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歯科矯正のリテーナーとは?種類・期間を解説

 公開日:2023/12/14
矯正装置

歯科矯正は歯並びを整えて終わりではありません。矯正後も歯には元の位置に戻そうとする力が作用します。

そのため、リテーナーと呼ばれる装置を使います。リテーナーは矯正した歯と歯の咬み合わせの維持に必要です。

矯正装置を外した後はまだ歯の周りの骨が安定していないため、元に戻ろうと動く場合があります。それを防ぐために、リテーナーを装着します。

歯の位置や形態が安定して後戻りが起こらないようにするには、リテーナーの正しい装着が大切です。

歯科矯正を行うときのリテーナーについて、その種類・期間などをわかりやすく解説しますので参考にしてください。

坂本 輝雄

監修歯科医師
坂本 輝雄(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科)

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東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授

歯科矯正のリテーナーとは?

リテーナー

リテーナーとは矯正治療が終わった後に歯並びを保つために使用される装置です。歯の周りの骨が安定するまで使用されます。
使用期間については矯正の内容にもよりますが、最低1年以上はつけ続ける必要があると考えてください。2年間つけ続ければ後戻りのリスクはほとんどなくなります。
装着するメリットは何よりも後戻りのリスクを減らせることです。リテーナーには、自分で取り外すことが可能なタイプと固定して使うタイプがあります。
取り外しができるタイプは食事をするときや歯磨きのときに外せるため、食事がしづらい・歯磨きがしづらいといったトラブルがありません。
しかし付けるのを忘れてしまう恐れがあります。一方、固定タイプは取り外しができませんが付け忘れを防げます。
それぞれにメリットデメリットがあるので、自分にあったリテーナーを選ぶとよいでしょう。
リテーナーの費用相場は片顎につき約20,000~40,000円(税込)程度となっています。

リテーナーの種類

リテーナー種類

リテーナーの種類は主に、ワイヤープレート型・マウスピース型・プレート型の3つです。ワイヤープレート型は歯全体をワイヤーで囲むもので取り外しができます。
マウスピース型は透明なマウスピースをはめるタイプで取り外しが可能です。ワイヤー型は歯の裏側にワイヤーを貼り付け固定するタイプで取り外しはできません。
どれがよいかは個人の歯並び・噛み合わせの状態・審美性・コストなどによって異なってきます。
下記ではそれぞれのリテーナーの特徴などを紹介します。

ベッグリテーナー

ベッグリテーナーとは矯正治療をした後に歯の位置を保定する装置です。歯の表側にはワイヤーを、舌側(裏側)にはプラスチックのプレートを、それぞれに付着して歯列の全体を固定します。
取り外しができるため歯磨きがしやすく、装置も目立ちにくいです。歯列の全体をしっかりと保定することが可能です。
咬合面の咬む部分が覆われていないため、細かい咬み合わせの調整ができます。ただし、口蓋がプラスチックで覆われ発音がしにくく、プレートが汚れやすいのがデメリットです。
他にもワイヤーで歯の中心を固定するため、口を開けた際にワイヤーが見えてしまうのもデメリットの1つです。
歯科矯正をしているのを知られたくない方や、接客業など人と接する機会が多い方にとっては見た目が気になるかもしれません。

ホーレーリテーナー

ホーレーリテーナーは前歯だけをワイヤーで固定して、裏側をプラスチック・プレートで固定します。
全体を覆うベックタイプよりワイヤーが見える範囲は少なくなり、取り外し可能です。審美性が高く前歯の安定効果があり、食事や歯磨きの際に外せるのがメリットです。
ただし、むし歯などの可能性が無く簡単で利便性が高い反面、装着時間が少なかったり紛失などが重なったりすると戻ってしまうこともあるのがデメリットです。
透明な装置なので落としたりすると探すのが大変です。紛失しないように注意しましょう。

リンガルリテーナー

リンガルリテーナーは歯の舌側(裏側)にワイヤーを固定します。特徴は目立ちにくいことと取り外しできないことです。
歯の表側にブラケットを装着した場合や、リンガル矯正を行った場合に使用されます。見た目が気になりませんし、装着を忘れる心配もありません。
歯ぎしりや咬みしめの癖があっても使用できるのがメリットです。しかし、歯磨きが難しいことと舌に違和感があるというデメリットがあります。
歯磨きがしづらいため食べ物のカス・歯石が残りやすく、むし歯・歯周病のリスクも高くなります。
リンガルリテーナーは定期的に洗浄する必要があるので、むし歯・歯周病のリスクなども考えると定期的に通院できる方に向いているといえるでしょう。

クリアリテーナー(マウスピース型)

クリアリテーナー

クリアリテーナーは透明な樹脂で作られていて取り外しできるタイプです。目立たず清潔に保てます。
歯型に合わせて作られフィット感が高く違和感が少なく食事や歯磨きの際に外せ、口腔衛生を維持しやすいのがメリットです。
ただし、熱に弱く変形しやすいため注意して扱う必要があります。耐久性が低く歯ぎしりや咬みしめる癖があると破れやすいのがデメリットです。

リテーナーの1日の装着時間は?

