子どもの「熱中症」への応急処置はご存じですか? 救急車を呼ぶ目安を解説
子どもが熱中症になったとき、「とにかく冷やすこと、水分を補給することが大切」だと看護師の吉村さんは言います。救急車を呼ぶ目安などについても教えてもらいました。
※この記事はMedical DOCにて【子どもの熱中症予防は何に気をつければいい? 気を付けるポイントを教えて!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修看護師:
吉村 真佐美(看護師)
編集部
乳幼児や子どもの熱中症の症状にはどんな特徴がありますか?
吉村さん
軽度のものでは、めまいやたちくらみ、筋肉痛、こむらがえりがみられます。子どもが顔を真っ赤にして大量に汗をかいていたら、深部の体温が上昇している可能性があります。中等度では、頭痛や嘔吐、倦怠感、体に力が入らないなどです。重度では、体温が高い、けいれん、質問に答えないなどの意識障害の症状が現れます。言葉をしゃべれない乳児では、皮膚が乾燥している、元気がない、尿の量が少ない、目を合わせられない、不機嫌、そのほかいつもと様子が違う場合は熱中症を疑ってください。また、重度になると後遺症が残ることもあるため、予防が何よりも大切です。
編集部
熱中症と風邪との違いや見分け方はありますか?
吉村さん
暑い場所で過ごした後に熱中症の症状があれば、熱中症を疑います。それでも、風邪やほかの病気と熱中症の症状の区別は難しいので、前後の経過をみて判断が必要です。一般的には、軽度の熱中症では適切な処置をすれば症状は消失しますが、風邪などのほかの疾患の時には、症状が続きます。また、風邪などの場合は、喉の痛みや鼻汁、咳など熱中症以外の症状があります。
編集部
熱中症になったときの応急処置を教えてください。
吉村さん
とにかく冷やすこと、水分を補給することが大切です。冷房のある部屋や風通しのよい木陰などに避難します。冷えたペットボトルを体に当てる、水を浴びる、保冷剤などをタオルで巻いて当てる、冷たいおしぼりで拭く、扇風機やうちわであおぐなどもあわせて行います。冷やす場所は、おでこより、太い血管のある首の下、腋の下、足の付け根が効果的です。水分補給は意識がもうろうとしている時に無理に飲ませると、誤嚥の危険性があるため注意が必要です。
編集部
受診や救急車を呼ぶ目安ってありますか?
吉村さん
意識障害がある、まっすぐ走れない、歩けない時にはすぐ救急車を呼び、待つ間に応急処置をします。意識障害は、呼びかけに答えないだけでなく、言っていることがおかしい、視点があわない、もうろうとしている状態も含みます。朝は元気だったのに、暑いところで過ごした後に頭痛や嘔吐の症状があるようでしたら中等度の危険があります。応急処置をして早期に受診、または救急車を呼んでください。