内視鏡検査は麻酔を使ったほうが安心?

公開日:2020/08/13  更新日:2020/08/19

海外では、ほとんどの人が内視鏡検査時に麻酔を使用すると言われています。
では、内視鏡検査で麻酔を使用すると、どんなメリットがあるのでしょうか。逆に、どんなリスクを考えるべきでしょうか。みなさんが内視鏡検査を受けられる際に、麻酔を使用するかどうかを決定するのに役立つ情報をご紹介します。

この記事の監修医師
宮崎 郁子 (東京国際クリニック 医科副院長)

内視鏡検査で使用する麻酔とは

内視鏡検査で使用する「麻酔」は、外科手術で行うような全身麻酔のことではありません。内視鏡検査では、鎮痛剤、鎮静剤、精神安定剤、麻酔薬など「麻酔作用のある薬剤」を単独または組み合わせて使用します。
鎮痛剤や鎮静剤、精神安定剤には、ぼーっとしたり眠くなったりするなど「意識を低下させる」麻酔作用があります。
検査中の安静を図る目的で、これらの薬剤を筋肉注射や静脈注射し麻酔をします。

検査前の咽頭麻酔はとても重要

胃カメラの際には、嘔吐反射を軽減する目的で、咽頭にスプレー剤またはゼリー剤で麻酔をします。大腸カメラの場合では、肛門に内視鏡の機械を挿入する際の潤滑と鎮痛の目的でゼリー剤を用います。これらスプレー剤やゼリー剤による麻酔は、喉や肛門など体の局所にのみ作用するもので、意識が低下したり、ボーっとすることはありません。特に咽頭麻酔は、検査の安全と被検者の苦痛の軽減のために検査前にしっかりと行うことが重要だと言われています。被検者が、筋肉注射や静脈注射での「麻酔」をしないと選択した場合でも、咽頭麻酔は行うのが通常です。 ただし、麻酔薬のキシロカインなどにアレルギーのある方は使用できません。

麻酔の種類や投与量はどのように決めるの?

種類 薬剤の一般名:商品名 使用方法と特徴 重大な副作用
粘滑・表面麻酔剤 リドカイン製剤:キシロカインスプレー、キシロカインビスカス、キシロカインゼリーなど スプレー剤、またはゼリー剤を咽頭麻酔に用いる。30分~1時間効果が持
ゼリー剤をファイバーの先端に付けて潤滑・鎮痛に用いる
不整脈、呼吸抑制、意識障害、心停止、アナフィラキシーショック、振戦、痙攣など
精神安定剤 ジアゼパム:セルシン、ホリゾンなど 筋肉注射・静脈注射
※拮抗剤としてフルマゼニル(商品名アネキセート)を使用する
刺激興奮、錯乱など
慢性気管支炎等の呼吸器疾患に用いた場合、呼吸抑制が現れることがある。
麻酔導入剤(ベンゾジアゼピン系薬物) フルニトラゼパム:サイレース、ロヒプノールなど 静脈注射
※拮抗剤としてフルマゼニル(商品名アネキセート)を使用する
興奮、錯乱、呼吸抑制、意識障害、一過性前向性健忘、もうろう状態など
催眠鎮静剤 ミダゾラム:ドルミカム 筋肉注射・静脈注射
※拮抗剤としてフルマゼニル(商品名アネキセート)を使用する
無呼吸、呼吸抑制、舌根沈下、アナフィラキシーショック、心停止、不整脈など
麻薬性鎮痛剤 塩酸ペチジン:オピスタン 皮下注射・筋肉注射
※拮抗剤として塩酸ナロキソンを使用する
痛みを軽減するために大腸カメラで使用することが多い
不整脈、呼吸抑制、意識障害、心停止、アナフィラキシーショック、錯乱、せん妄、痙攣など
鎮痛薬 ペンタゾシン:ソセゴン 皮下注射・筋肉注射・静脈注射 呼吸困難、血圧降下、不整脈、呼吸抑制、痙攣など
全身麻酔・鎮静用剤 プロポフォール:ディプリパン注 静脈注射
※拮抗薬なし。比較的短時間で覚醒する
低血圧、気管支痙攣、無呼吸、舌根沈下、痙攣、不整脈など

参考:日本消化器内視鏡学会「内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン」
内視鏡検査で使用する麻酔作用のある薬には、上記のように数多くの種類があります。各々の検査の際に使用する薬剤の種類や量は、検査を実施する病院や医師の方針、受診者の体質・体格や要望など様々な要素を考慮して決められます。

内視鏡検査で麻酔を使用するメリットとは?

内視鏡検査には苦痛が伴う場合があるので、麻酔の使用を勧められることがあります。内視鏡の時に麻酔を使用する主な理由は、受診者の不安を取り除くことです。内視鏡診療における鎮静に関するガイドラインには下記のように記されています。

内視鏡診療において鎮静は,患者の不安や不快感を取り除き,内視鏡診療に対する受容性や満足度を改善する効果がある。引用:内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン2013

内視鏡検査をする際に、麻酔を使用することで、不安や不快感が解消されるので、受診者は安心して検査を受けることができます。
また麻酔を使うことについて、検査内容などの向上観点から下記のように記されています。

鎮静は内視鏡医の観点からも,検査の完遂率や検査内容および治療成績の向上においても有用である
引用:内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン2013

麻酔の使用は受診者だけでなく、検査する側の医師にとっても検査がしやすいというメリットがあると言えます。なぜかというと、受診者が検査中に安静を保ち検査に協力的であると、医師は検査に集中でき、より安全に検査を進められるからです。

POINT!
・麻酔の使用は、鎮静・鎮痛効果だけでなく、不安や不快感が解消に効果的
・医師側も受診者が検査に協力的になるため、精度の高い検査が行えるメリットがある

麻酔をしない場合のデメリットとは?

