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「声がかすれる」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

声がかれる

人前で話すことが多かったり大声で歌ったりすると声がかすれることがありますが、なかには病気の初期症状として出現していることがあります。

特に食道がんや咽頭がんは、声がかすれ始めた時期から治療を行わなければ重症化のリスクもあります。少し声が出にくいだけと簡単に考えていては、がんの転移を進行させるばかりです。

そのため以下では声がかすれる具体的な症状と原因を明らかにしながら、想定される病気やがんとの関係性などを詳しく紹介していきます。

声がかすれる症状と原因

声がかすれる原因を探るには、付随して表れている症状との関連性を明らかにすることで特定しやすくなります。ここでは3つのケースを想定して、考えられる原因をご紹介していきます。

声がかすれて痰がからんだ時の原因

ウイルスや細菌が喉に侵入すると、身体に蔓延しないように痰として体外へ排出されます。つまり痰がからむときは喉風邪の状態にあることが想定され、咽頭や声帯が炎症を起こしている状態といえます。声帯を酷使して粘膜が弱くなると喉の免疫機能が低下するため、炎症が広がりやすくなるという仕組みです。

声がかすれて痛みがある時の原因

のどの痛みが強い場合は、扁桃腺が炎症を起こし肥大化する「扁桃炎」や、喉の広範囲に炎症が広がっている「急性咽頭喉頭炎」の疑いがあります。声のかすれから来るよりも、繰り返す咳で声帯が痛んだ結果と考えるほうが正当です。どちらもウイルス性の症状であることに変わりはありませんが、炎症が長引き慢性化する恐れがあります。基本的には喉の保湿をしながら、抗炎症作用のある薬を服用し治療していきます。

痛みはないが声がかすれている時の原因

喉を酷使していないにもかかわらず、声のかすれだけが症状として表れているときは、声帯周辺の器官が何らかの障害を与えている可能性があります。代表的なのは声帯に指示を送る反回神経の損傷、首のリンパが肥大することによる圧迫などが挙げられます。これらは「反回神経麻痺」や「食道がん」を発症している可能性が高く、手術が必要なケースがほとんどです。また自分の意思に反して声が出せないときは「痙攣性発声障害」が疑われます。これらは次項で詳細を紹介しているので確認してみてください。

声がかすれる症状の代表的な病気

声のかすれはさまざまな病気の初期症状として表れやすいです。なかには身体からの合図を見逃してしまうと重症化しやすいものもあるので、早期の対応が重要になってきます。ここでは代表的な病気を5つご紹介するので、対処方法の参考にしてみてください。

咽頭炎

声のかすれとともに喉が痛み、発熱などの症状がみられるときは咽頭喉頭炎である可能性が高いです。喉の奥に白っぽい膿のようなものが見えたら明確なサインです。発症の原因は「アデノウイルス」と呼ばれる病原体であることが多く、ウイルス性のため他者に感染する恐れがあります。手洗いやうがいなど一般的な対策で抑えることはできますが、咳を伴いやすいためマスクの着用は必須です。症状が軽度の「急性咽頭喉頭炎」であれば1週間程度で完治するものの、喉の炎症が長引き「慢性咽頭喉頭炎」になってしまうと治療も厄介です。慢性咽頭喉頭炎は喉の腫れが顕著に表れ、息苦しさを伴うことがあります。抗炎症作用のある薬を服用しても解消されない場合は、入院し点滴を施さなければなりません。できるだけ症状が軽いうちに対策をしてください。

声帯ポリープ

声帯ポリープは歌手や講演家など、日常的に声を出す機会が多い人がかかりやすい病気です。逆に普段はデスクワークなどで声を発する機会が少ない人でも、慣れない大声を出して声帯を痛めてしまうケースもあります。原因は声帯を酷使したことによる粘膜の損傷と内出血です。基本的に発声をするときは声帯が閉じますが、そこにこぶのような「血腫」ができてしまうことで息もれを起こします。これによって普段通りに声帯が機能せず、声がかすれてしまうという原理です。喉の奥に異物が挟まっているような感覚があったり、連続して声を発しにくくなったりしたら声帯ポリープを疑ってください。治療は傷ついた声帯を修復しポリープを取り除くことがすべてなので、全身麻酔のうえ「喉頭顕微鏡下手術」を行います。その後1週間程度は発声をできるだけ控え、徐々に回復を目指していくことが大切です。

