クラミジアの感染率はどのくらい?感染しやすい年代や感染経路
クラミジアは、感染率の高い性感染症です。クラミジアの感染率やどのように感染するのかを理解することが、感染症予防のひとつとなります。
本記事ではクラミジアの感染率について以下の点を中心にご紹介します。
・クラミジアの感染率について
・クラミジアに感染しやすい年代や感染経路
・クラミジア感染症の予防のために
クラミジアの感染率について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
目次 -INDEX-
クラミジアの感染率は?
クラミジアは、クラミジア・トラコマチスという細菌が原因で起こる病気で、性器だけでなく喉や肛門にも感染し、自覚症状が出にくいのが特徴です。
クラミジアは、ほかの性感染症と比較しても感染率が高く、クラミジアと同じ5類性感染症である淋菌感染症や尖圭コンジローマと比較して約2倍以上であり、感染確率の高さが伺えます。
妊婦検診での大規模調査では、全体の2.4%がクラミジアに感染していることが明らかにされており、19歳以下の妊婦では感染率が15.3%にものぼります。
さらに、風俗業界においては、咽頭クラミジアの感染リスクが高いとされています。
クラミジアの感染者数
感染者が増加傾向にあるクラミジア感染症ですが、感染者数に男女差はあるのでしょうか?ここでは、男女別の感染者数の動向を解説します。
男性
近年では、20代前半の男性で感染者数が顕著に増加しているといわれています。
感染症発生動向調査によると、2020年の定点当たり報告数は男性が2015年の最低点から1.3倍の増加を見せています。
特に、20代前半では2.1から3.6へ1.7倍、20代後半では2.4から3.4へ1.4倍の増加が観察されています。
女性
クラミジア感染症は、全体的に男性の感染者数が女性を上回る傾向にありますが、男女ともに増加しているといわれている性感染症です。
男性に症状が現れた後に女性の感染が発覚するケースも多く、データ上には反映されていない潜在的な女性の感染者が存在するとも考えられています。
2016年以降、20代の女性、特に20代前半における感染者数の増加が目立っているとされています。
一方で、10代後半の女性では、2014年から感染者数が減少し、2016年以降は横ばい状態を保っています。
クラミジアに感染しやすい年代
これまでも述べてきたように、クラミジア感染症は、若年層において感染者数が増加しているとされる性感染症です。
国内でのデータ分析から、20代前半の女性と20~30代の男性に感染者が多いことが明らかになっています。
2016年以降、この傾向はさらに強まり、20代前半の男性で感染者数の増加が目立っています。
国内の若年人口の減少にもかかわらず、若年層における性器クラミジア感染症の罹患率は増加傾向にあり、深刻な問題と捉えられています。
クラミジアの感染経路
クラミジアはどのようにして感染するのでしょうか。
ここでは、クラミジアの感染経路について解説します。
主な感染経路
クラミジアは、性的接触を主なルートとして広がる感染症です。
性交だけでなく、オーラルセックスやディープキスなど、粘膜が接触する行為全般からリスクがあります。
オーラルセックスによる感染は増加傾向にあり、性器から喉へ、またその逆の感染が起こりやすく、しばしば無症状であるため、知らないうちに他者へと伝播させてしまうことがあります。
さらに、粘膜への感染となる行為、例えば性器と肛門の間での感染も見られ、直腸内の粘膜に影響を与える場合があります。
性行為以外の感染
クラミジアの感染は、性的接触に限らず、ほかの経路感染でも発生することがあります。
注意が必要なのは、感染した体液がついた手で目を触った際に起こる結膜炎です。
目の粘膜への直接的な接触により、感染が成立し、目の充血や異物感、目やになどの症状を引き起こすことがあります。
また、母子間の感染も経路の一つです。
出産の過程で母親から新生児へ感染し、新生児が結膜炎や肺炎を発症する危険性があります。
生活環境において、プールや温泉、お風呂、トイレなど共有スペースでの感染リスクは低いとされています。
クラミジアは、直接的な粘膜の接触なしでは感染しづらい性質を持っており、日常生活における接触では感染の可能性は低いでしょう。
クラミジア感染症の症状
クラミジアは、自覚症状が出にくい感染症です。
症状がある場合では、男女で異なる症状が現れます。
ここでは、男女別のクラミジア感染症の症状を解説します。
男性
男性のクラミジア感染症は、主に尿道炎や副睽丸炎といった形で現れますが、個々の症状は感染部位や病状の進行度によって異なります。
初期段階では、尿道内に細菌が侵入し、炎症を引き起こすことで尿道炎が発生します。症状としては、以下の通りです。
・排尿時の痛み
・尿道口の軽いかゆみや赤み
・少量の透明ないしは白色の分泌物(膿)の出現
・尿が濁ることもある
感染がさらに進行すると、副睽丸に影響を及ぼし、副睽丸炎を引き起こす可能性があります。
これは、精巣の背後にある副睽丸に炎症が生じる状態で、以下の症状が見られることがあります。
・睾丸の後方や横に感じる痛みや腫れ
