目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 症状から調べる
  3. 皮膚・爪・髪
  4. 「爪と皮膚の間が痛い」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

「爪と皮膚の間が痛い」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

爪と皮膚の間が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

「爪と皮膚の間が痛い」症状で考えられる病気と対処法

これまでに、爪と皮膚の間がズキズキ痛くなった経験はありませんか。なぜ、このような症状が出現するのでしょうか。
足の爪は非常に外力がかかりやすい部位であるため、さまざまなトラブルが引き起こされる可能性がありますし、特に痛みは発生頻度の高い症状であり、原因は多岐に渡ります。
爪と皮膚の間が痛い原因としてどのような病気が考えられるか、どんな場合に早めに医療機関を受診するのが良いかを解説します。

爪と皮膚の間が痛い症状で考えられる原因と対処法

爪と皮膚の間が痛い症状で考えられる原因疾患として、陥入爪が挙げられます。

陥入爪(かんにゅうそう)

陥入爪では、爪の角が指の皮膚に食い込んでいるために強い痛みを自覚します。
軽度であれば、患部を清潔に保持していれば1週間程度で患部の炎症や腫れの所見は改善します。深爪ぎみの人は深く爪を切らないように注意して、白く爪がのびている部分の長さがおおむね1mm前後残るように爪切りしましょう。
患部が出血している、あるいは膿成分が認められる場合は、早めに皮膚科で治療を受けることが重要なポイントです。

爪と皮膚の間がズキズキ痛む症状で考えられる原因と対処法

爪と皮膚の間がズキズキ痛む症状で考えられる原因疾患として、爪下出血が挙げられます。

爪下出血(そうかしゅっけつ)・爪下血腫(そうかけっしゅ)

指をぶつけるなど物理的な衝撃が原因となって、爪の下部分が剥がれる、あるいは出血して、血液成分が溜まっている状態を指しています。
数日の間しばらく様子を観察しても、患部の痛みが継続する場合は、形成外科や皮膚科で早めに相談するようにしましょう。

爪と皮膚の間が痛く、赤く腫れる症状で考えられる原因と対処法

爪と皮膚の間が痛く、赤く腫れる症状で考えられる原因疾患としては、「ひょうそ」が考えられます。

ひょう疽(ひょうそ)

爪周囲部は常に外傷などを受ける危険がある部位であり、爪周囲がささくれなどで傷つくとその隙間から細菌が侵入して、爪周囲部が赤く腫れるなどの炎症所見を引き起こします。
初期段階では、抗生物質を服用して患部に冷湿布を当てて治療し、膿が貯留している際には、患部を切開して膿を排出する処置が必要です。
爪と皮膚の間がひどく痛み、赤く腫れあがっている場合は、皮膚科や形成外科を受診するように心がけましょう。

手指の爪と皮膚の間が痛い症状で考えられる原因と対処法

手指の爪と皮膚の間が痛い症状で考えられる原因疾患としては、爪甲剥離症が考えられます。

爪甲剥離症(そうこうはくりしょう)

爪甲剥離症とは、主に手指の爪が指の先端の肉から浮き上がり離れる状態のことを指しており、本疾患が起こる原因は多岐にわたり、特に年齢や性別に関係なく発症します。
治療は、直接的な原因を改善することが重要であり、状況に応じて、抗生物質や抗真菌薬、ステロイドなどの使用も考慮されます。
爪が先端から浮き上がる状態であれば、早めに皮膚科を受診しましょう。

足の指・親指の爪と皮膚の間が痛い症状で考えられる原因と対処法

足の指の爪と皮膚の間が痛い症状で考えられる原因疾患としては、グロムス腫瘍が考えられます。

グロムス腫瘍(グロームス腫瘍)

この疾患は、グロムスという血流を調整している組織から、良性の腫瘍が発生する病気です。
手指でも、足指でも爪下部に発症し、爪に物が触れると激しい痛みを呈する、爪に青みがかった部位が認められるなどが特徴的です。
数日様子を観察しても、疼痛(ずきずき痛む)症状が持続する場合は、形成外科や皮膚科で速やかに相談しましょう。

すぐに病院へ行くべき「爪と皮膚の間が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

爪の間が痛く、爪周囲の皮膚に赤み・炎症・腫れなどがある場合は皮膚科へ

爪周囲部に赤みなど異常所見を認める際には、爪周囲炎が考えられます。
爪周囲炎は、爪まわりの皮膚にささくれがむけることで、細菌が侵入して細菌感染を引き起こして、炎症所見を認めるために患部が痛みます。
軽度の症状であれば、ステロイド軟膏などを塗布して、水仕事などを回避すれば数日前後で治癒に向かいますが、数日間セルフケアをしても改善しない場合には、速やかに皮膚科を受診しましょう。

「爪と皮膚の間が痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「爪と皮膚の間が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

爪周囲炎

爪周囲炎は、指の打撲やさかむけ、深爪から発症することが多い疾患です。
親指や人差し指に多く認められて、爪の横の部分が赤く腫れあがって熱感をもちズキズキ痛みます。
治療手段は炎症を改善させるために患部安静、患部冷却、鎮痛剤服用、抗生物質投与などが有効的です。

ひょう疽(ひょうそ)

ひょう疽は、指先や爪周囲部などにおいて微細な外傷から生じる細菌感染を伴う化膿性炎症の状態を指しており、主にブドウ球菌による感染が多く、患部は赤く腫れて、痛みを伴って症状が進行すると膿成分が患部に貯まります。
治療には、局所患部の安静、抗生剤内服、患部の消毒、抗菌剤外用での保護が重要です。

陥入爪(かんにゅうそう)

陥入爪とは、爪の側縁先端部が周囲皮膚組織に食い込み、皮膚に炎症を引き起こした状態であり、多くは足の親指に発症して、皮膚に痛みや発赤、腫れなどの所見を認めます。
軽度の陥入爪であれば、自分自身のセルフケアでも対応可能ですが、重症化した際には皮膚科による治療介入が必要です。

グロムス腫瘍

グロムス腫瘍は、成人以降の女性に発症しやすい傾向があります。
爪床下、指腹部に腫瘍が発生する事が多く、大きさは1mm~5mm程で、爪の変形を伴う場合もあります。
診断はレントゲンやMRIで行い、治療には腫瘍摘出処置が挙げられます。

「爪と皮膚の間が痛い」ときの正しい対処法・予防法は?