反回神経麻痺

反回神経とは声帯の機能を司る神経のことで、この部分に何らかの障害が発生してしまうとうまく声を出しにくくなります。声帯のみためには異常がないので、根本的な特定が難しいことがあります。主な発生原因としては、反回神経の周りにあるリンパ・甲状腺・食道などがガンなどによって肥大化し、神経を圧迫してしまうことです。具体的には胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤などが症名として上げられ、声帯の機能不全だけでなくそのほかの症状が進行していることが十分に考えられます。食事中に誤嚥をしたり、息が漏れるような声が混ざったりした場合には反回神経麻痺の可能性が高いです。このとき誤嚥を繰り返すと「誤嚥性肺炎」という病気を併発しやすくなるので、早急に耳鼻咽喉科を受診するようにしてください。検査は根本原因となっている腫瘍の箇所を特定することから始まるため、胸部や頭部のCT・MRIでの大規模な画像検査を行います。場合によっては肺炎の検査も行いながら、随時必要な内科治療を施していきます。

痙攣性発声障害

痙攣性発声障害は本人の意思に反して声が発せなくなり、喉を締め付けられるような息苦しさを感じたりする病気です。耳鼻咽喉科を受診しても特定の原因が見つからず、ストレス性のものではないかと診断されることがよくあります。近年は痙攣性発声障害の知名度も上がってきましたが、いまだに解明されていないことが多く、根本的な治療法も定まってはいません。症状は主に内転性・外転性・複合型の3つに分かれています。内転性は声帯が締め付けられるほうに作用し、声が出にくくなる状態です。一方で外転性は声帯が開いてしまい、息が漏れるような声になってしまいます。複合型は場合によって内転性・外転性のどちらも発症します。もし痙攣性発声障害と診断されたときは、声帯の筋肉にボトックス注射を施すことが多いです。ただし一時的な解消にすぎないので、手術を行い患部を摘出するか、3ヶ月おきに注射をしなければ完治は難しいでしょう。

がんの可能性が考えられる症状は?

まず患者の多くを占める飲酒喫煙者の場合、声がれ・血痰・息苦しさなどの進行がみられるときは喉頭がんを疑ってください。この段階では物理的に声帯付近の構造が破壊されている状態なので、声が出にくくなっています。しかしこのまま進行が続くと咽頭がんや食道がんにも注意しなければなりません。下咽頭がんでは腫瘍によって声帯の動きに障害が生じているほか、声帯までがんが及び構造を破壊してしまっています。食道がんは飲酒や喫煙者の面から、男性患者の割合が多いです。食事の際に喉がしみるような感覚が出てきたり、飲み込むときに負荷を感じたりしたら食道がんの可能性が高くなります。一方で咽頭がんも飲酒、喫煙が最大の要因であることに変わりはありませんが、吐血や鼻血など出血を伴う点が大きな違いです。どちらのがんであっても、初期段階で治療を施せば命に関わることはほとんどありません。しかし以下のような注意点が挙げられます。

  • 再発しやすいため、定期的な検査が必要
  • 手術や放射線治療はほぼ必須
  • 首のリンパ節を通じて転移しやすい

声のかすれに加えて他の症状も見られる場合には、すぐに耳鼻咽喉科を受診するようにしてください。

声がかすれる症状に使用できる市販薬

「カラオケで大声を出した」というように、声がかすれる原因を特定できる場合には市販薬での対処が可能です。一時的に声がかすれるときは喉が炎症を起こしている証拠なので、抗炎症成分が配合されている薬が適しています。具体的には「アズレンスルホン酸ナトリウム」が含まれたものがおすすめです。「アズノール」や「ハチアズレ」という製品名で販売されているので、声が出なくて辛い人は服用してみてください。ただし最も確実なのは、声を出さず安静にしている、もしくは専門医を受診するということです。薬の選び方で迷ったり、使用しても効果が表れなかったりしたときは、処方されたものを取り入れるようにしましょう。

まとめ

喉を酷使する職業に就いている人は声がかすれる原因を特定しやすいですが、不意に声が出しにくくなると不安が募ることもあると思います。

複数のがんが疑われたり、炎症が慢性化したりと聞くと身構えてしまうものの、どんな症状であっても基本は早期対応で解消します。

また飲酒や喫煙を控え、喉を安静にする時間を設けるだけで予防も可能です。市販薬もうまく取り入れながら、喉を丁寧に扱うように心がけていきましょう。

この記事の監修医師

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