【動画付き】切らないリフトアップ「スレッドリフト」って、どれくらい効果が継続するの？

特殊な糸を直接、皮膚の下に挿入する治療方法のことで、頬や首のたるみの改善が期待できます。なお、挿入する糸の種類や場所によって、さまざまな方法に分かれます。「スレッドリフト」は、その総称とお考えください。

糸の種類によって異なりますが、一般的な溶ける糸であるPDO（ポリジオキサノン）の場合、その効果は半年から1年といったところでしょう。また、当院で用いているPCL（ポリカプロラクトン）という溶ける糸なら、2年から3年の効果が期待できます。

糸が溶けずに残っている期間です。徐々に糸が溶けるにしたがって、糸の周りに“コラーゲン生成効果”が認められています。肌のハリや弾力の元となる成分であるコラーゲンの生成が、持続期間を左右します。糸そのものによる張力というより、ご自身の体の中で生成されたコラーゲンの力を生かす治療方法といえるでしょう。

あります。元々スレッドリフトは溶けない糸での治療なので、かつては当院でも、溶けない糸による治療をしていました。しかし、溶けない糸は、時間経過により、皮膚の下を移動する可能性があるのです。また、肉芽腫（にくげしゅ）といって、皮膚の下が硬くなる状態を起こすことがまれにあります。

溶ける糸でも溶けない糸でも、再治療は可能です。なぜなら、前回の糸は次の手術にほとんど影響しないからです。初回の手術で得られたリフトアップ効果も、１～数年経過するとやや戻ってきます。その経年変化に対し、再手術をおこないます。「やり直し」なのではなく、より効果を高めて持続させる追加手術といったイメージです。ただし、再治療の場合は溶ける糸を用いることが多いですね。

糸によって引き上げているのは、皮膚直下の脂肪層です。お肌そのものをピンと引っ張り上げているわけではありません。脂肪層を動かしますので、輪郭の印象が変わってきます。加齢によって脂肪が落ちてくると、口元を下げたり、たるんで四角い輪郭になったりしますよね。それを、若い頃の元の位置に近い場所まで戻して、糸で中から固定してあげるということです。

症状にもよりますが、片側あたり、3本から5本といったところでしょうか。1本だけですと、その分、糸にかかる負担も強くなりますしね。数本の糸で皮膚と脂肪の重さを分散させれば、より滑らかな仕上がりになり、より長く効果が持続すると考えられます。またヒアルロン酸の注入などを併用する場合もあります。

様々なメーカーが糸を出していますからね。明確に何種類とはわかりませんが、私が知る限り30種類以上はありますよ。糸の違いで最も大きいのは、COG（コグ）という返しの部分でしょう。かつては人の手で、ささくれ状の返しをつくっていました。ただし、この方法ですと、返しがめくれていってしまうことがあるんですね。ですから、今の主流は、長持ちして効果的なコグが人工的に一体成形されている糸でしょう。その形をめぐって、メーカー各社がしのぎを削っています。

メリットとしては、メスを入れないで極小の穴から埋め込むため、傷が目立たないこと。そして、ダウンタイムが短く、日帰り手術も可能なことです。反して、内出血リスク、手術後の一時的な痛み、引きつれ感、皮膚の凹凸などがあります。また、ごくまれですが神経障害のリスクもあります。これらを最小限にするには、解剖学的知識と高い技術を持った医師が丁寧に行うことが大切です。また、糸を埋入するときに「カニューレ」という器具を使うことで、内出血や神経障害のリスクがかなり減りました。

内出血したとしても、2週間くらいで吸収されます。術直後の痛みは軽く、口を大きく開けたり話をしたりするときに、引きつれ感や違和感が生じます。これらも、1か月前後で感じなくなります。

挿入時に神経を傷つけてしまうと、神経障害が残りかねません。神経の通り道を避け、先の丸い「カニューレ」を使って糸を挿入し、愛護的な手技を心がけることで防いでいきます。また、患者さんと医師との意識差も考えられますね。「イメージと違う」とか、「なにも変わっていない」とか。前者はきちんとしたカウンセリングで、後者は術前術後の写真を確認してもらうことで、それぞれ防いでいきます。

多くの患者さんが誤解されている部分ですね。「スレッドリフト」と、いわゆる「シワ伸ばしの外科手術」とは、中身が異なります。「スレッドリフト」は、持ち上げた脂肪層を内側から糸で支え、輪郭を整える技術。対する「シワ伸ばしの外科手術」は、内側の筋膜と脂肪を引き上げ、外側の余分な皮膚を切除・縫合する技術です。この2つの違いと、スレッドリフトの利点と限界をご理解いただきたいと思います。手術の前に、説明に時間をかけるクリニックがいいと思います。

自費となり、1回の手術で30万円から40万円といったところですが、手術箇所や糸の種類によって違ってきます。なお、より細くて返しのない糸を皮膚の中や皮膚直下に挿入する「サーフェススレッド」という方法もあります。こちらは、お顔の輪郭を変えるというより、肌内部のコラーゲンを増やし、お肌のハリを増強するイメージです。

効果だけでみたら、「シワ伸ばしの外科手術」のほうが高いと思います。ただし、傷跡が残りますし、ダウンタイムもかかります。ですから、たるみがあまり進行していない段階で、「スレッドリフト」の手術をうけていただくと好ましいですね。

初日はカウンセリングをおこないますので、ご自宅でじっくりご検討ください。治療方法に納得いただけたら、手術日の予約をします。当日は、日帰り手術が可能です。帰宅後は、お顔を冷やしていただくと、炎症が治まりやすくなるでしょう。もちろん、当日の入浴は可能です。また、おおむね1か月後に、リフトアップ効果や副作用の有無を調べるため、再受診してください。その前に何か気になることがあれば、すぐにご連絡ください。

侵襲度の低い方法から、段階的に試みていく進め方をお勧めします。まずは機器を用いたリフトアップ治療やヒアルロン酸注入を受けてみて、さらにリフトアップ効果が必要であれば「スレッドリフト」を試してください。年齢を重ねて皮膚の余剰が目立つ場合は「シワ伸ばしの外科手術」を受けるような進め方です。最初から「このやり方がいい」といった固定観念をもたないようにしてください。また、診察、説明、手術、術後の経過観察を「1人の医師が一貫しておこなっていること」が大切でしょう。説明者と術者が別の人間では、患者さんのご希望が十分伝わらず、満足のいく結果が得られないこともありえます。