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『過呼吸』の症状・男女別の原因・対処法はご存知ですか?医師が監修!

『過呼吸』の症状・男女別の原因・対処法はご存知ですか?医師が監修!

過呼吸を治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

鶴 昌太

監修医師
鶴 昌太(医師)

プロフィールをもっと見る
2009年福岡大学医学部卒業。飯塚病院初期研修医、ERとICUを中心に約10年間勤務。救急専門医、集中治療専門医。飯塚病院退職後、離島・僻地医療に携わったあと、現在は二次病院のICUに勤務しつつ、慢性期病院の外来や病棟業務を行っています。急性期と慢性期の両方の視点から、最適な医療を提供できるよう心掛けています。

「過呼吸」で考えられる病気と対処法

強い不安や緊張を感じたときに、突然息苦しくなることがあります。息を吸っても吸っても息苦しさはおさまらず、しだいに呼吸回数が速くなり、手足のしびれなどなど様々な症状が起こるようになります。この状態を過呼吸(または過換気)といいます。

過呼吸の症状には、以下のようなものがあります。

  • ・しびれ、手足の震え
  • ・息苦しさ
  • ・めまい、頭痛
  • ・動悸、胸痛
  • ・吐き気
  • ・不安、恐怖

正常な呼吸では、肺に新鮮な空気を取り入れ、酸素を体内に取り込み、二酸化炭素を肺から体外に排出します。

過呼吸は、普段の呼吸数と比べ、呼吸数が著しく増加することで、身体の中の二酸化炭素の濃度が極端に低くなります。通常、呼吸数が増加すると、脳が「呼吸を少なくするように」と命令を出します。ところが、過呼吸では息苦しさから、『もっと息を吸わなければ!』と焦って呼吸回数がさらに増え、症状が悪化する悪循環におちいります。

女性の過呼吸の症状で考えられる主な原因と対処法

過呼吸は性別を問わずあらゆる年齢で見られますが、特に10~20代の若い女性に多く起こります。まずは慌てずに、息を止めてゆっくり呼吸するように意識します。吸うよりも吐くことを意識して呼吸を整えることも重要です。ただ、本人は不安や焦りから、なかなか改善しないことがあります。周りの方は、本人が安心するよう声がけをしてください。

過呼吸は、身体に異常の無い精神的な発作が多いのですが、何らかの病気が原因で生理的な反応として呼吸回数が増える場合もあります。

精神的な発作の場合、長くても30分~数時間でおさまることがほとんどですが、それ以上続く場合、または何度も発作を繰り返す場合は、精神科や心療内科の受診をお勧めします。
何らかの病気が原因の場合、発熱や不整脈などを伴うことがあり、その場合は内科外来や救急外来を受診することが望ましいです。

男性の過呼吸の症状で起こりやすい主な原因と対処法

男性で起こる頻度は女性より少ないですが、原因や対処法は女性と同じです。

すぐに病院へ行くべき「過呼吸」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

迷った場合は、総合病院や救急病院の外来を受診しましょう

意識障害、けいれん てんかん発作 内科、もしくは神経内科
胸痛、冷や汗、動悸 不整脈、肺塞栓、心筋梗塞 内科、もしくは循環器内科
喘鳴、息の吐きだしづらさ 気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患 内科、もしくは呼吸器内科
高熱、悪寒、体の震え 感染症 内科

これらの症状と病気は、自分では判断が難しく、病院で精査するまで診断がつかないことも珍しくありません。迷った場合は、総合病院や救急病院の外来を受診しましょう。また、もともと基礎疾患がある場合や薬を飲んでいる場合は、その情報を病院に伝えましょう。いつから症状があるのか、どんな状況で症状が出現するのか、他にある症状は何かを伝えることで、治療がスムーズに進みます。問診、診察、血液検査、画像検査(レントゲン、CTなど)、心電図検査などを実施する可能性があります。

受診・予防の目安となる「過呼吸」のときのセルフチェック法

  • ・過呼吸以外に胸痛や冷や汗、動悸を伴う場合
  • ・過呼吸以外に喘鳴や息の吐き出しづらさを伴う場合
  • ・過呼吸以外に発熱、悪寒、体の震えを伴う場合

「過呼吸」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「過呼吸」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

過換気症候群

精神的な不安やストレスが原因で過呼吸発作を慢性的に繰り返す状態を、過換気症候群といいます。日頃から心理的なストレスを感じやすい人や、性格的に不安を感じやすい人がかかりやすい病気です。

まず、発症のきっかけとなる不安や緊張を感じる状況を避けることが重要です。特に、過去にこの病気にかかったことがある方は、過度の緊張や不安などが起きる状況をさけるように注意してください。

発作が起きた場合は、息を止めてゆっくり呼吸するように意識して、吸うよりも吐くことを意識して呼吸を整えましょう。過剰に心配し反応してしまうと、本人が余計に不安定となり症状が悪化することもあるので、周りの人はきるだけ冷静にして、本人の呼吸を整えるために、ゆっくり背中を押してあげるなどのサポートをしましょう。

有名な治療法として、紙袋を口と鼻にあてていったん吐いた息を再度吸わせるペーパーバック法があります。この方法は、血液中の炭酸ガス濃度を上昇させるのが目的ですが、二酸化炭素の濃度が高くなりすぎたり、逆に酸素濃度が低くなりすぎたり、現在では推奨されていません。

 一般的に予後は良好で、長くても数時間で症状は自然に改善します。しかし、うつ病や不安症、パニック障害などがある場合は、それらに対する治療が発症抑制につながる可能性があります。何度も繰り返す場合、また発作が起こるのではないかと不安が増すような場合は、精神科や心療内科を受診しましょう。

「過呼吸」の正しい対処法は?

