目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 症状から調べる
  3. 皮膚・爪・髪
  4. 「巻き爪」の原因・何科を受診するべきかご存知ですか?医師が監修!

「巻き爪」の原因・何科を受診するべきかご存知ですか?医師が監修!

巻き爪とは主に足の親指の爪が内側に巻いてしまう症状のことをいいます。ハイヒールなど先の細い靴を履くことで発症するケースも多いため、悩まされている方もいるでしょう。

周りの皮膚に爪が食い込んで痛みが出たり化膿したりすることもあるので、予防したいと思っている方もいるのではないでしょうか。

また、なぜ爪が内側に湾曲してくるのか原因を知りたい方もいるでしょう。

そこでこちらでは、巻き爪の原因や症状についてご詳しく解説していきます。よくある質問では巻き爪の予防方法などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

プロフィールをもっと見る
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

巻き爪とは

足と左手
巻き爪とは、爪の端が内側に巻いたように湾曲した状態をいいます。一般的には足の指に起こることが多く、特に親指の爪に多く発症するのが特徴です。爪の横や下の皮膚が挟み込まれるようになるため、強い痛みを伴うこともあります。
周囲の組織が損傷すると、細菌感染が起こり爪周囲炎を合併するケースもあります。また、巻き爪の部分に痛みがあることで歩き方や姿勢が悪くなると、膝や腰などに痛みを生じることもあるため注意が必要です。
巻き爪は皮膚科・整形外科・形成外科・足専用クリニックなどで治療が可能です。症状をそのままにしておくと、状態が悪化することも多いので注意が必要です。少しでも違和感を覚えたら、病院に足を運ぶとよいでしょう。ただし、炎症がない矯正治療の場合などは自由診療となることもあるため、費用は事前に確認しておくと安心でしょう。
また、巻き爪の程度が軽い場合には正しい爪切り・適切な歩き方・テーピングといったセルフケアでも対応できます。

巻き爪の原因

爪切りとラベンダー
爪にはもともと内側に巻く性質がありますが、通常は歩行によって爪が押し上げられることでバランスが取れているため、形が保たれています。では、なぜ巻き爪が発症するのでしょうか。こちらで、主な巻き爪の原因についてみていきましょう。

足に合わない靴を履いている

先が細いパンプスなど足先が窮屈になりがちな靴やサイズの小さい靴を履いていると、足の指の爪が圧迫されて爪が巻いてしまう可能性があります。また、ゆるすぎる靴の場合も靴の中で足が動いて前にすべり、爪が圧迫される原因となりうるでしょう。
きつくなければ大丈夫だとは限らないため、ゆるすぎないかどうかも含めて足に合っているかどうかもう一度見直してみましょう。特に、外反母趾の方は足の親指が上から人差し指で押される形になることも多く、爪がうまく伸びられずにさらに巻き爪を発症しやすいと考えられるでしょう。
また、靴だけではなく歩き方にも注意が必要です。靴を変えても症状が続く方は、歩き方を見直してください。指先がしっかり地面に付かない浮き指の状態だと巻き爪になりやすいため、しっかりと指先を地面に付けることを意識して歩きましょう。

深爪など間違った爪切りをしている

間違った爪切りによって巻き爪が生じることもあります。特に爪を短く切りすぎる深爪は巻き爪の原因となりやすいため注意が必要です。深爪をすると、歩行時などに切った爪の先に力が加わることで皮膚が盛り上がります。それによって爪が皮膚に埋もれて適切に伸びにくくなり、爪の端が下に湾曲して巻き爪を発症してしまうことがあるのです。
そのため、まずは正しい爪切りを心掛けましょう。爪は指先より1mmくらい長い程度にして、平らでまっすぐな状態に整えるのが望ましいとされています。先端をあまり尖らせず、スクエア型にしておく方が巻き爪を発症しにくいとされているのです。
そして指先よりも爪が短い状態にならないように注意しましょう。また、深爪から巻き爪を発症して痛みがある場合には、自分で爪の周囲や爪の脇から足の指にかけてテーピングを行うのも有効です。

爪水虫

爪水虫(爪白癬)とは、爪が白癬菌(皮膚糸状菌)に感染した状態のことです。水虫と聞くと足に感染する足白癬を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、白癬菌はケラチンを栄養として活きているため、ケラチンがある部位ならどこでも感染する可能性があります。
日本人は10人に1人程度の割合で爪水虫に感染しているとされており、白癬菌が足の爪に感染することは決して珍しくありません。爪水虫にかかると、組織が肥厚して爪が変形し、巻き爪が悪化しやすくなると考えられています。爪水虫は通常かゆみを伴わないため、感染に気付きにくいケースもあるでしょう。
足の爪が白や黄色に濁っている・黄白色の縦線が出ている・爪の下がボロボロになっているなどの症状がある場合は爪水虫かもしれません。これらの症状があり爪が内側に巻いている場合は、爪水虫が原因で巻き爪になっている可能性があるでしょう。

