詩人・新川和江さんが「心筋梗塞」のため逝去 “予防のための生活習慣”を医師が解説
戦後を代表する女性詩人、新川和江さんが「心筋梗塞」により亡くなったことが明らかになりました。95歳でした。「わたしを束ねないで」などの詩で知られ、多くの賞を受賞した詩人です。
今回、医師の佐藤先生に“心筋梗塞を防ぐためのポイント”について伺いました。心筋梗塞は「普段からの生活習慣」が、予防において非常に重要な疾患です。「まだ若いから大丈夫」と思わず、この記事を読んで普段から健康を意識した生活を送りましょう。
※この記事はMedical DOCにて【「心筋梗塞を予防」する可能性の高い食べ物はご存知ですか?医師が解説!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
佐藤 浩樹(医師)
目次 -INDEX-
「心筋梗塞」とは?
心筋梗塞は心臓の筋肉(心筋)を栄養する血管(冠動脈)が詰まり、十分な酸素が届かず心筋が壊死する病気です。心筋梗塞は突然死の原因にもなる怖い病気ですが、心筋梗塞を予防するためには生活習慣の改善が非常に重要となります。この記事では心筋梗塞の主な原因や気を付けるべき生活習慣について解説します。
心筋梗塞の主な原因
心筋梗塞にはさまざまな原因があります。この章では心筋梗塞の主な原因を解説します。
動脈硬化
動脈硬化は、血管の内側にコレステロールや脂質などが蓄積し、血管壁が厚くかつ硬くなる状態を指します。これにより、血管が狭くなり、血液の流れが阻害されます。動脈硬化は、高血圧や喫煙、高コレステロールなどの生活習慣の影響を受け、心筋梗塞の原因になります。
高血圧
高血圧によって、血液が血管壁に与える圧力が高くなるため、動脈が厚く硬くなります。そのため、高血圧は動脈硬化の原因になります。高血圧が長い間持続すると、血管は狭くなり、閉塞してその先に充分な血液が届かなくなります。これが心筋梗塞の原因となるため、高血圧の方は血圧管理のため内科を受診するようにしましょう。
喫煙
喫煙はさまざまな病気の原因になります。喫煙は動脈硬化を引き起こすため、心筋梗塞の直接的な原因になります。さらに、喫煙は糖尿病などの病気を引き起こして、間接的にも心筋梗塞のリスクを上げます。喫煙は自分で辞めることが理想ですが、難しい場合は禁煙外来を受診して薬物療法などを行います。
心筋梗塞の代表的な症状
心筋梗塞は一刻も早い対応が重要です。この章では心筋梗塞の代表的な症状について解説します。
持続する胸の痛み
心筋梗塞では胸の痛みが出ることが特徴的です。運動時に悪化することがありますが、狭心症でも同じような胸の痛みを認めます。狭心症との違いは、安静にしても胸の痛みが続き、それが持続することです。このような症状がある場合は救急診療科を受診するようにしましょう。
息切れや疲労
心筋梗塞では息苦しい、疲れやすいという症状が出ることがあります。これは他の病気でも見られる症状ですが、胸の痛みとともに息切れや疲労感がある場合は注意が必要です。できるだけ早めに循環器内科や内科を受診するようにしましょう。
吐き気や嘔吐
心筋梗塞では吐き気や嘔吐などの症状が出ることがあります。ただし、これだけでは心筋梗塞以外の病気の可能性も十分にありえます。症状が続く場合は近くの内科を受診するようにしましょう。
心筋梗塞を予防する可能性の高い食べもの
心筋梗塞を予防する可能性がある食べ物は、以下のようなものがあります。
青魚
サバ、イワシ、サンマ、鮭などの青魚には、血液をサラサラにし、血栓を防ぐ効果があるオメガ3系脂肪酸(DHA、EPA)が豊富に含まれています。主食をお肉から青魚に変えて、積極的に取るのが望ましいです。
野菜や果物
緑黄色野菜や果物には、血管の弾力性を保つビタミンCや、血圧を下げるカリウムが多く含まれています。また、食物繊維も血中の悪玉コレステロールを減らします。サラダや生の果物などを食事に取り入れるようにしましょう。
