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気圧の変化で頭痛が起こる理由は?対処法や予防方法をご紹介

 公開日:2024/01/22
気圧 頭痛

雨が降ったり、強い風が吹いたりして天気が悪くなると、頭痛が起きる方は意外と多くいるでしょう。

中には天気が崩れる少し前から変化を察知して、頭痛が起きるケースもあるようです。

天気が悪くなると気圧の変化が生じますが、なぜ頭痛が起こるのでしょうか。

悪天候が続くと頭痛もその分長引くので、生活や仕事に支障が出る方もいるかもしれません。

天気はコントロールできないので、せめて頭痛が起きた際の対処方法がわかれば、辛い症状が緩和され日常生活もいつもどおりに過ごせるでしょう。

本記事では気圧の変化で頭痛が起こる原因を解説します。また、頭痛が起きた際の対処方法や予防方法とあわせて、どのタイミングで病院を受診すれば良いかも紹介していきます。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

気圧の変化で頭痛が起こる理由は?

首を気にする女性
天気が崩れると体の不調が出てくる症状は気象病とも呼ばれています。症状としては頭痛だけでなく、めまい・倦怠感・関節痛・首や肩の痛みなどが挙げられます。
気象病の仕組みははっきりと解明されたわけではありません。
しかし、低気圧が近づくなど天気の悪化で頭痛になる方がいるように、気圧の変化によって引き起こされることは気象病が発生する原因の一つでしょう。
ここからは、気圧の変化で頭痛が起こる理由を具体的に解説していきます。

血管の拡張

気圧の変化で頭痛が起こる原因の一つが、血管の拡張です。低気圧に伴う、血管の拡張は次のような仕組みで起こります。
天気が悪くなり気圧が低下すると、内耳が刺激を受け脳に気圧の変化が生じたことを知らせます。
その結果、自律神経の活性が促されるのです。この活性化された自律神経の働きによって、脳の血管が急激に拡張して炎症を起こすことで周囲の神経を刺激していきます。
これにより頭痛が引き起こされるのです。

寒さによる血行不良

ヒーターに手を当てる
気圧の変化で頭痛が起こるもう一つの理由は、寒さによる血行不良が挙げられます。
冬に強い寒気が流れ込んでくると低気圧が発達します。その影響で頭痛が発生しやすくなることに加え、冷たい空気に触れると血管が収縮して血行不良を引き起こすことが多いです。
冬は脳卒中が増える季節でもあるように、寒さは血行不良を招き大きな病気にも繋がってしまいがちです。
気圧の変化に加えて、寒さによる血行不良にも気をつける必要があるでしょう。

気圧の変化による頭痛が起こりやすい方は?

頭に手を当てる
気圧の変化が生じると誰もが頭痛になるわけではありません。頭痛が起こりやすい要因を持っている方に出やすい症状といえるでしょう。
気圧の変化によって頭痛が起こりやすい方は次の条件に当てはまることが多いようです。

  • 自律神経が乱れやすい
  • 内耳が敏感で気圧の変化を感じやすい
  • 血行不良
  • 日頃から痛みの原因を持っている

上記に該当する方は気圧の変化で頭痛を起こしやすい傾向があるでしょう。
特に内耳が敏感な方は頭痛が起こりやすくなります。気圧の変化を内耳がキャッチするからです。
その他にも、自律神経が乱れやすい方や血行不良の方も頭痛が起きやすいです。耳周りの血行が悪い方は内耳のリンパ液が滞りがちです。
ストレスが溜まったり血行が悪くなったりすると、気圧の変化で頭痛が起こりやすくなるので、日頃から解消していくと良いかもしれません。

気圧の変化による頭痛の対処法

痛がる女性
気圧の変化のたびに頭痛が起こってしまうと、日常生活をスムーズに送れなくなる可能性があるかもしれません。
特に低気圧が発生しやすい梅雨や台風の時期は、頭痛に見舞われる回数が多くなり、タイミングによっては連日続くこともあり得ます。
頭痛は酷くなるとズキズキと脈打つような痛みが伴うことがあり、場合によっては吐き気や目の前がチカチカしてきます。
頭痛が起きるたびに休めれば良いのですが、頻繁に休みを取れない方もいるでしょう。
頭痛を和らげる方法があれば、病院に行けなかったり休めなかったりする場合に、いつもどおりの生活が送れます。
ここからは頭痛が起きた際の対処法を紹介していきます。

カフェインを摂取する

コーヒー
カフェインを適量摂取すると痛みが和らぎます。カフェインは血管を収縮させる作用があり、頭痛の起こり始めに摂取すると効果が期待されます。
お茶やコーヒーなどを少し飲んでみると良いでしょう。
ただし、カフェインは過剰に摂取すると頭痛が悪化する恐れがあるので、量には注意が必要です。

