症を起こした状態のことをいいます。授乳回数が少ない場合や、赤ちゃんがうまく母乳を吸えていない場合に発症します。母乳が乳房に溜まった状態で炎症を起こすと、発症する可能性が高まるでしょう。

うっ滞性乳腺炎の主な症状について教えてください。

うっ滞性乳腺炎になった場合、主な症状には次のようなものがあります。

  • 乳房の張り・硬化
  • 乳房や胸周辺の痛み
  • 乳房の熱感・発赤・しこり
  • 黄色い母乳

うっ滞性乳腺炎の状態で細菌感染を起こすと、症状が悪化して急性化膿性乳腺炎に進行する可能性があります。この場合、38.5度以上の発熱・悪寒・関節痛など風邪のような症状が現れることが特徴です。

うっ滞性乳腺炎の原因について教えてください。

うっ滞性乳腺炎の原因は、母乳が乳腺に溜まるうっ滞(うつ乳)です。うっ滞した乳腺や乳管が炎症を起こし、乳房の腫れ・痛み・微熱などを伴います。そのため、うつ乳が解消されれば、症状は軽快するでしょう。うつ乳は、授乳時間や回数が少なく、授乳の間隔が3時間以上空くことにより生じます。
また、母乳は血液から作られるため、高脂肪・高カロリーの食事などで血液がドロドロになると母乳が流れにくくなり乳腺炎が起きやすいでしょう。さらに、ストレス・睡眠不足・疲労なども血液の循環を悪化させるため、注意が必要です。

うっ滞性乳腺炎の検査方法について教えてください。

うっ滞性乳腺炎は、乳房の視診や触診で診断可能なため、とくに検査する必要はありません。病院や症状によっては、血液検査や超音波検査を行う場合もあります。
ただし、症状が悪化して細菌感染による化膿性乳腺炎に進行した場合は、乳房に溜まった膿を採取して原因菌を調査するケースがあるでしょう。また、乳腺X線撮影を行ったり、細胞を調べたりして炎症性乳がんではないことを確認する場合もあります。

うっ滞性乳腺炎の治療

問診をする医師イメージの手元03

うっ滞性乳腺炎の治療法について教えてください。

乳腺の炎症に対しては、薬物治療が用いられる場合が多いでしょう。痛みに対しては、消炎鎮痛剤を用います。また、化膿性乳腺炎など細菌感染している可能性がある場合は、抗生剤を投与する場合もあるでしょう。こうした薬剤は授乳中でも安全に使用できるものです。具体的には、次のような薬剤が挙げられるでしょう。

  • 経口用セフェム系抗生剤
  • イブプロフェン
  • アセトアミノフェン

上記のような薬剤によって、症状を緩和します。授乳を継続したい場合は上記のような薬剤が処方されますが、逆に母乳を止める薬を処方することも可能です。医師に症状や自分の希望などをよく相談しましょう。
膿が溜まっている場合には、膿を排出する治療が必要になります。超音波検査を行った後に皮膚麻酔を行い、注射器を使用して膿を抜き取る処置が行われるでしょう。また、症状が悪化しないようにするためには、母乳が乳腺に溜まらないようにすることも大切です。予防方法や対処法については後の項目で詳しく解説します。

うっ滞性乳腺炎はどれくらいの期間で治りますか?

軽度の症状の場合、母乳が溜まらないようにケアをすれば、1〜2日ほどで自然に軽快するでしょう。薬剤が必要な場合でも、1〜2週間ほどあれば治ります。
ただし、膿ができた場合は通院が必要になり、治るまでに2週間以上かかるケースもあるでしょう。悪化すると治療が長引く可能性があるため、症状が出た場合、早めに対処することが大切です。

うっ滞性乳腺炎を放置するとどうなりますか?