まず、過呼吸について理解し、体の反応を知ることが第一歩です。過呼吸の症状が出た際の対処法として、以下の方法があります。

1. 症状の落ち着かせ方:
まず、落ち着いて深呼吸をしましょう。特に、吸うよりも吐くことに時間をかけ、ゆっくりと呼吸をすることを意識しましょう。
2. 症状別の対処方法と注意点:
上で述べた、すぐに病院へ行くべき症状がある場合は各科の病院をすぐ受診しましょう。ただ、症状がはっきり説明できないほど体がきつくて苦しい場合は、総合病院や救急病院の外来を受診しましょう。
3. 症状を緩和させる市販薬の例:
漢方薬、抗不安薬、リラックス効果のあるサプリメントなどがあります。自分に合うものを探すのもひとつの手段です。
4. 睡眠やストレス緩和やリラックスのアドバイス:
良質な睡眠をとることは重要です。日頃から自分なりのストレス解消法(散歩する、音楽を聴く、好きなことをする等)を見つけて、リラックスする時間を確保するのも有効です。
5. 呼吸の注意点、してはいけないこと:
焦るとさらに症状が悪化するため、発作が起きてもパニックにならないように、ゆっくり呼吸しましょう。また、症状を何度も繰り返しているのに病院受診せず、ひとりで抱え込んで我慢するのも避けましょう。
6. 早く治したい時はどうしたら良いのか:
ストレスの原因を特定し、それを取り除ければベストです。完全に取り除けなくても、できる限り減らせないか考えましょう。難しい場合は医師の診察を受けたり、ストレス解消法やリラクゼーションの方法を習得したりしましょう。
7. 応急処置をしても症状が収まらない場合はどうしたら良いのか:
速やかに医療機関に連絡しましょう。過呼吸が他の重篤な病気のサインである可能性もあります。
8. 身近な人が過呼吸を起こしたらどうしたら良いのか:
まず落ち着いて話しかけてあげましょう。身近な人からのサポートは、その人を安心させて症状を和らげる大きな手助けになります。症状が改善しない場合は、医療機関への受診を勧め、可能であれば同行するのも重要です。
9. 治療する場合の費用について:
保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。

これらのポイントをリストアップして覚えておくことで、過呼吸が起きた際にパニックになることなく、適切に対応することができます。

「過呼吸」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「過呼吸」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

過呼吸の主な原因・なりやすい人の特徴はありますか?

鶴 昌太 医師鶴 昌太 医師

不安を感じやすい人、仕事を頑張りすぎる人、ストレスや悩みがある人はなりやすいです。また、精神科や心療内科に通院中で、治療の途中でドロップアウトする人もなりやすい印象です。

身近な人が過呼吸を起こしたらどのように対処すべきですか?

鶴 昌太 医師鶴 昌太 医師

周りの人が冷静になり、本人を優しくサポートし、症状がおさまらなければ病院に連れて行きましょう。

過呼吸の対処法として紙袋を使用するのは間違いですか?

鶴 昌太 医師鶴 昌太 医師

はい、現在では推奨されていません。むしろ症状を悪化させる危険性があります。

過呼吸・過換気症候群になりやすいのですが治せますか?

鶴 昌太 医師鶴 昌太 医師

不安になる原因を把握し、環境の調整やストレス管理ができれば治しやすいと思います。ただ、病院を受診して治療したが早く治せる場合もあるので、ひとりで悩みすぎないようにしましょう。

まとめ 過呼吸の対処法は理解と落ち着き、そして適切な対応がポイント

本記事では、過呼吸の症状や原因、そして対処法について詳しく解説しました。過呼吸は、気分の変動、呼吸困難、頭痛など、様々な不快な症状を引き起こす可能性があります。これらの症状は精神的なストレスや不安から生じることが多く、その管理が過呼吸の予防につながります。

最も強調したいのは、過呼吸が発生した際の対処法の理解と、その適用に必要な冷静さです。症状が現れたときにパニックにならず、ゆっくりと呼吸を行うこと、そして焦らずに症状が落ち着くのを待つことが重要です。適切な対処とケアにより、過呼吸からくる不快な症状や不安感を軽減することが可能です。

また、身近な人が過呼吸の症状を見せた場合、落ち着いて支援することが大切です。適切なサポートは、患者の安心感を増大させ、症状を和らげる手助けとなります。

以上のことを踏まえ、過呼吸の対処法のキーポイントは以下の通りです。

1. 過呼吸の症状と原因を理解する
2. 症状が出た際には冷静に対処する
3. 必要であれば適切な医療支援を求める

この知識を身につけておけば、過呼吸が起きた際にもパニックにならず、適切に対応することが可能となります。

「過呼吸」症状で考えられる病気

「過呼吸」から医師が考えられる病気は25個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

呼吸器科の病気

精神科の病気

脳神経科の病気

婦人科の病気

  • 妊娠発熱

その他の病気

  • 薬剤性(サリチル酸、メチルキサンチン誘導体、B2アドレナリン受容体刺激薬、プロゲステロン、アセタゾラミドなど)

過呼吸の症状には非常に多くの原因が考えられます。その場で対応可能なこともありますが、無理せずに早めの医療機関への受診を検討することも重要です。

「過呼吸」に似ている症状・関連する症状

「過呼吸」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 手足がしびれる
  • 手足に力が入らない
  • 意識が遠くなる
  • 不安

「過呼吸」症状の他にこれらの症状がある場合でも「てんかん発作」「不整脈」「肺塞栓」「心筋梗塞」「気管支喘息」「慢性閉塞性肺疾患」「感染症」などの疾患の可能性が考えられます。症状が長く続く場合や何度も繰り返す場合、胸痛や冷や汗、動悸の症状を伴う場合などには、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師