部屋を暗くする

ライト
気圧の変化による頭痛は自律神経が乱れて交感神経が活発になると酷くなりがちです。
明るい光が刺激となってしまうこともあるので、部屋を暗くして静かに過ごすと頭痛が緩和されるでしょう。
また部屋を暗くすることで副交感神経が優位になってきます。活発になってしまった交感神経を落ち着けることが、頭痛の緩和に繋がります。
また体を動かすと痛みが悪化するので、安静にしていることも重要です。

痛む場所を冷やす

痛む場所を冷やすことも効果的です。気圧の変化による頭痛は脳の血管が拡張して引き起こされます。
症状としては片頭痛と同様で、脳の血管が拡張して、その周囲の神経が炎症を起こしている可能性もあります。
保冷剤や氷をくるんだタオルで患部を冷やすと緩和されるでしょう。

耳をマッサージする

耳の血行を良くすることも大切なポイントです。
気圧の変化をキャッチする内耳の周辺の血行が悪くなっていると、頭痛を招きやすくなります。
血行やリンパ液の滞りを防ぐためにも、耳のマッサージをおすすめします。1日に3回程度マッサージを行うと頭痛が緩和されるでしょう。
マッサージは頭痛が起きてしまった際の対処法だけでなく、毎日続けることで予防にも繋がります。

市販薬を飲む

薬
痛みから一刻も早く解消したい場合は市販の頭痛薬を飲むと良いでしょう。
痛みが酷い場合は病院で診てもらうことが一番ですが、すぐに病院へ行けないときもあるでしょう。
痛みを我慢するのは体に悪影響を及ぼすので、その場合は無理をせず市販薬を飲むことをおすすめします。
ただし、市販薬の使用には注意が必要です。
市販薬を常用してしまうと、薬の効き目が切れると頭痛が起きる薬剤誘発性頭痛を引き起こす可能性があります。
市販薬は一時的な対処方法として留めておくのが良いかもしれません。

気圧の変化による頭痛を予防する方法

ポイント
気圧の変化が起きても頭痛が起きないように予防する方法はあるのでしょうか。
頭痛が起きた先の対処法があったとしても、根本的な解消には繋がりません。
日頃から気をつける点や頭痛を予防する方法があれば、気圧の変化が生じるたびに頭痛に悩まされずに済むでしょう。
ここでは天気に左右されない頭痛の予防方法をお伝えしていきます。

しっかりと睡眠をとる

寝る女性
気圧の変化で起こる頭痛は自律神経が乱れやすくなると、発症しやすくなります。気圧の変化が生じても、自律神経が乱れないように日頃から整えておくことが重要です。
自律神経の調整には十分な睡眠が必要です。
また、質の良い睡眠が取れるよう寝る前の習慣を見直すこともおすすめします。
特に寝る直前にスマホを見ることは避けると良いでしょう。気圧の変化で頭痛を起こしやすい方の中にはスマホを長時間見ている方が多いようです。
質の良い睡眠の妨げになるだけでなく、頭痛の原因にもなりますので、寝る直前でのスマホの使用は減らすと良いでしょう。

バランスの良い食事をとる

 
バランスの良い食事は自律神経を整えることに繋がります。
毎朝決まった時間に朝食をとることもおすすめです。朝食をとることで自律神経が整い体もスムーズに動き出すでしょう。
なお、頭痛を起こしやすい食べ物である、チーズ・ワイン・チョコレートは食べすぎないようにすることをおすすめします。
また、寝る直前に食事をとるのは控えると良いでしょう。寝る3〜4時間前までに食べ終わるのが理想です。

入浴や運動で血行を良くする

血行を良くすることで頭痛の改善に繋がります。特に耳周りで血行不良が起きていると、気圧の変化の影響を受けやすいです。
日頃から入浴や運動を行い血行を良くすることをおすすめします。
頭痛が起きてしまった際の入浴は逆効果の場合がありますが、毎日入浴して血行を促進させると、自律神経も乱れにくくなります。

気圧の変化による頭痛が起こりやすい時期

頭を押さえる女性
気圧の変化による頭痛は低気圧が多く発生する時期に起こりやすいです。
あらかじめ天気が崩れる日をわかっていると、頭痛が起きないよう予防をしたり頭痛が起きることを想定したりして、準備を進められます。
また頭痛が起こりやすい時期がわかっていれば、予定の調整もしやすいでしょう。
ここでは気圧の変化で頭痛が起こりやすい時期を具体的に説明していきます。