大豆製品
納豆、豆腐などの大豆製品には、血液を固まりにくくするナットウキナーゼや、コレステロールを下げるイソフラボンが含まれています。大豆製品は動物性脂肪の代わりになる良質なタンパク質源でもあります。最近は大豆ミートなども販売されているため、肉料理の代わりに大豆製品を使うのも良い方法です。
心筋梗塞を予防するために大切な生活習慣・運動習慣
心筋梗塞はさまざまな生活習慣が影響します。心筋梗塞を予防するためには、生活習慣の見直しが必要です。ここでは、心筋梗塞の予防のために、特に重要な生活習慣について解説します。
食生活の見直し
心筋梗塞の原因として、高血圧、脂質異常症、糖尿病が知られています。これら疾患管理のためには、食生活を見直すことが重要です。例えば、1日の塩分摂取を制限することや、外食の回数を減らすことなどが挙げられます。また、バランスの良い食事も重要ですので、糖質や脂質は控え、野菜や果物を積極的に取るようにしましょう。ただし、栄養状態は人によって異なるため、適切な食事管理は主治医や栄養士と相談することが安心です。
適度な運動
運動はさまざまな病気を予防するとされており、心筋梗塞はガイドラインでも運動、特に有酸素運動などは推奨されています。ウォーキングや軽いエアロビなどが有酸素運動に該当します。他にも、少し汗をかいて、会話をしながら行える程度の運動でも構いません。このような有酸素運動は毎日何時間も行うのが理想ですが、続けることが重要です。短い時間でも構いませんので、運動習慣を継続するようにしましょう。
禁煙
喫煙は動脈硬化を進行させたり、血栓を形成しやすくしたり、高血圧の原因になったりするなど、心筋梗塞の原因となることがあります。特に、女性の場合には喫煙が心筋梗塞の最大のリスク要因であると言われています。そのため、心筋梗塞を予防したい場合には、禁煙は非常に重要です。禁煙には薬物療法や非薬物療法などの方法がありますので、禁煙したいと考えている方は禁煙外来に相談してみると良いでしょう。
「心筋梗塞の予防」についてよくある質問
ここまで心筋梗塞の予防について紹介しました。ここでは「心筋梗塞の予防」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
心筋梗塞を予防するために定期的に受診したほうがいい検査について教えてください。
佐藤 浩樹 医師
動脈硬化の早期発見が大切になります。そのため、血圧脈波検査(CAVI検査)、頸動脈エコー検査が有用です。また、狭心症や心筋梗塞が疑われる際には、冠動脈CT検査や心筋シンチグラフィー、心臓カテーテル検査といった検査を行います。
コーヒーや烏龍茶を飲むと心筋梗塞を予防することが出来るのでしょうか?
佐藤 浩樹 医師
コーヒーに含まれるポリフェノールであるクロロゲン酸の仲間は、体の中でフェルラ酸という成分に代謝されます。このフェルラ酸は血小板が固まるのを防ぎ、血液をサラサラにするとされています。結果として、血管が詰まりにくくなり、心筋梗塞を予防すると考えられています。また、烏龍茶に含まれるカテキンなども動脈硬化を防ぐ効果が期待できるとされています。
心筋梗塞発症後はどのような薬を服用しますか?
佐藤 浩樹 医師
心筋梗塞発症後は、血管を拡張させる薬、血栓を作りにくくする薬、発症後6時間以内であればt-PA(血栓溶解療法)などを使います。 その他にも、合併症に対して、血圧を下げる薬や脂質異常症に対する薬を併用して使われることが多いです。
編集部まとめ
心筋梗塞はさまざまな生活習慣が影響しています。ご飯を外食から自炊に変えたり、運動をしてみたりすることで、心筋梗塞を予防することができるかもしれません。これらの生活習慣は心筋梗塞だけでなく、さまざまな病気の予防に繋がります。この記事が、自分の生活習慣を変えていく手助けになれば幸いです。