爪の間が痛い場合の市販薬と注意点

爪と皮膚の間が痛い際に、特に「ひょうそ」が想定されて軽度の発赤(赤み)所見や炎症を認める場合は、抗菌剤内服、鎮痛剤服用、患部を清潔に保持して日々消毒を励行する、抗菌薬を含有した市販の塗り薬を患部に外用して治療を行います。
その際に、患部の症状を緩和させる市販塗り薬の代表例には、ゲンタシン軟膏®やロコイド軟膏®などが挙げられます。
患部において発赤所見や炎症を軽度のみ認める場合には、外用薬などを塗ってもいいでしょう。
ところが、赤みが強く排膿状態であり炎症を高度に認める場合、患部に細菌を密封させて閉じ込める事を避けて、切開排膿してドレナージする必要があるので、基本的には市販外用薬を塗ってはいけません。

爪の間が痛い場合の対処法・ケア

患部を温めると血流が良くなって痛みが強くなり腫れがひどくなることが考えられるため、原則として患部を冷やしてクーリングすると炎症所見が改善することが期待されます。
排膿所見を認める際には、きれいに患部を保持する為に絆創膏を貼って保護することも重要なポイントです。
巻き爪の際には、綿を爪と皮膚の間に詰める方法や患部をテーピングする、あるいは爪先端部に矯正装具を装着する治療方法が検討されます。

爪トラブルを防ぐための注意点

ジェルネイルを付ける際や外す時には爪の表面に少なからず負担が掛かり、ネイルを装着する技術不足などで、過度に爪を削りすぎて爪が薄くなり爪と皮膚の間が痛くなることがありますので注意しましょう。
ハイヒールや先端の細いパンプスは、靴の中で足が前に滑るので爪は圧迫されますし、紐をゆるめた大きい靴を履くと、歩行時に足が靴の中で前後に動くために爪は圧迫され、タイトすぎる靴下やストッキングを履くと巻き爪が痛くなることがあるので注意しましょう。
日常生活や生活習慣において、体重が増えすぎると足指への圧力が相対的に増加して爪が皮膚に食い込みやすくなりますので気を付けましょう。
痛みを有する爪のトラブルには、必ず原因がありますので、早く治したいときはセルフケアを実践して、万が一応急処置をしても痛みや症状が収まらない場合には、皮膚科や形成外科を受診しましょう。

「爪と皮膚の間が痛い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「爪と皮膚の間が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

爪の周りが腫れて指の隙間が痛いです。何科の病院で治療できますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

爪と皮膚の間や指の隙間が痛く、爪の周りが赤く腫れる症状で考えられる原因としては、「ひょうそ」が考えられますので、できるだけ速やかに皮膚科や形成外科などの医療機関を受診して治療しましょう。

爪が剥がれて皮膚との間が痛いです。どう対処したら良いでしょうか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

皮膚と爪の間が痛く、爪が剥がれている症状で考えられる原因としては、「爪甲剥離症」が考えられます。応急処置として、患部を消毒して絆創膏やガーゼで固定し形成外科などの病院をすぐ受診してください。効果的な治療は、直接的な原因を改善することが重要であり、状況に応じて、抗生物質や抗真菌薬、ステロイドなどの薬物治療も考慮されます。

足の親指が痛く、爪の一部が食い込んでいます。巻き爪でしょうか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

足の親指が痛く、爪の一部が食い込む際には、陥入爪の可能性があります。陥入爪は巻き爪と混同される場合がありますが、特に足の親指に発症して爪の角がトゲのようになって皮膚に食い込んで炎症が起こります。放置すると症状が悪化するため、早めに専門医の診断を受けましょう。

ささくれが悪化して爪の間が赤くて痛いです。放置して大丈夫ですか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

症状が気になる場合は、爪を保護してすみやかに皮膚科や形成外科を受診しましょう。
空気が乾燥すると皮膚の水分や油分が失われて、手指の皮膚が乾燥してささくれができやすくなります。ささくれはむやみに指で抜いたり切ったりして放置すると、健康な皮膚まで裂けて傷が広がって症状が悪化する恐れがありますので注意しましょう。

まとめ

手や足の爪と皮膚の間が痛くなる原因疾患は色々考えられて、症状を放置すれば歩行できない程の痛みを伴うこともあり、深刻に悪化する前に適切に処置することが必要です。
特に、正確な診断と治療方針を決めるためには、皮膚科や形成外科など爪の専門医を受診することが重要です。

「爪と皮膚の間が痛い」で考えられる病気と特徴

「爪と皮膚の間が痛い」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

皮膚科、形成外科の病気

爪の病気は日頃の爪のケアで予防できる病気が多く存在します。

「爪と皮膚の間が痛い」と関連のある症状

「爪と皮膚の間が痛い」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「爪と皮膚の間が痛い」他に、これらの症状が見られる際は、「陥入爪」「爪周囲炎」「ひょう疽」「グロムス腫瘍」などの病気の存在が疑われます。
痛みがひどい場合やなかなか治らない場合などは、早めに医療機関への受診を検討しましょう。

この記事の監修医師