「腰部脊柱管狭窄症」を悪化させない方法や日常生活での注意点を医師が解説!
「腰部脊柱管狭窄症」は日常生活でできる運動やストレッチで、ある程度は対策することが可能です。今回は、腰部脊柱管狭窄症の予防法や注意点について「出沢明PEDクリニック」の出沢先生に解説していただきました。
監修医師:
出沢 明(出沢明PEDクリニック)
編集部
腰部脊柱管狭窄症とは、どんな病気なのでしょうか?
出沢先生
脊椎、いわゆる背骨の中で、脊髄神経が通っている管を「脊柱管」と言います。この脊柱管が部分的に狭くなることで、神経が圧迫されてしまうのが「脊柱管狭窄症」です。脊椎の中でも、とくに腰部にある脊柱管が狭窄した状態を「腰部脊柱管狭窄症」と呼びます。
編集部
腰部脊柱管狭窄症の保存療法について教えてください。
出沢先生
急激に強い痛みが出た場合には、選択的神経根ブロック注射や硬膜外ブロック注射などで対応します。ほかには、非ステロイド系の消炎鎮痛薬を処方して痛みや炎症を抑えたり、間欠跛行の症状が出ている場合は、血管を広げて血流を改善する「プロスタグランディンE1製剤」を処方したりします。また、薬物療法以外にも、腰部にコルセットなどを装着する「装具療法」や、腰回りの筋力を維持・強化して症状を緩和するための「ストレッチ」などもあります。
編集部
どんなストレッチがいいのですか?
出沢先生
私は「波止場のポーズ」をおすすめしています。自宅の階段や少し高さのある台に片方の足を乗せて、そちらに体重をかけながら反対側の膝を伸ばして息を吐くという方法です。30秒くらいキープしたら、逆の足も同じようにします。
編集部
日常生活で気をつけることなどはありますか?
出沢先生
可能な範囲で運動をするように指導しています。その際、ジョギングなどよりも、腰への負担が少ないウォーキング、とくに水中でのウォーキングや水泳(クロール)などを推奨しています。また、重いものを持ち上げたり、長い時間真っ直ぐに立っていたり、背中をそらすような動作などは、神経への圧迫が強まるので避けるようにしてください。
編集部
腰部脊柱管狭窄症になったとき、どのように向き合えばいいのでしょうか?
出沢先生
社会の高齢化に伴い、脊柱管狭窄症に悩む患者さんが非常に増えています。昔は「手術」というと、高齢者にとってリスクが高いと言われていました。しかし最近では、侵襲の少ない手術も多く開発され、治せる時代になっています。例えば先ほどの「全内視鏡椎弓形成術」は、出血もほとんどなく、手術時間も1時間以内、術後は2~4日で退院できるため、90歳以上の高齢者でも受けられます。対応している医療機関は全国的にもまだ少ないと思いますが、ぜひ検討してみてください。