時計

リテーナーを使用する際は、できるだけ1日の装着時間を長くとるようにしましょう。日中・夜間を含めできるだけ長く装着するのがおすすめです。
ワイヤー付きリテーナー・透明プラスチックリテーナーで推奨されるのは、当初半年間は1日中装着、その後は就寝時に装着ということです。
固定リテーナーは歯の裏側にワイヤーを固定することが必要で、常時の装着が必要となります。

リテーナーの装着期間

歯

リテーナーの装着期間は一般的に矯正装置をつけた期間と同じくらいの期間が必要です。個人差があり、さらに長期間の使用を必要とする場合もあります。
歯の後戻りは治療後の半年間に起こりやすいため、食事・歯ブラシ時以外の20時間の装着が必要です。
その後は、歯の状態も安定してくるため使用時間を減らしていき、最終的には就寝時のみ装着するような形になります。

矯正期間と同じくらいの期間装着する

リテーナーは矯正歯科での治療が終了した後に歯並びや咬み合わせを安定させる装置です。
歯には元の位置に戻ろうとする後戻りがありますが、リテーナーはこれを防止する役割を果たします。
そのため装着する期間は個人差がありますが、矯正期間と同じくらいの期間とされるのが一般的です。

自己判断でやめるのは禁物

バツマーク

リテーナーの目的は歯列矯正を行って動かした歯を安定させることです。リテーナーを正しく使わないとトラブルが発生してせっかく矯正した歯が後戻りしてしまいます。
これを避けるには一定の期間リテーナーを装着して、歯の位置を保持しなければなりません。リテーナーの使用を自分で判断して勝手に中断するのは避けましょう。
勝手に自分で判断してリテーナーの装着をやめてしまうのは、せっかく矯正した歯が元に戻ってしまう結果となる大きなリスクです。

リテーナーをさぼるとどうなるの?

疑問

リテーナーをさぼると矯正した歯が元の位置に戻ってしまう後戻りを起こす可能性があります。矯正直後は歯を支える骨や組織は元の歯の状態を認識しており、歯はまだ不安定です。
放っておくと自然に矯正前の状態に戻ろうとします。そのため、リテーナーを正しく使わないことは、矯正した歯が元に戻ってしまうというトラブルの大きな原因になります。
後戻りになるのを防ぐためには、リテーナーを正しく使うことが必要です。ここからはリテーナーをさぼることでどのようなトラブルが起きるのかをみていきます。

歯が動いてしまう

リテーナーは矯正後に歯が後戻りしないようにするための装置です。リテーナーを使わないと歯は元の位置に戻ろうとする力が働きます。
歯を支える骨や組織がまだ安定しておらず、歯が動きやすい状態にあるからです。歯が動いてしまった場合は、再矯正が必要になる可能性があります。
リテーナーは矯正治療の最終段階であり、美しい歯並びを維持するために欠かせないものです。
矯正治療が終わるとそこで気が抜け、リテーナーをさぼってしまう方もいます。しかしリテーナーを使った保定期間も、矯正治療に含まれています。
矯正装置が外れたから終わりではありません。矯正装置と同じように、リテーナーも正しい使い方やお手入れを心がけてください。

リテーナーを作り直さなくてはいけなくなる

リテーナーが合わなかったり歯並びに問題が生じたりした場合は、リテーナーの作り直しが必要になります。
リテーナーが合わなくなるのは、さぼっていた間に後戻りした可能性があります。少しきついなと感じてもきちんと装着ができれば問題はありません。
もしリテーナーが破損していた場合は歯に適切な保持力をかけられなくなるため、新しいリテーナーに交換する必要があります。
リテーナーが汚れた場合は、食べ残し・磨き残し・色の濃い食べ物・飲み物・タバコなどが原因となるため、リテーナーの洗浄が必要となります。
リテーナーが合わなくなったときは歯の位置が変わった可能性がありますので、早急に歯科医師に相談し新しいリテーナーに交換しましょう。

