十二指腸・小腸・大腸の内視鏡検査と内視鏡を用いた治療

公開日:2020/08/12  更新日:2020/08/19

エコーやCTスキャンなど体内にある臓器を検査する方法はさまざまですが、なかでも、低侵襲で詳細な消化管内の映像を確認できる方法が内視鏡検査です。内視鏡検査は、場合によっては同時に治療を行うこともできます。十二指腸、小腸、大腸、それぞれの内視鏡検査および治療の方法について、Medical DOC編集部がお届けします。

この記事の監修医師
古川 真依子 (東京ミッドタウンクリニック 医師)

小腸の内視鏡検査

かつては困難だった小腸内視鏡検査

小腸は細く長い臓器です。そのため、内視鏡を奥まで挿入することが困難で、かつてはバリウムなどを用いた小腸造影検査が主流でした。内視鏡検査自体は1970年代からいくつかの方法が存在していました。しかし、挿入が困難であったり、可働性が悪かったりといった問題があるものでした。その後、2000年代に入り「カプセル内視鏡」「ダブルバルーン内視鏡」という、現在用いられている方法が開発されます。これによって、「暗黒の臓器」と呼ばれていた小腸の詳細な検査が可能となりました。

小腸カプセル内視鏡

薬のカプセルよりもやや大きめなカプセル型の内視鏡を飲んで行う検査です。飲み込んだカプセルは、消化管の動きによって運ばれながら、7~8時間かけて搭載されたカメラで腸内を撮影し、記録。撮影された画像をコンピュータで動画として解析することで、腸内の様子を知ることができます。小腸カプセル内視鏡は小腸に特化した検査手法です。下血や貧血などの症状があり消化管からの出血が疑われるものの、胃や大腸の内視鏡検査で原因が判明しない場合などに有用とされています。患者さんの負担が少ないのが特徴とされますが、検査のサンプルとなる組織の採取や病変の切除を行うことはできません。また、腸の内容物や機器のバッテリーの関係で、小腸の全範囲が撮影できないこともあります。

ダブルバルーン小腸内視鏡

バルーンを膨らませ、腸管を傷つけずにスコープと外筒を任意の位置に固定する方法です。バルーンは2つあり、交互に膨らませることで、スコープと外筒を尺取り虫のように交互に進めます。バルーンが膨らんだ状態でスコープと外筒を引き寄せることで、腸管を手繰り寄せて短縮することもできます。また、検査のための組織採取や、病変の切除、出血部の止血なども可能です。口と肛門のどちらからも挿入でき、全小腸を検査するためには2回に分けて両側からそれぞれ行うのが一般的とされています。1回に要する時間は1~2時間といわれています。小腸からの出血が疑われる場合や、小腸の通過障害により腸閉塞が疑われる場合、クローン病や腫瘍などの精密検査に有用とされます。また、胃と小腸をつなぐ手術後などで上部消化管内視鏡が十二指腸に入らない場合などに、十二指腸の観察に用いられることもあるようです。

大腸の内視鏡検査

一般的な大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査は、大腸と小腸の一部の観察に用いられる検査です。ポリープや癌、炎症を映像で観察、診断することができます。内視鏡は肛門から挿入します。また、顕微鏡による病理検査(生検)に用いるための組織を採取したり、ポリープや早期の癌を切除したりすることもできます。

大腸カプセル内視鏡

大腸の場合も、カプセル内視鏡による検査ができます。腸の動きに合わせて移動して腸内を撮影する方式は小腸と同じですが、やや大きめのカプセルを用い、1秒あたりの撮影枚数が多いのが特徴です。大腸内視鏡検査とは違い、組織の採取や病変の切除はできません。大腸カプセル内視鏡が選択されるのは、以前の検査で大腸内視鏡の挿入が困難であった方や、腹部の手術などで挿入が困難だと予想される方です。

大腸の内視鏡治療

大腸内視鏡検査でポリープや早期癌が見つかった場合、形状や性質、進行度によっては検査中の治療が可能とされています。ただし、ポリープの大きさや治療の方法によっては、入院が必要となることもあるようです。治療の方法は大きく5つあり、病変の形や性質などによって選択されます。

  1. ・1.コールドポリペクトミー

小さなポリープに用いられる方法です。電流を用いず、ワイヤーや鉗子で切り取ります。

  1. ・2.内視鏡的粘膜切除術

病変の下部に生理食塩水などを注入して病変を持ち上げ、ワイヤーをかけて高周波電流で焼き切ります。

  1. ・3.内視鏡的粘膜下層剥離術

大きな病変に用いられる方法です。内視鏡的粘膜切除術と同様に病変を持ち上げてから、ナイフを用いて切開、切り離します。熟練した技術が必要とされる方式です。

十二指腸の内視鏡検査

上部消化管内視鏡検査

一般的に十二指腸の検査に用いるのは、食道や胃の検査にも用いられる上部消化管内視鏡検査、通称“胃カメラ”です。腹痛や貧血などの原因特定や、潰瘍や炎症、腫瘍、ポリープなどの診断のために実施されます。口もしくは鼻から内視鏡を挿入して映像を確認するほか、検査に用いる組織の採取や、病変の切除治療を行うこともあります。口から挿入する経口内視鏡検査が従来の方法でしたが、最近では、細い内視鏡を鼻から入れる経鼻内視鏡検査も増えているようです。経鼻内視鏡は経口内視鏡にくらべて嘔吐反射によるえずきなどが少ない一方で、画像は経口内視鏡に劣るといわれています。

超音波内視鏡検査

内視鏡の先端に超音波振動子を設置して、消化管の内部から超音波診断を行う方法です。実写ではなくエコー画像を用いて潰瘍や腫瘍の深さを診断します。また、腫瘍に針を直接刺して、組織の採取を行うこともあるようです。

腸の部位によって違う内視鏡検査・治療

一口に腸の内視鏡検査といっても、検査や治療を行う部位によって、実施される検査や治療の方法は異なります。どのような方法があるのかを事前に把握しておくことで、実際に検査や治療に臨む際の心構えもできるのではないでしょうか。さまざまな検査の種類があるといっても、検査を受ける医療機関によって、実施していないものもあります。検査について希望がある場合は、事前に希望の方法を実施している医療機関かどうかを確認した方がよいでしょう。また、症状や既往症などによって、適用できる検査が限られる場合もあるようです。希望する検査が受けられるかどうかは医師の判断によると覚えておきましょう。実際の検査では、医師の指示に従って準備~検査後までを過ごすことが大切です。

監修ドクターコメント

古川先生

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)は、健康診断などでも行う事が多いのに比べ、小腸や大腸の検査はあまり馴染みがないかもしれません。これは、健康診断というより何か症状があった場合や、便潜血検査などで異常を認めた場合などに行われることが多いためです。また、検査にあたっては食事の注意や下剤の内服などの準備が必要になります。これらの検査を勧められた場合、ご自身で症状がおありで医師に相談する場合は、検査の目的となる具対的な場所(小腸、大腸など)や疑われる病気などについて念頭にいれ、検査目的が合併症などについても十分に理解された上で、検査を受けるようにしましょう。

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