目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 薬に関するコラム
  4. 女性による薄毛「FAGA」の改善方法と原因・治療薬について詳しく解説

女性による薄毛「FAGA」の改善方法と原因・治療薬について詳しく解説

 更新日:2024/07/10
faga 改善

FAGAとは女性男性型脱毛症のことで、女性の薄毛の総称です。薄毛の治療というと男性の薄毛であるAGA治療が有名ですが、女性でも薄毛に悩む人は多くいるのです。

薄毛の悩みを相談に行くのは中高年の男性だけと思い、専門クリニックも男性だけのものなのではないかと受診を躊躇してしまう場合もあります。

この記事では、FAGAの改善方法を中心に女性の薄毛の原因は男性の薄毛と同じなのか・治療方法や薬はどのようなものがあるのかについて解説します。

佐孝 尚

監修薬剤師
佐孝 尚(薬剤師)

プロフィールをもっと見る
経歴
北海道医療大学薬学部 卒業 現在はセンター薬局グループに薬剤師として勤務しながら株式会社イヤクルを創業。不動在庫医薬品取引プラットフォームアプリ【イヤクル】を運営。

保有免許・資格
薬剤師免許

FAGAの改善方法は?

悩む女性
FAGAの改善方法はどのような方法があるのでしょうか?薄毛に悩んだときの対策として取る行動には大きく以下の2つがあります。

  • 生活習慣を整える
  • クリニックに相談する

ここではこれら2つのFAGAの改善方法について解説します。

生活習慣を整える

FAGAの原因の1つに生活習慣の乱れがあると考えられています。過度なダイエットやストレスにより生活習慣が乱れることで、血行不良になり毛髪に栄養が届かなくなってしまうのです。
このことが薄毛や抜け毛の原因となるので、生活習慣を整えることやストレスをためないようにする必要があります。自律神経を整えることでFAGAが改善する可能性があるのです。

クリニックに相談する

FAGAで悩んでいて症状を改善したいと思ったら、クリニックに相談することで薄毛の改善が期待できます。薄毛治療は男性のものだと思い、クリニックを受診することを躊躇する女性もいます。
しかし、産後や閉経後など女性ホルモンが急激に減少するときに薄毛・抜け毛に悩む女性は多いです。このため、FAGAの治療も医療機関の助けを借りることで悩みを改善することが可能です。

女性の薄毛の原因

日本人女性の髪の毛
女性の薄毛の原因はまだ正確にはわかっていません。男性の薄毛であるAGAは症状に特徴があるため診断しやすい疾患です。しかし女性のFAGAは広範囲に症状が現れ、特徴がありません。このように髪の毛全体のボリュームが減る疾患をびまん性脱毛疾患といいます。
ここでは、女性の薄毛であるFAGAの原因について解説します。

原因ははっきりと特定されているわけではない

FAGAはAGAと同じくホルモンが関係していると考えられていますが、原因は特定されていません。AGAでは、男性ホルモンの影響により前頭部・頭頂部などの一部分が薄くなる特徴的な症状が出ます。しかし、FAGAの場合は部分的ではなく頭部全体が薄くなっていく症状で、症状の現れ方にも個人差があります。女性ホルモンが原因と考えられていますが、明確な原因はわかっていません。

加齢・出産などによるホルモンバランスの乱れ

女性ホルモンの1種であるエストロゲンは、閉経や産後に一気に減少します。エストロゲンには毛髪を健康に保つ役割もあり、エストロゲンが減ることによって毛髪が細くなり潤いを保てなくなってしまうのです。これにより薄毛につながってしまいます。

薬剤

低用量ピルなどのホルモン剤の服用を中止した場合、女性ホルモンが減少することで抜け毛が増え、薄毛につながることがあります。

栄養不足

血流が低下することにより髪への栄養が不足すると薄毛につながります。加齢以外にも、生活習慣が乱れ食事の栄養バランスが悪くなることや過度なダイエットにより、髪へ運ばれる栄養が減少することはFAGAの原因となる可能性があります。

生活習慣の乱れ・ストレス

生活習慣が乱れ睡眠不足になったり、栄養のあるものを食べなかったりすると髪に栄養が不足して薄毛や抜け毛の原因となります。また、ストレスで自律神経の働きが悪くなることで血行不良になることもFAGAの原因となる可能性があるのです。

女性の薄毛の治療薬について

カプセル錠
現在、女性の薄毛治療に効果があるといわれている薬には以下の内服薬・外用薬があります。

  • パントガール(内服薬)
  • ミノキシジル(内服薬)
  • ミノキシジル(外用薬)

