空腹時に頭が痛くなる原因をご存知ですか? 頭痛と空腹の関係を脳外科医が解説
空腹になると頭が痛くなった経験をしたことはありませんか? 実は空腹時に起こる頭痛は「血糖値」が関係しているとのことです。血糖値というと糖尿病をイメージしますが、どのように頭痛と関係しているのでしょうか。今回はなかめぐろ脳神経外科・内科 頭痛クリニック院長の青山先生に詳しいお話しを伺いました。
監修医師:
青山 尚樹(なかめぐろ脳神経外科・内科 頭痛クリニック)
編集部
空腹時に頭痛が起きることがあります。なぜでしょうか?
青山先生
お腹が空くと頭痛が起きるという人は少なくありません。多くの場合、血糖値が下がっていることが原因となっています。
編集部
なぜ、血糖値が下がると頭痛が起きるのですか?
青山先生
血糖値とは、血液のなかにどれくらいのブドウ糖が含まれているかという数値です。人間の体は、ブドウ糖を栄養源として脳や筋肉などを働かせています。低血糖ということは、血液中のブドウ糖が減っている状態。そのため、脳にとっては栄養不足の状態が起きているのです。
編集部
なぜ、脳が栄養不足になると頭痛が起きるのでしょうか?
青山先生
低血糖自体が、脳にとって内因性のストレスになるからです。それが誘因となり、神経の末端から痛み物質が出て、頭痛が誘発されます。特に空腹時のときには頭の片側、もしくは両側がズキズキと痛む「片頭痛」が起きやすいとされています。
編集部
お腹が空くと吐き気やめまいが起きることもあります。
青山先生
これも低血糖が原因です。低血糖になるとアドレナリンやノルアドレナリンなど数種の物質が過剰に分泌されます。その結果、めまい、手の振え、動悸、冷や汗などの症状がみられます。また空腹がストレスとなり、不安感が強くなるなどメンタル的な影響も出ることがあります。
編集部
空腹自体がストレスになるのですね。
青山先生
そうです。空腹感は個々によって感じ方が違いますが、基本的に食後5時間前後では食前と比べて血糖値が下がることがほとんどです。心の病気にパニック障害というものがあり、一般的に原因はストレスとされていますが、実は、空腹によるストレスが誘因となって症状が起きていることも少なくないのです。それくらい、低血糖は心身にとってさまざまな症状をもたらす原因になるということです。