・硬いしこりの感触
・発熱
さらに、クラミジア感染は精のう炎を引き起こすこともあり、以下のような症状が起こり得ます。
・排尿や射精時の痛み
・残尿感や血尿
・場合によっては発熱
クラミジア感染症は、男性においては自覚症状が現れやすいとされていますが、症状が軽微であったり全く現れなかったりするケースも少なくありません。
自分自身の感染に気づかずに他人へ感染を広げてしまうリスクが高まります。
女性
女性のクラミジア感染症は、感染初期には、自覚症状が少ないか点が特徴です。
しかし、症状が進行するにつれて、以下のような症状が現れることがあります。
・子宮頸管炎によりおりものの量が増え、淡黄色や緑色に変わる
・おりものの質がネバネバとして変化し、臭いはほとんどないが、不快感を伴う
・下腹部痛、不正出血、発熱といった全身症状
・膀胱炎による頻尿や排尿時の痛み
症状がさらに進行すると、卵管炎や骨盤腹膜炎へと悪化する可能性があり、以下のような症状が現れることがあります。
・卵管の閉塞や癒着により、不妊や子宮外妊娠のリスクが高まる
・下腹部痛が激しくなり、性交時の痛みが発生する
・炎症が肝臓の周囲にまで及ぶことによる、急性肝臓周囲炎による激しい痛み
症状はクラミジア感染の典型的な進行パターンを示していますが、感染していても長期間自覚症状がない場合も多く、定期的な性病検査による早期発見が重要です。
クラミジア感染症の検査方法と治療方法
クラミジア感染では、どのような検査と治療が行われるのでしょうか。
ここでは、検査方法と治療方法について解説します。
検査方法
クラミジア感染の診断には、感染部位や性別に応じた方法が用いられます。
性器クラミジア:
男性の場合、1〜2時間以上排尿を控えた後に得られる初尿から20ccを採取して感染の有無を調べます。初尿を使用する理由は、中間尿ではクラミジアの検出率が下がり、偽陰性のリスクが高まるためです。
女性においては、子宮頸管や腟内の粘膜から分泌物を採取して検査が行われます。基本的には医療従事者が採取しますが、自己採取が可能な医療機関もあります。
咽頭クラミジア:
スワブ法とうがい液法の2つの方法があります。スワブ法では、咽頭部を綿棒で拭取し、うがい液法では生理食塩水でうがいをした液体を検体として用います。うがい液法は患者さんの負担が少なく、高い検出率が期待できるため、有用性が高いとされています。
肛門クラミジア:
肛門内の粘膜を軽く拭いて、感染の有無を確認します。
治療法
クラミジア感染症の治療には、主に単回または1週間から10日間の抗生物質の内服により行われます。
例えば、アジスロマイシンであれば1回の服用、クラリスロマイシン、ミノサイクリン、ドキシサイクリンのいずれかであれば7日から14日間服用する方法があります。
治療の完了の確認のためには、服薬終了後2~3週間での再検査が実施されます。
クラミジアは症状が軽いことが多く、見過ごされがちですが、医師の指示に従い、正しい用法・用量で治療することがとても大切です。
自己判断での治療中断は、治療の失敗や耐性菌の発生につながります。そして、感染が確認された場合は、パートナーと共に治療を受けることが大切です。
クラミジア感染症の予防法
最後に、クラミジア感染症の予防法について解説します。
コンドームを使用
クラミジア感染症を防ぐ方法は、コンドームの適切な使用です。
正しくコンドームを装着することで、感染リスクを大幅に減少させるといわれています。
また、オーラルセックスを含めた性行為の全ての段階でコンドームを装着することで、咽頭クラミジアの予防にも有効とされています。
不特定多数との性行為を避ける
クラミジアの予防において、不特定多数との性交渉を避けることが重要です。
性的な接触の相手が多いほど、クラミジアを含む性感染症の感染リスクが増加します。
一時的な関係や性風俗の利用も感染の可能性を高めます。信頼できるパートナーとの間でのみ性行為を持つことが望ましく、結果、性感染のリスクを減少させます。
定期的に検査する
クラミジアは多くの場合、症状が出ないため、自覚せずに感染を広げるリスクがあります。
このため、性的パートナーが変わった後、無防備な性行為をした場合、複数のパートナーがいる場合などは、定期的に性病検査を受けることが重要です。
性感染症の検査は、医療機関や保健所、郵送での検査キットなどで受けられます。検査は検査項目や費用などに違いがありますので、事前に確認をしましょう。
まとめ
ここまでクラミジアの感染率についてお伝えしてきました。クラミジアの感染率の要点をまとめると以下の通りです。
・クラミジアは、ほかの性感染症と比較しても感染率が高く、クラミジアと同じ5類性感染症である淋菌感染症や尖圭コンジローマと比較して約2倍以上
・クラミジア感染症は、若年層において感染者数が増加しているとされており、主な感染経路は性的接触を主なルートとして広がっている
・クラミジア感染症の予防には、コンドームの使用、不特定多数との性行為を避ける、定期的に性病検査(医療機関や保健所、郵送での検査キットなど)を受けることが大切
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献