その人の症状や進行度合によって薬が処方されるので、選択される薬はさまざまです。場合によっては、内服薬と外用薬を併用して治療を進めることもあります。ここでは、これら3種類の治療薬について、それぞれ解説していきます。

パントガール(内服薬)

パントガールは世界で初めて女性の薄毛であるFAGAへの効果が認められた薬です。女性の薄毛で多く見られる症状であるびまん性脱毛や産後毛髪が薄くなる一時的な脱毛など、全身疾患が関与しない脱毛に効果があります。パントテン酸カルシウム・ケラチン・シスチンを有効成分に含み、頭皮に栄養を行き渡らせることで、頭皮の状態を良くして薄毛を改善する効果があります。
パントガールには、AGA治療薬のように直接的な育毛効果はありません。しかし頭皮の環境を改善したり、毛髪の成長を助けたりすることによって薄毛を改善します。パントガールはサプリメントに近い薬なので、重篤な副作用は報告されていませんが、腹痛・下痢・めまい・頭痛・動悸・胸やけなどの副作用が起こることがあります。このような副作用が起こったときは、医師に相談しましょう。
パントガールの効果が出るまでには最低3ヵ月は服用が必要で、効果を持続するためには半年~1年の服用を定期的に行うことが望ましいとされています。パントガールは専門のクリニックで購入することができ、費用は1ヵ月分で13,200円(税込)程度です。
費用については一例となり、クリニックによって異なるので受診する医療機関に問い合わせましょう。

ミノキシジル(内服薬)

ミノキシジルは血管拡張作用を持つ薬で、もともと高血圧治療薬として使用されていました。このときに副作用として多毛が報告されたことから、育毛治療薬としての開発が進められ承認されています。ミノキシジルは毛細血管の血流を改善するとともに、毛髪の成長を促す毛乳頭細胞に作用して毛周期を延長させる作用があります。さらに、発毛因子の産生を亢進したり、毛乳頭細胞そのものを増殖させたりすることで発毛を促す薬です。
ミノキシジルには発毛を促すとともに、脱毛を抑制する作用があるため、両方の面から薄毛の治療に効果があります。ミノキシジルの効果が出るまでにかかる時間は個人差がありますが、半年程度です。効果が感じられないからといって、すぐにやめずに半年は続けてみましょう。
ミノキシジルの内服薬の副作用は、直接体の中に薬が入り血管拡張作用を示すため、動悸・めまい・頭痛などが報告されています。また治療開始から2〜8週間で初期脱毛が起こることがありますが、これには毛周期が関係しているため、この症状が見られても治療は続けることが望ましいです。
内服薬は、薬が血中に入り体の中から効果を発揮するため、外用薬よりも効果が高いと考えられています。日本においては、臨床試験が行われておらず薄毛治療に対してミノキシジルの内服薬を使用することは推奨されていません。
ミノキシジル内服薬の料金は1ヵ月分で19,800円(税込)程度です。費用については一例となり、クリニックによって異なるので受診する医療機関に問い合わせましょう。

ミノキシジル(外用薬)

ミノキシジルには外用薬もあり、効果については内服薬と同じです。外用薬は、頭皮から直接有効成分が吸収されて効果を発揮します。ドラッグストアで購入できる市販薬でリアップという製品も販売されています。女性用のものもあり、こちらはリアップリジェンヌという名前で男性用と同じく第1類医薬品です。
外用薬による治療は日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨されている治療方法です。ミノキシジルの濃度は市販品では5%ですが、専門クリニックではこの限りではないので、市販品を半年程度使用しても効果を感じられない場合はクリニックを受診してみましょう。外用薬は頭皮に直接塗布するため、副作用として発疹・かゆみなどの頭皮の異常が出ることがあります。
ミノキシジル外用薬の料金は1ヵ月分で8,000円(税込)〜10,500円(税込)程度です。費用については一例となり、クリニックによって異なるので受診する医療機関に問い合わせましょう。

編集部まとめ

髪を気にする女性
女性の薄毛であるFAGAはAGAと同じく、ホルモンの影響があると考えられていますがはっきりとした原因はまだわかっていません。

女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減ることや生活習慣・自律神経の乱れによって血行が悪くなることが原因ではないかと考えられています。

生活習慣を改善し、ストレスをためないようにすることも重要ですが、症状を改善したいと思ったらクリニックに相談することもFAGAの症状を改善するための近道です。

今回の記事では、女性の薄毛であるFAGAの改善方法について、原因・治療薬とともに解説しました。

薄毛・抜け毛で医療機関に相談しようか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の監修薬剤師