認知症『夕暮れ症候群』と「せん妄」の違いは? 施設・病院での名称の違いも
公開日:2024/02/13
認知症の症状のひとつで、夕方になるとソワソワし始めてしまう「夕暮れ症候群」は、せん妄と症状がよく似ています。大きな違いは、発症のタイミングとのことですが、具体的に何でしょうか? 介護福祉士の青木さんに説明してもらいました。
監修介護福祉士:
青木 直士(介護福祉士)
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神奈川社会福祉専門学校卒業。卒業時に介護福祉士取得。卒業後は介護老人保健施設や特別養護老人ホーム(従来型・ユニット型)・認知症共同生活介護(グループホーム)で合わせて9年間勤務。2022年からWebライターとして活動。以降、介護に関する記事などの執筆を行う。
編集部
ここまでお話しを伺ってせん妄の症状に近いと思ったのですが、違いはあるのですか?
青木さん
夕暮れ症候群とせん妄に大きな違いはありません。1つ違いがあるとすれば発症するタイミングです。せん妄の場合は環境の変化など精神状態によって症状が起凝ります。しかし、夕暮れ症候群の場合は中長期的に経過をしていきます。せん妄は認知症発症前に起こるケースが多いですね。
編集部
自宅では穏やかだったのに、病院に入院したら別人になったという話をよく耳にします。
青木さん
入院後に急に精神症状が出現する場合、ほとんどが「せん妄」であると言われています。せん妄を発症したら薬による治療と時計やカレンダーの設置など見当識強化を行うことが大切です。
編集部
ちなみに、夕暮れ症候群は介護施設や病院によって呼び方は違うのですか?
青木さん
夕暮れ症候群はほかにも日没症候群やたそがれ現象といった名称で呼ばれています。伝われば問題ありませんが、記録は勤務している病院や施設によって用語の記入方法が定められています。記録は誰が読んでもわかる内容なので一般的に夕暮れ症候群が広く知れ渡っているため、記入する際は夕暮れ症候群と記載した方がいいでしょう。