急な尿意「過活動膀胱」の治療を医師が解説 注射で治す新しい治療法とは?
過活動膀胱の治療は、投薬治療が基本になるそうです。使用する薬には副作用もあるとさゆりクリニックの藤谷先生は言います。そのかの治療についても詳しく教えてもらいました。
※この記事はMedical DOCにて【「もしかしたら頻尿かも…」泌尿器科を受診する目安と医療機関での検査内容を教えて!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
藤谷 桜子(さゆりクリニック)
編集部
過活動膀胱の治療の流れを教えてください。
藤谷先生
まずは尿検査を行い、尿に血液や細菌が混ざっていないかを確認します。さらに、超音波検査を行って、膀胱や腎臓に異常がないか確認し、また、膀胱に残った尿量を検査します。必要があれば尿の流量や尿漏れの量を測ったり、膀胱鏡による検査を行ったりして、そこで過活動膀胱であることが確認されたら、治療を行います。
編集部
過活動膀胱の具体的な治療法は?
藤谷先生
抗コリン薬 | 膀胱の過剰な収縮を抑え、尿意切迫感や頻尿を改善する |
β3受容体作動薬 | 膀胱の筋肉を緩めて膀胱を広げ、尿を多く溜められるようにする |
編集部
そのほかにはどのようなことを行うのですか?
藤谷先生
・排尿日誌をつけ、トイレに行った時間や尿量を記録する
・骨盤底筋群を鍛えて尿漏れを防ぐ
・膀胱訓練を行って尿意を我慢する時間を少しずつ長くする
編集部
ほかにも治療法はありますか?
藤谷先生
「ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法」という新しい治療法もあります。これは膀胱内壁にA型ボツリヌス毒素を注射するもの。A型ボツリヌス毒素を注射すると、膀胱の神経に作用して、筋肉が緩まります。そのため、過活動膀胱によるさまざまな症状を改善することができるのです。
編集部
具体的に、どのように治療するのですか?
藤谷先生
膀胱鏡を使って膀胱壁内の20〜30か所に注射します。注射は局所麻酔や静脈麻酔などを用いて麻酔下で行われ、手術時間は10〜20分程度。日帰りでの治療が可能です。
編集部
誰でもその治療を受けることができるのですか?
藤谷先生
現在、尿路感染症にかかっている人や、もともと重度の排尿障害がある人は受けることができません。また、妊娠中、授乳中、妊活中の女性も受けることができません。