歯科矯正がやり直しになる可能性も

リテーナーを正しく使用しないと歯が後戻りして矯正が無駄になる可能性があります。そうすると歯科矯正やり直しになるかもしれません。
リテーナーの装着をさぼり、矯正治療をやり直す方も実際にいます。しっかりと決められた期間、リテーナーを装着しましょう。
リテーナーを使用する方法や期間については、歯科医師の指示に従うことが大切です。
リテーナーの種類やサイズが自分の歯に合わない場合や歯並び以外の要因(舌癖や咬み癖など)で歯が動く場合などもあります。
リテーナーを使っていて違和感がある・さぼっていないのに後戻りしている感じがあるなどのトラブルがあったら歯科医師に相談してみるとよいでしょう。

歯科矯正のリテーナーに関する注意点

注意点

リテーナーをつけたまま食べたり飲んだりすると、樹脂やワイヤーが割れたり外れたりする恐れがありますので、飲食中は取り外してください。
リテーナーを外した時には専用のケースや固い入れ物に入れて保管しましょう。リテーナーは毎日使用するものなので、定期的に洗浄して清潔に保ちましょう。
激しい運動中に口内に衝撃が加わるとリテーナーや歯が傷つく可能性もありますので、運動前には必ずリテーナーを外しておきましょう。
リテーナーを装着しているときに違和感や痛みを感じた場合は、自分でワイヤーや樹脂を曲げたり切ったりしないでください。
他にも注意点はあります。下記では特に気を付けたい注意点について紹介しています。

歯科医師に指示された1日の装着時間をしっかり守る

後戻りを防ぐためには、一定期間歯の位置を固定する必要があります。リテーナーの装着期間は、個人差がありますが、目安としては矯正にかかった期間と同じくらいです。
矯正終了直後は特に歯が後戻りしやすいため、1日のほとんどの時間を装着して過ごします。それから時間が経過するにつれ装着時間は徐々に短くなり、最終的には外すのが一般的です。
この判断は歯科医師が検査や診断をして行いますので、自己判断で中止したり時間を短くしたりしないようにしてください。

取り外せるタイプは紛失に注意する

わからない女性

取り外せるタイプのリテーナーは、食事や歯磨きの時に外せるので清潔に保ちやすいというメリットがあります。
その分紛失しやすいというのがデメリットです。紛失した場合は、すぐに歯科医院に連絡して再製作を依頼する必要があります。
再製作には時間と費用がかかり、その間に歯並びが変わってしまうかもしれません。紛失を防ぐためには、リテーナーを外したら必ず専用のケースに入れて保管することが大切です。

圧がかからないよう口腔習癖に気をつける

リテーナーを装着する際には口腔習癖に気をつける必要があります。口腔習癖は舌や唇を歯に当てたり、爪やペンを噛んだり、歯ぎしりや食いしばりをしたりするような癖です。
口腔習癖はリテーナーに不必要な圧力を加えリテーナーのズレや変形を引き起こします。口腔習癖がある場合は、リテーナーだけでは後戻りを防ぐことが困難です。
リテーナー自体にも圧力がかかってしまい破損したり変形したりするかもしれません。口腔習癖を改善するためには治療やトレーニングが必要です。

飲食の際には外す

リテーナーには着脱が可能なタイプと固定されたタイプがあります。着脱が可能なタイプのリテーナーは飲食するときには外してください。
リテーナーを装着したまま食事をすると装置が破損したり傷ついたりする可能性があります。また、食べかすが歯やリテーナーに付着してむし歯や歯周病の原因になります。
もしリテーナーを装着したまま飲食をした場合は、リテーナーをきれいに洗浄してください。もし破損してしまったら、速やかに歯科医師へ相談しましょう。
唾液の自浄作用が低下するため、リテーナーを装着するのは歯を磨いてからがおすすめです。リテーナーを外す時間はできるだけ短くしてください。

編集部まとめ

笑顔の女性

歯科矯正のリテーナーについて、種類・装着の時間・期間などを解説しました。

リテーナーの使い方は種類によって異なりますが、基本的には歯科医師から指示された時間にきちんと装着することが大切です。

後戻りを防ぐためにも、保定期間中はリテーナーをきちんと装着してください。歯科矯正の目的を達する上で疑問になる点については、この記事をぜひ参考にしてください。

この記事の監修歯科医師