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「痰が絡む」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

痰が絡む

痰が絡むときはどうしたらいいの?今回はMedical DOC監修医が痰が絡む症状の対処法や考えられる原因・病気や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

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「痰が絡む」症状で考えられる病気と対処法

痰というのは医学的には「喀痰(かくたん)」と言い、主に気管支や肺からの分泌物のことで咳と共に口から出てきます。
健康な人でも痰は常に分泌されていますが、気道(気管支や肺などの空気の通り道)に病気がある場合や、過剰に気道が刺激された場合に痰の分泌が増える、または粘り気が強くなることで「絡まる」ことになります。痰が絡む症状の場合には、内科や呼吸器内科、耳鼻科を受診して相談すると良いでしょう。それでは主な原因と対処方法について解説します。

痰が絡み、息苦しい症状で考えられる原因と治し方

痰が絡んで息苦しさを自覚する症状の多くは、鼻粘膜から分泌された鼻汁、いわゆる鼻水が原因です。鼻と口の中は咽頭部分で繋がっており、重力によって咽頭に垂れてくるため、これが喉の奥に溜まってくると、咳と共に「痰」として出てくるのです。この場合、正確には医学的な「喀痰」ではありません。原因としては花粉症を含むアレルギー性鼻炎や、風邪をひいたあとの副鼻腔炎などが有名です。アレルギー性鼻炎の治療では抗アレルギー薬を用い、副鼻腔炎では抗菌薬を投与して治療します。

痰が絡んで声が出にくい症状で考えられる原因と治し方

痰が絡んで声が出にくくなるという症状では気管支喘息の可能性も考えられます。特に深夜や朝方に急に出てきた場合や、ゼイゼイといった普段では聞こえないような呼吸の音などを伴う場合は可能性が高いでしょう。咳がしつこく続く事も多いです。治療では吸入ステロイド薬やβ2刺激薬といった炎症を抑える薬などを使います。
また、愛煙家の多くが「タバコを吸うとイガイガする事がある」といいますが、これは気道に刺激が生じているためです。このため喀痰の量は多くなります。喫煙を控えることをお勧めします。

痰が絡む症状がずっと続く・長引いて治らない場合に考えられる原因と治し方

長い期間にわたって痰が絡む場合にもっとも見逃せない疾患としては、気管支拡張症と肺結核が挙げられます。気管支拡張症の治療では、スムーズに痰を出す薬や抗炎症作用のある抗菌薬を、肺結核の場合には専用の抗結核薬を長期間にわたって服用します。

痰が絡み、熱はないが咳が続く症状で考えられる原因と治し方

発熱はないものの、痰が絡んで咳が続くこともよく経験されます。この場合に最も多いのは、感染後咳嗽(かんせんごがいそう)とよばれるもので、感冒(かぜ)のあとに咳と痰の症状だけが尾を引いている状態です。感冒後咳嗽はいずれ自然に軽快しますが、それまでの対処法として鎮咳薬や去痰薬、吸入薬、漢方薬を使うこともあります。

痰が絡むが咳はない症状で考えられる原因と治し方

先述したように、咳はなくて痰のみが絡む場合は、気管支や肺といった呼吸器系の問題よりも、耳鼻科系の問題の可能性が高いでしょう。鼻汁がのどへ落ちてくるために起こる症状の総称を「後鼻漏症候群」と言います。治療としては抗アレルギー薬の内服薬や点鼻薬などが使用されます。舌下免疫療法なども有効です。

すぐに病院へ行くべき「痰が絡む」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

発熱や痰の色がおかしな場合は、内科・呼吸器内科へ

痰の増加とともに「熱があり、痰の色が黄色または緑色だ」という場合には、急性細菌性肺炎や気管支炎を発症している場合がありますので、速やかに内科を受診しましょう。肺炎を発症している場合には抗菌薬の内服や点滴が必要です。また血の混じった痰が出た場合は、重篤な肺疾患の可能性がありますので速やかに呼吸器内科に受診してください。

「痰が絡む」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「痰が絡む」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

気管支喘息

子供の時に発症する事が多い病気ですが、大人にも起こります。気道に慢性的なアレルギーが起きており、発作的に気道が腫れて狭くなり、酷い場合は声も出せない、呼吸苦などで救急搬送される場合もある病気です。気管支拡張薬やステロイド薬の吸入が有効で、酷い場合はステロイド薬の内服や点滴を行う事があります。またいったん落ち着いても発作をくりかえす可能性が高く、長期的な治療が必要な疾患です。「咳がとまらない」「声が出にくい」「じっとしていても息苦しい」といった症状がある場合は速やかに呼吸器内科に受診しましょう。

気管支拡張症

気管支が異常に拡張する疾患です。通り道は狭くありませんが、浄化作用が低下し、痰が不必要に増え、細菌感染も起こしやすくなります。ひどい場合には喀血や血痰が出る場合もあります。先天的な原因や繰り返す肺炎などが原因で起こります。根本的な治療はありませんが、スムーズに痰を出す薬や抗炎症作用のある抗菌薬を使用します。

肺結核

肺に結核菌が感染して起こる病気です。熱なしで咳が続く、痰が絡むといった症状のみのことも多く、発見が遅くなると周囲の人に感染する可能性のある非常にこわい感染症です。治療には専用の抗結核薬の長期内服が必要になります。喀痰検査や画像検査を受けなければわからない事も多いです。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