下半身麻痺

爪にはもともと内側に巻く性質がありますが、歩行などで力が加わって押し上げられることでバランスが取れているため、通常は爪が内側に巻いてくることはありません。そのため、日常的に歩行を行っている方に比べて、下半身麻痺がある方や寝たきりの方など長期間歩行を行っていない方のほうが巻き爪を発症しやすいといえます。
また、日常的に歩行を行っている方でも、浮き指と呼ばれる状態で歩いている場合には注意が必要です。浮き指は足の指先が地面に付かない状態なので、歩行時の力が爪に伝わらず巻き爪を発症する可能性があります。

巻き爪の症状

巻き爪
巻き爪の症状には皮膚への食い込み・指先の腫れ・化膿などがあります。いずれも発症すると辛い症状ばかりなので、詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。こちらで、それぞれの症状について詳しくみていきましょう。

爪が皮膚に食い込む

巻き爪を発症すると、爪が内側に湾曲して皮膚に食い込んでしまうことがあります。歩くたびに足の親指に力がかかるため、爪が皮膚に食い込んでいると強い痛みを感じるケースが多いでしょう。また、周囲の皮膚が傷つくことで細菌感染が起こり、炎症や化膿を伴うこともあります。
さらにひどくなると、爪の周囲に肉芽組織が形成されてしまうこともあります。このように皮膚に爪が食い込むのは陥入爪と呼ばれる状態です。巻き爪が原因で陥入爪になる場合もありますが、巻き爪だけではなく外傷・不衛生・爪の形の異常などさまざまな原因が考えられます。
爪が皮膚に食い込む陥入爪を予防するために、爪の先を圧迫するような靴を避けることや、清潔に保つことなどを心掛けましょう。

指先の腫れ

巻き爪で爪が皮膚に食い込むと、傷口から菌が入って爪周囲炎を起こす可能性があるため注意が必要です。爪の周囲が炎症を起こした状態になり、指先が赤く腫れてしまうことがあります。
そのままにしておくと、症状が悪化してしまうことも少なくありません。強い痛みが出ることもあるので、腫れや赤みがみられる場合には早めに受診しましょう。

化膿する

巻き爪が原因で発症した爪周囲炎の症状がひどくなると、膿が溜まって黄色くなることもあります。爪の下に膿が溜まってしまうケースもあるでしょう。そのままにしておけば、範囲が広くなったり、慢性的な状態になったりします。
歩き方も不自然になるため、躓いたり、腰痛の原因になるケースもあるでしょう。自分だけで応急処置を行っても改善しないことが多く、無理に膿を出そうとして悪化してしまう可能性もあります。膿が溜まってしまった場合、化膿止めを使用したり皮膚を切開して出してもらったりする必要があるため、早めに受診する必要があります。

病院に行った方が良い「巻き爪」症状は?

痛みや発赤、熱感などが生じている場合には細菌感染症の悪化につながりますので、早めの病院受診を検討しましょう。

行くならどの診療科が良い?

主な受診科目は、皮膚科です。

巻き爪の場合はマルチワイヤ法、コンビペッド法、陥入爪の場合にはコットパッキング、ガタ―法など症状に合わせた治療法があります。

病院を受診する際の注意点は?

持病があって内服している薬がある際には、医師へ申告しましょう。

いつから症状があるのか、他にも気になる症状があるのか、などを医師へ伝えましょう。

治療をする場合の費用や注意事項は?

保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。

初期の段階では無症状なことも多く放置しがちではありますが、症状を悪化させないために足の指の爪に違和感・痛みを感じるようになったら速やかに皮膚科などの医療機関を受診しましょう。

まとめ

ウォーキング
足の親指は歩く時に力がかかるため、巻き爪を発症していると強い痛みを生じることがあります。

下半身麻痺の方や寝たきりの方に起こることが多い症状ですが、爪の切り方や足に合わない靴が原因となることもあるため誰にでも起こりうると思っておきましょう。

爪切りをする時には深爪をしないように気を付け、足に合った靴を履いて予防を心掛けてください。

また、歩く時に指先が浮いた状態になっている方も、爪に力が伝わりにくく巻き爪を発症しやすくなります。しっかり指先を地面に付けるように意識しましょう。

巻き爪がひどくなると患部が赤く腫れたり、化膿したりすることもあるため注意が必要です。化膿している場合には膿を出してもらう必要があるため、早めに受診しましょう。

この記事の監修医師