麻酔を使用しないで内視鏡検査をした場合のデメリットを、受診者の側と医療スタッフの側からご紹介します。

デメリット①苦痛を伴うことがある

麻酔なしの場合の最も大きなデメリットとして下記の2点のような苦痛を伴うことがあります。

胃カメラで経験するかもしれない苦痛

内視鏡の機械(ファイバースコープ)を口(もしくは鼻)→喉→食道→胃→十二指腸の順に挿入します。機械が喉のところを通過する際「おえっ」という嘔吐反射が起きます。
(但し、嘔吐反射には個人差があり、ほとんど反応のない方もいます)
検査中は硬い内視鏡が入ったままなので、局所麻酔をしていても喉の部分に常に違和感・異物感があります。
また、内視鏡から空気を送り胃の壁を膨らませながら検査をするので、胃が突っ張って突き上げられるように感じます。

大腸カメラで経験するかもしれない苦痛

内視鏡の機械を肛門から挿入し、小腸の手前まで少しずつ進めていきます。苦痛の感じ方には個人差があります。
腸に空気を送り込みながら内視鏡を入れていく方法では、腸の張った感じや、内視鏡が腸の壁に当たることにより、腸の圧迫感や痛みを感じる人もいます。

デメリット②医療スタッフにとってのマイナス要素

  • 受診者の様子や会話などに気を取られ、検査そのものに集中しにくい。
  • 受診者の苦痛や緊張が強いと、腹圧がかかり挿入しずらくなる。

このような状況で内視鏡検査を実施すると、異常の見落としや、内視鏡機械の操作ミスなどが起こる確率が高くなることも考えられます。

麻酔を使用するリスクとは


ここまでのお読みいただいた限りでは、「内視鏡検査は、麻酔を使ったほうが良い」と感じられたかもしれません。その一方で、麻酔を使用するにはリスクも伴います。内視鏡検査で麻酔を使用するかどうかを決める上で、最も重要な「麻酔のリスク」について解説していきます。

内視鏡で使用する麻酔の副作用

鎮静剤・鎮痛剤・精神安定剤などは、重大な副作用を起こす可能性があります。
重大な副作用が起きる確率は、全体から見ればかなり低いですが、中には呼吸抑制や心停止など、命に関わるものも含まれています。過去には、麻酔導入剤薬(フルニトラゼパムなど)の副作用による死亡事例もあります。検査の前には、麻酔の副作用についてしっかりと説明を受けましょう。

重大な副作用を避けるために

内視鏡検査の前には、薬剤アレルギーの有無や既往歴に関する質問を受けたり、問診票の記入を求められたりすることがあります。これは、検査中の体調管理を万全にし、麻酔による重大な副作用の影響を予防するための大切な調査です。ご自分の情報を正確に伝えましょう。

麻酔後に眠気が残るって聞いたけど運転できる?

麻酔を使用する場合、検査後の過ごし方にも注意が必要です。検査終了後数時間は、麻酔の影響が残ります。特に拮抗剤を使用しない場合は、ふらついたり眠気が残ります。しかし、拮抗剤を使用して一時的に意識がはっきりしても、数時間後に再び意識が消失し、運転中に事故を起こしたという事例もあります。これは、麻酔作用の持続時間が拮抗薬の作用時間より長いために、拮抗剤の効果が先に薄れてしまうために起きた可能性が指摘されています。検査後の車の運転は絶対に控えましょう。

POINT!
麻酔をして内視鏡を受ける場合、検査当日は、自転車・バイク・車で来院しない、というのが基本!

検査後すぐの飲食はNG?

胃カメラの検査では咽頭麻酔の効果が1時間ほど残ることがあります。
喉が麻酔が効いた状態での飲食は、誤嚥により食べ物が詰まったりむせたりする原因になります。検査後しばらくして水を飲んでむせないことを確認してから、飲食を再開するようにしましょう。 内視鏡でガスが入っているため、食べると腹痛が起こることもありますので様子をみながら、あまり食べ過ぎないようにしましょう。

麻酔は担当医と相談して使用しよう

内視鏡検査で麻酔を使用するかどうかを決める際には、検査の苦痛だけでなく、薬剤そのもののリスクをよく考慮する必要もります。また、この記事では触れていませんが、麻酔に使用する薬や拮抗剤には費用もかかります。事前に施設に確認することをお勧めします。ぜひ、担当医とよく相談し、ご自身にとって良い検査方法を決定なさってください。

監修ドクターコメント

宮崎先生

かつては内視鏡検査はつらいものという印象がありました。けれども、近年は鎮静剤を使用し、より苦痛の少ない検査へと変化してきています。
受診者様に負担が少ないことはもちろんのこと、安全に精度の高い検査を行うことが内視鏡医すべての願いでもあります。
実は、良い鎮静状態というのは内視鏡の操作のしやすさにも繋がっています。
内視鏡検査というのは受診者様の協力を得て、上手に行えるものだと感じています。

鎮静剤にはいろいろな種類があり、効きやすさに個人差があります。
それらを判断するためにも事前に受診者様とコミュニケーションをとることは重要だと感じています。
わからないことやご不安なことがあれば、小さなことでも担当医師にご相談いただくことが、安全で安心な検査に繋がります。

そして、内視鏡は定期的に継続して受けていただくことも大切です。
「毎年、内視鏡を受けることは苦ではない」と言っていただけますように「内視鏡検査=楽な検査」を目指していきたいと思います。

麻酔でおすすめの内視鏡検査クリニック 関東編

東京国際クリニック

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