愛煙家の方で、「同僚と同じように歩いていても息切れがしてついていけなくなった」「階段の上り下りが苦しい」などの症状がある場合は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の可能性があります。これは、タバコによる慢性的な気道の障害によって肺胞(肺のガス交換をする部分)が破壊され、気道そのものが狭くなってしまう病気です。程度によってさまざまな吸入薬を組み合わせて治療します。早期に発見、治療を行うことで悪化の予防につながるため、心配な方は早めに呼吸器内科に受診しましょう。

「痰が絡む」症状の正しい対処法・市販薬

痰のみが絡んでいるが元気である場合は、市販薬をのみながら様子を見るのもよいでしょう。成分表に「ブロムへキシン」「カルボシステイン」と書いてあるものがおすすめです。これらは我々医師も使用する去痰薬の成分です。
もうひとつは漢方薬です。「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」「竹茹温胆湯(ちくじょうんたんとう)」「辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)」などが有名です。
また、適切な部屋の湿度を保つ事は度有効だと思われますので、乾燥する季節には加湿器の使用をお勧めします。

「痰が絡む」症状を緩和する食べ物・飲み物はある?

脱水状態になると痰が絡んだような症状が出やすくなる可能性がありますので、適切な水分摂取を心がけましょう。
カフェイン、アルコールや辛い食べ物などの刺激物は避けた方が良いでしょう。
風邪症状のあとで咽頭痛などが残っている場合は、生姜を入れた暖かい飲み物がお勧めです。のど飴やたんきり飴も摂取して問題はありませんが、効果については不明です。

「痰が絡む」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「痰が絡む」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ずっと痰が絡んで治らないのは、のど風邪でしょうか?

マイマイテイリ イマムマイマイテイリ イマム 医師

もしも風邪症状が最初あって、今はずっと痰のみがでるのであれば、感染後の影響の可能性が高いと思われます。長くても1ヶ月程度で自然に軽快するでしょう。それ以上の長期間症状が続く場合は、一度耳鼻科や呼吸器内科にかかってみることをお勧めします。

痰が絡む症状の予防法を教えてください。

マイマイテイリ イマムマイマイテイリ イマム 医師

痰が粘稠のため絡むのか、うまく出し切れないのか、また原因によって様々な方法が考えられますが、ここでは痰の上手な出し方の練習法をご紹介します。それは、「ハフィング」という方法で、「ハッハッハッ」と短く早く強く息を吐き出すことでうまく痰を出させる方法です。うまくいかない場合は両手でお腹を押しながら力を入れてやってみてください。

夜になると咳が出て痰が絡むのは何科の病院で治療できますか?

マイマイテイリ イマムマイマイテイリ イマム 医師

特に夜間になると発作的に出るのであれば気管支喘息の可能性が高いと思われますので、まずは呼吸器内科にかかって相談してみるのがよいでしょう。ただし逆流性食道炎などの消化器疾患でも夜間の咳が出る事があります。その場合は消化器内科にかかってみるのがよいでしょう。

食後に痰が絡んで切れないのは何が原因でしょうか?

マイマイテイリ イマムマイマイテイリ イマム 医師

食後に痰が絡んで切れない症状の原因としては、[1]嚥下(飲み込む)機能の低下、[2]逆流性食道炎、の2つの可能性が考えられます。[1]に関しては耳鼻科での検査、[2]に関しては胃カメラなどの検査が推奨されます。

花粉症と痰が絡む症状に関連性はありますか?

マイマイテイリ イマムマイマイテイリ イマム 医師

はい。花粉症が原因で後鼻漏症候群が起きている場合は痰が絡む症状が出る可能性があります。

子供が痰が絡んで息苦しそうなのですが、喘息でしょうか?

マイマイテイリ イマムマイマイテイリ イマム 医師

お子さんは鼻が詰まっていないでしょうか?もし詰まっていそうな場合は吸引器で鼻汁をとってみてください。また、ゼイゼイ、ヒューヒューといった呼吸音に異常がある場合には喘息の可能性が高いため、速やかに小児科を受診しましょう。

まとめ

「痰が絡むから肺のレントゲンをとってほしい」とおっしゃる方は多いですが、実際にはさまざまな原因の可能性があります。長引く症状の場合には上記の記事を参考に医療機関でしっかり調べてもらうことをお勧めします。

「痰が絡む」で考えられる病気と特徴

「痰が絡む」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

耳鼻科の病気

呼吸器内科の病気

気管支や肺からの分泌された痰だけではなく、鼻汁が落ちてきたものが喉の奥に垂れ込んできて、痰が絡む症状が現れるため、耳鼻科や呼吸器内科系の病気が考えやすくなります。

「痰が絡む」と関連のある症状

「痰が絡む」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「痰が絡む」の他に、これらの症状が見られる際は、「気管支喘息」「慢性閉塞性肺疾患」「副鼻腔炎」「感染後咳嗽」「急性細菌性肺炎」などの病気の存在が疑われます。
炎症を繰り返したり、息苦しさを伴うなどの場合には、早めに医療機関への受診を検討しましょう。

【参考文献】
・喘息診療実践ガイドライン2022
e-ヘルスネット
・咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019
的確な花粉症治療のために 第2版
日本耳鼻咽喉科統計部外科学会
・COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2022