梅雨の時期

梅雨は体調を崩しやすい方が増える季節です。雨によって低気圧が生じやすいので頭痛が起きやすいのです。
さらに、長雨で日照時間が短くなるので、セロトニンの分泌が少なくなります。セロトニンは自律神経を整えるのに重要な成分です。
また、蒸し暑い日もあれば肌寒い日もあり、寒暖差が生じやすいのがこの時期の特徴です。寒暖差も体に与える影響は大きく、自律神経が乱れる原因にもなっています。
梅雨は1ヶ月ほど続くので頭痛が長期間続いてしまわないよう、日頃から予防対策をしておくと良いでしょう。

台風の時期

台風が近づくと気圧が急激に下がります。頭痛が発生しやすいのは気圧が下がるときです。
ただ、台風は発生してから日本に近づくまで数日あります。その間に頭痛に対処できるよう準備を進められます。
台風の発生しやすい時期は大体決まっていますが、それでも梅雨と比べると、突然発生するケースが多いでしょう。
台風情報を常にチェックできるよう、天気予報をこまめに確認したり、気圧予測のアプリで気圧を調べてみたりするのも良いかもしれません。

冬は寒さによって頭痛が起こりやすい季節でもあります。寒気が流れ込み気圧が低下することで、頭痛は起こりやすくなります。
冬の寒さによって血管が収縮して、体の血行が悪くなりやすいです。
血行不良は自律神経が乱れるだけでなく、特に気圧の変化を察知する内耳の血行が悪くなると、気圧の変化により敏感になってしまうでしょう。
さらに冬は日照時間の不足によって、自律神経の安定にも関係するセロトニンの分泌が少なくなってしまいます。
冬は自律神経が乱れやすい時期でもあるので、気圧の変化による頭痛が起きやすいです。

気圧の変化による頭痛で受診するタイミング

受付の女性
気圧の変化で起きる頭痛は天気に左右されるので、梅雨の時期は別として、頭痛が毎日発生するというわけではありません。
また気圧の変化が収まると症状も無くなるので、頭痛が発生してもご自身で対処して病院の受診までに至らない方もいるでしょう。
しかし、自律神経を整えたり血行不良を改善したりしても、頭痛が治らない場合が出てくるかもしれません。
また市販薬に頼るようになり服用の機会が増えてしまうこともあるでしょう。
市販薬の服用が続くと、薬の効き目が切れた際に痛みが悪化してしまう薬剤誘発性頭痛を招きかねません。
血行不良を改善したり自律神経を整えたりしても、頭痛が起こるたびに薬の服用頻度が多くなるようでしたら、病院へ受診されることをおすすめします。
なお、頭痛の原因は気圧の変化によるものばかりではありません。次のような症状を感じた場合は、医師に診てもらうと良いでしょう。

  • 今までとは違う激痛
  • 突然起こった頭痛
  • 早朝や朝方に起こる頭痛
  • 段々酷くなる頭痛
  • めまいや嘔吐を伴う頭痛
  • 麻痺や痺れを伴う頭痛

気圧の変化による頭痛とは違う症状や上記のような症状が出た場合は、脳の違う病気の恐れがあります。
例えば、くも膜下出血・脳出血・脳腫瘍などのような命に危険が及ぶ病気の可能性があるかもしれません。
いつもと違う激しい痛みを感じた場合は、すぐに病院へ受診されることをおすすめします。
また気圧の変化による頭痛であっても、痛みの度合いによっては寝込んでしまったり、日常生活に支障が出たりする方もいるでしょう。
気圧の変化が生じるたびに頭痛に悩まされると生活の質にも関わってくるので、頭痛の症状が気になる方は一度医師に相談してみることをおすすめします。

編集部まとめ

リラックスする女性
ここまで気圧の変化で起こる頭痛の理由について解説しました。

頭痛は体の不調の中でも起こりやすい症状ですが、気候の変化で起こる頭痛は誰もが発症するとは限りません。

しかし、天気が崩れると頭痛が起こるという方は増えてきているようです。

天気が崩れるたびに頭痛が起きてしまうと、仕事や日常生活に支障が出てくる恐れもあります。

また、頭痛は些細な症状と思われがちですが、時に大きな病気に繋がるケースもあり得ます。

天気はご自身でコントロールできませんが、頭痛が起こらないよう日頃からセルフケアをすることで、症状を抑えられるかもしれません。

本記事では気圧の変化で起こる頭痛の対処法や予防法についても紹介しています。

天気が崩れると頭痛が起きてしまうという悩みをお持ちの方は、本記事を参考にしてみてください。

この記事の監修医師