うっ滞性乳腺炎を放置すると悪化して、化膿性乳腺炎になる可能性があるでしょう。化膿性乳腺炎は乳腺が細菌感染を起こした状態です。化膿性乳腺炎が慢性化すると、慢性乳腺炎になります。皮膚を切開して、膿やしこりを除去する治療が必要になる場合もあるでしょう。
痛み・高熱が出たり、母乳の出が悪くなったりすることが特徴です。母乳の味も悪くなるため、赤ちゃんがあまり母乳を飲みたがらなくなります。

うっ滞性乳腺炎の対処法について

おっぱいを飲む新生児4

うっ滞性乳腺炎は予防できますか?

予防は、マッサージ・食事・母乳の飲ませ方などにより行えます。母乳の出が悪いときは乳管の詰まり・狭窄などが考えられるでしょう。授乳前にマッサージすることにより、乳管の詰まりを予防できます。
マッサージの方法には、乳房全体をマッサージするものと、乳頭部をマッサージする方法があります。また、高カロリー・高脂肪の食生活をしていると母乳が過剰に生産され、乳腺炎になるリスクが高くなるでしょう。高カロリー・高脂肪の食生活を避け、和食中心の食事がおすすめです。また、水分の過剰な摂取も母乳の分泌過多につながるため注意しましょう。
母乳の飲ませ方については、時々抱き方を変えることで母乳がおっぱいに残らないようになります。また、左右どちらのおっぱいからも授乳するようにしましょう。授乳間隔が長すぎると乳腺が詰まりやすくなるため、赤ちゃんの成長にあわせて授乳回数を調整することも大切です。

うっ滞性乳腺炎になった際の対処法を教えてください。

うっ滞性乳腺炎になったからといって、授乳をストップしないようにしましょう。乳房に溜まった母乳が症状の原因となっているため、溜まった母乳を放出することが大切です。赤ちゃんへの授乳回数を増やすことや、搾乳機の使用などの方法があります。回数を増やすことにより、自然と症状が治る場合もあるでしょう。授乳する際には、前の授乳から3時間以内の授乳をおすすめします。
また、トラブルを抱えているおっぱいから授乳することも良い方法です。授乳するときにいつも同じ抱き方で飲ませていると、同じ乳腺からしか母乳を飲んでもらえず、部分的につまり・しこりが生じます。抱き方や角度を時々変えてみると良いでしょう。また、おっぱいを温めると母乳が多く生産されるため、患部を冷やすことも有効です。保冷剤や冷却枕などをタオルにくるんで使用しましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

うっ滞性乳腺炎になると、乳腺に母乳が溜まるため、痛みが発生します。症状は、母乳が出やすくなる産後2〜4週間ごろから起きやすいでしょう。できるだけ、赤ちゃんに多くの母乳をあげて乳腺に溜まらないように注意しましょう。
痛みが強い場合には、化膿性乳腺炎に発展する場合もあるため、病院を受診して適切な治療を受けてください。授乳中でも内服が問題のない薬も多くあります。病院で処方してもらえば保険も適用されることから、市販薬を購入するよりも費用がかからずに済むでしょう。
それとともに、マッサージなどの予防を日頃から行うことも大切です。病院によっては、乳房のマッサージやマッサージ指導などを行っているところもあるため、利用を検討してみると良いでしょう。

編集部まとめ

紙でできたハートを持つ女性の手
本記事では、うっ滞性乳腺炎とはどのような疾患なのかを解説しました。母乳を作り出す器官である乳腺に発生する炎症で、母乳が溜まることにより発症します。

主な症状は、おっぱいが赤く腫れる・痛み・微熱などです。治療法は、抗生剤や痛み止めなど薬剤の投与があります。

悪化して化膿性乳腺炎になったときは、膿を排出する必要があるでしょう。

もし、症状があるときは、できるだけ母乳を溜めないようにすることが大切です。赤ちゃんへの授乳回数を増やしたり、搾乳機を使用したりして母乳を放出するようにします。

また、普段からおっぱいのマッサージを行ったり、赤ちゃんの抱き方を変えたりして予防することも可能です。軽度の場合には、2〜3日で治るでしょう。

この記事の監修医師