【漫画付き】バリウム検査と内視鏡検査の違いって何? どちらを受ければいいの?

公開日:2019/11/21
【漫画付き】バリウム検査と内視鏡検査の違いって何? どちらを受ければいいの?

胃の検査で用いられるのが、バリウムを用いるX線造影検査または内視鏡検査だ。その違いは一般に、「間接視と直接視の差」と思われているものの、はたしてそれだけなのだろうか。それぞれにしかない特徴はないのだろうか。両者の違いについて、読売ランド前すわクリニックの諏訪敏之先生に解説いただいた。

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聖マリアンナ医科大学卒業。島田総合病院、聖ヨゼフ病院、聖マリアンナ医科大学病院、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院、メディクスクリニック副院長をへた2014年、神奈川県川崎市に読売ランド前すわクリニック開院。消化器疾患領域の診療を軸とし、治療のみならず、消化器官内視鏡を用いた予防医療に務めている。日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、初期臨床研修指導医。日本消化管学会、日本外科系連合学会、日本癌治療学会、日本大腸肛門病学会、日本外科感染症学会の各会所属。

編集部編集部

まずは、バリウム造影検査と内視鏡検査の違いについてお願いします。

諏訪先生

バリウム造影検査を例えるなら「影絵」のようなもの。のんだバリウムにX線を当てて、その形などから診断していきます。対する内視鏡検査は「生写真」。胃の中をじかに観察するので、「形」に限らず「質」的な診断が可能です。「影絵」には反映されにくい色の変化などが見てとれます。

編集部編集部

そう聞くと、「バリウム造影検査」のほうが劣っているように感じます。

諏訪先生

そんなことはありませんよ。例えば胃の壁の下で進行する「スキルス胃がん」の場合、見た目だけでは、その変化に気付きにくいのです。その点、バリウム造影検査なら、胃壁が膨らまないことで異変に気付くこともあります。また、会社の健診のようにスムーズさやスピーディーさを求める場面では、バリウム造影検査に分があるでしょう。

編集部編集部

それぞれのメリット・デメリットを整理していただけますか?

諏訪先生

わかりました。内視鏡検査のメリットは、じかに視ることでより早期の異変を発見しやすいこと。デメリットは、患者さんの負担が大きいこと、誤嚥(ごえん)によって菌やウイルスが肺へ侵入するリスクがあること、検査や準備で約半日を要することなどです。

編集部編集部

続けて、バリウム造影検査についても教えてください。

諏訪先生

バリウム造影検査のメリットは、かかる時間の少ないこと。それと、先ほどの「スキルス胃がん」を発見しやすいことでしょう。デメリットは、「形」からの判断に限界があり、異変を見逃す可能性のあることです。注意点として、胃カメラの普及により、バリウム造影検査を正確に診断できる医師が減ってきていることも挙げられます。

編集部編集部

私たちは、どちらの検査を選べばいいのでしょう?

諏訪先生

患者さんが何を望んでいるかによりますね。負担が少なくスピーディーに検査したいならバリウム造影検査。半日がかりでも病気の可能性を細かく調べたいなら内視鏡検査。ただし、50歳以上で胃の内視鏡検査を受けたことのない方は、一度、詳しく診てもらったほうがいいかもしれません。

内視鏡検査とピロリ菌の関係

編集部編集部

どちらかの検査にしかない特徴はありますか?

諏訪先生

内視鏡は、組織の一部を摘出することが可能です。これにより、がんと疑われる組織の詳しい検査が可能になります。また、ピロリ菌の有無も調べられます。取った組織を試薬の中に入れる「迅速ウレアーゼ検査」なら、色の変化がその場で識別できるでしょう。

編集部編集部

ピロリ菌について、詳しく教えてください。

諏訪先生

ピロリ菌は、胃のほとんどの症状と深い関わりを持つ“悪い菌”です。感染するタイミングは子どものころで、上下水道の発達により、若い世代の感染率は低い傾向にあります。ざっと20代で20%、30代で30%、40代で40%といった割合で、年齢と正比例しているようです。

編集部編集部

ピロリ菌は胃がんの原因でもあるのですよね?

諏訪先生

はい。ピロリ菌の感染で萎縮性胃炎を起こすと、胃がんの温床になることが知られています。萎縮性胃炎は見た目が歴然ですので、内視鏡検査ならすぐに診断を付けられます。

内視鏡検査に関する、国の新しい指針

編集部編集部

年齢による検査方法の適正や傾向はあるのですか?

諏訪先生

国の最新の指針では、50歳以上の方に対し、2年に1回の胃内視鏡検査を推奨しています。「検査の受けすぎ」なんてことはありませんから、積極的に検討してみてください。30代以下の方なら、症状があれば、胃の内視鏡検査を推奨します。

編集部編集部

画像診断はどうやっておこなっているのでしょう?

諏訪先生

川崎市の胃がん検診では、担当医ともう1人の消化器内視鏡学会の専門医によって、ダブルチェックをおこなっています。ただし、これは自治体によって差異があるかもしれません。一般的な検査となると、担当医のみに委ねられることが多いですね。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

諏訪先生

「胃がんを早期に発見する」という目的なら、内視鏡検査に分があると考えています。ピロリ菌へ感染していると、胃に何かしらの変調が起きるはず。だからこそ、内視鏡による視認が有効です。形式的な検査で終わらせず、胃炎などの症状をきちんと評価する意味でも、胃内視鏡検査の意義は大きいでしょう。

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