健康保険組合が作成している「データヘルス計画」ってどんなものなの?

公開日:2021/07/01  更新日:2021/06/30
健康保険組合が作成している「データヘルス計画」ってどんなものなの?

データヘルス計画」という言葉をご存知でしょうか。あまり聞いたことがない人も多いかも知れませんが、じつは私たちの身近な問題にもつながっているのです。今回、私たちの生活とデータヘルス計画の意外な接点について、「看護師・保健師」の高橋さんに詳しい話を聞いてきました。

高橋真奈美さん

監修看護師・保険師
高橋 真奈美(株式会社ファースト・ナース所属 訪問看護師・保健師)

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前橋東看護学校卒業。群馬県立県民健康科学大学(旧・群馬県立医療短期大学)地域看護学専攻を経て、看護師・保健師免許を取得。その後、健康診断センター、国民健康保険団体連合会勤務中に保健活動を考える自主的研究会所属。地域包括支援センターのセンター長を経験。現在は訪問看護師として、利用者様の多様な疾病の重症化予防のため毎日奔走している。

病気の予防が経済にも関係している

病気の予防が経済にも関係している

編集部編集部

データヘルス計画とは、どのようなものですか?

高橋真奈美さん高橋さん

データヘルス計画は、被保険者(保険加入者)の健診結果の数値や医療・介護などのデータ分析に基づいて、効果的かつ効率的な保健事業を実施する取り組みのことです。被保険者の平均値や目標数値がわかるため、保健事業をおこなう保険者は被保険者に対しての保健指導などがしやすくなります。

編集部編集部

なぜ、このような計画ができたのですか?

高橋真奈美さん高橋さん

高齢者の増加による社会保障費の不足が背景にあります。高齢者の医療費を確保するための制度が整備される中、保険者による健康管理が重視されるようになりました。

編集部編集部

つまり、健康管理による予防が重要だと?

高橋真奈美さん高橋さん

はい。悪化すると後遺症が残ったり、介護や透析などが必要となったりするため、健康管理をして予防に努めることが大事です。脳血管疾患や虚血性心疾患、腎不全などの疾患の治療には高い医療費がかかります。そのため、保険者が特定健診や特定保健指導などでこれらの予防に取り組み、成果を上げることで医療費を削減できます。データヘルス計画を活用し、社会保障の安定化を図っているというわけです。

編集部編集部

健康だけでなく経済問題でもあるのですね。

高橋真奈美さん高橋さん

そうですね。データヘルス計画には、国が定める保健事業の指針が記されています。それを達成していくことで医療費が適正化され、社会保障費が確保されていきます。健康問題といいつつ、じつはお金の問題なのです。

被保険者が健康を意識するきっかけにも

被保険者が健康を意識するきっかけにも

編集部編集部

データヘルス計画に記されている数値や目標は、私たち被保険者が見るものなのでしょうか?

高橋真奈美さん高橋さん

被保険者は目を通した方がよいと思います。保険者が「病気を予防しなければ」という意識で接していても、被保険者自身が予防をおこなわないと意味がありません。被保険者が見ることで、自分たち保険加入者の健康状態、どのような病気の人が多いのか、健康保険料として納めたお金がどう使われているかを知ることができます。その結果、「自分はどのように健康づくりをするべきか」、「保険料を抑えるにはどうしたらいいか」などを考えるきっかけになると思います。

編集部編集部

なるほど。保険者だけなく、被保険者の努力も重要なのですね。

高橋真奈美さん高橋さん

そうですね。多くの人がなにも気にせず自由に過ごしてしまうと、介護や福祉のコストがどんどん膨れ上がり、社会保障費も余計に必要になっていきます。もし、誰も予防をおこなわなければ、消費税はあっという間に15%まで増税されてしまうかもしれません。

編集部編集部

私たち、被保険者の努力が増税の阻止につながるのですね。

高橋真奈美さん高橋さん

まさにその通りです。被保険者の健康状態が改善されれば、保険者は後期高齢者の医療に回す費用が減少します。それが増税阻止にもなるのです。

健診前にぜひチェックしてみよう

健診前にぜひチェックしてみよう

編集部編集部

データヘルス計画は、どこで確認することができるのでしょうか?

高橋真奈美さん高橋さん

自分の加入している健康保険組合などのホームページで見ることができます。住んでいる地域の資料を確認すると、自分と置き換えやすいかもしれません。また、ご自身の健診に向けて確認するのも、健康目標を立てやすくていいかもしれませんね。自分の健診結果で目標が達成できれば、自分もデータヘルス計画の目標達成や社会保障に貢献しているといった励みが増えるかもしれません。

編集部編集部

データヘルス計画があることで、個人的に健康指導を受けることはできるのですか?

高橋真奈美さん高橋さん

データヘルス計画では、“特定保健指導の実施率アップ”、“糖尿病の重症化予防”を目標に掲げていることが多いのです。この目標達成に向けた事業計画があるため、保険者は被保険者の健康改善の個人指導に、取り組みやすくなっています。健康について気になることがある人は、ぜひ専門家に相談してみてください。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

高橋真奈美さん高橋さん

生活習慣病は年々、増えています。しかし、早期予防に取り組むことで、病気になる人や重症化する人は減っていくのです。また、消費税増税の原因が医療や介護などの社会保障費の不足だということを多くの人が知れば、健康志向はより上がると思います。各人の健康意識の改善は、回り回って私たちの経済的負担を減らしてくれます。

編集部まとめ

データヘルス計画とは、健康の指針を示し、効果的かつ効率的な保健事業を実施するものでした。病気の予防や健康を維持することが、社会保障費の節約にもつながります。つまり、健康問題だけでなく、経済問題につながるものでした。データヘルス計画を見ることで、被保険者も仕組みを知ることができ、健康について積極的に考えるきっかけになりそうです