【睡眠時無呼吸症候群の死亡リスク③】早期発見するためのポイントを医師が解説
睡眠中に何度も呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」。実は睡眠時無呼吸症候群は死亡する可能性のある疾患であることをご存知でしたか? 睡眠時無呼吸症候群の死亡リスクについて「みらいメディカルクリニック茗荷谷」の松本先生に学ぶ特集の第3回。
今回は「早期発見するためのポイント」について解説していただきました。
監修医師:
松本 昌和(みらいメディカルクリニックグループ)
編集部
そうしたリスクを防ぐためには、どうしたら良いのでしょうか?
松本先生
なによりも早期発見、早期治療が大切です。早期のうちに発見し、まだ軽症だった場合は、減量や生活習慣の見直しなどで症状を改善することができます。もし治療が必要な場合は、睡眠中にマウスピースを装着し、気道を広げて空気が通りやすいようにすることもあります。
編集部
もし、すでに重症だった場合は、どうなるのですか?
松本先生
重症の場合は、CPAP(持続陽圧呼吸)療法を開始することもあります。これは睡眠中、特別なマスクを装着して、強制的に空気を送り込むことで気道が閉塞しないようにする治療のことです。機材をレンタルしていただき、毎晩、睡眠時に使用していただきます。
編集部
早期発見するためにはどうしたら良いのでしょうか?
松本先生
睡眠時無呼吸症候群の症状は、さまざまあります。本人が感じる症状としては、「日中の強い眠気」「倦怠感」「集中力の低下」「疲労感」などが挙げられます。これらを感じる人は、早めに内科や呼吸器内科、循環器科などを受診して、睡眠時無呼吸症候群かどうか検査することをお勧めします。
編集部
ほかに、どのようなサインに注意したら良いでしょうか?
松本先生
たとえば、就寝中、トイレに何度も起きたり、寝起きがスッキリしなかったりすることも、睡眠時無呼吸症候群の兆候のひとつです。また、健康診断で血糖、血圧、尿酸の異常が見られた場合にも、睡眠時無呼吸症候群を疑うことをお勧めします。これらの数値は、睡眠時無呼吸症候群になると高値になることがわかっています。そのため、これらの数値のうち、ひとつでも標準より高かったら、念のため、睡眠時無呼吸症候群の検査を受けるとよいでしょう。
編集部
ほかには、どのような症状に注意すれば良いでしょうか?
松本先生
同居している家族などに、「睡眠中に呼吸が止まっている」「大きないびきをかいている」と指摘された場合は要注意です。また、最近では睡眠時に無呼吸になっていないか調べるアプリもあるので、使ってみると気づきのきっかけになるかもしれません。
編集部
最後に、読者へのメッセージがあれば。
松本先生
睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病は、強い関連性があります。そのため、健康診断や人間ドックなどで異常が指摘されたら、「自分は大丈夫」と過信せず、睡眠時無呼吸症候群を疑ってみる価値はあると思います。睡眠時無呼吸症候群の検査は、ご自宅で簡易的に調べるものと、入院してじっくり調べるものの2種類がありますが、ご自宅で行う場合は健康保険が適用になり、3割負担で3000円くらいです。また治療も比較的安価で、CPAPの機材をレンタルする場合の費用は、毎月5000円くらいです。睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合はまず、検査を行い、必要があれば速やかに治療に取り組みましょう。