「頭痛が毎日起きる」原因は何かご存じですか?考えられる病気を医師が解説!


監修医師:
伊藤 陽子(医師)
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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。
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「毎日頭痛が起きる」症状で考えられる病気と対処法
頭痛はよくみられる症状です。毎日頭痛が起きて、心配されている方も多いかもしれません。頭痛の原因としては、いろいろな病気の可能性が考えられます。まず、考えられる疾患は脳や頭部の病気です。脳や頭部の病気とは、脳腫瘍、脳炎、髄膜炎や脳卒中などが挙げられます。この場合、画像検査など必要な検査をして適切な治療につなげなければなりません。このほかに副鼻腔炎や緑内障などの病気でも頭痛がみられることも考えられます。頭痛が毎日のようにつづく場合は、原因を調べるために脳神経外科や神経内科を受診して相談をしてみると良いでしょう。 次に、脳などの病気が無いにも関わらず頭痛が起こる片頭痛(偏頭痛)、緊張性頭痛や群発頭痛といった慢性頭痛が原因となっていることもあります。これらの頭痛の場合、鎮痛薬で治まり日常生活に支障がないのであれば経過をみても良いですが、頭痛が何日も続いたり、強い痛み、鎮痛剤が効かないような頭痛の場合には頭痛外来を受診することをお勧めします。片頭痛が毎日起きる症状で考えられる原因と対処法
片頭痛の原因に関しては、今のところはっきりとわかっているわけではありません。何らかの誘因により、三叉神経の働きが異常に強くなることや脳血管の拡張による炎症などが影響すると考えられています。 片頭痛が誘発される要因は、ストレス、疲れ、睡眠、月経周期、天候の変化、温度差、臭い、光、脱水やアルコールなどさまざまなことが考えられています。 軽度な頭痛の症状であれば、市販の鎮痛剤を使用しても良いでしょう。しかし、強い痛みや頭痛が頻繁に起こるようであれば、脳神経外科や神経内科、頭痛外来を受診してください。毎日鎮痛剤を服用するぐらい強い頭痛が起きる症状で考えられる原因と対処法
毎日鎮痛剤を内服するような強い頭痛が起こる時には、脳腫瘍や脳炎などの脳や頭部の病気の可能性や、片頭痛などの慢性頭痛の可能性も考えられます。また、頻繁に鎮痛薬を内服することで、薬物乱用頭痛の可能性もあります。 毎日のように鎮痛薬を飲まなければならない場合には、頭痛外来などの専門外来を受診した方が良いでしょう。毎日寝起きに頭痛が起きる症状で考えられる原因と治し方
寝起きに頭痛が起こる場合、以下のようなことが考えられます。・睡眠時の姿勢の問題(枕が合わない、寝がえりが少ない、不自然な姿勢で寝ているなど)
・睡眠の質の問題(睡眠不足、過眠、睡眠時無呼吸症候群や歯ぎしり食いしばりなど)
・脱水
・朝方に血圧が上昇している
以上のようなことが原因として挙げられます。また、慢性頭痛が原因となる事もあります。 首の辺りの痛みが強く姿勢の問題があるようであれば、まくらなどを適切なものに変更してみたり、市販の湿布薬などで経過をみても良いでしょう。また、夏に脱水が考えられる場合は、就寝前にコップ一杯程度の水分をとったり、起床後に水分を摂取して様子を見てみましょう。睡眠時無呼吸症候群や高血圧が疑われた場合には内科で相談をすることをお勧めします。
毎日昼過ぎに頭痛が起きる症状で考えられる原因と対処法
昼過ぎに頭痛が起こる場合、食前の低血糖や昼食に糖質が多い場合には血糖値スパイクによる反応性の低血糖が起こることで頭痛やだるさが出ている可能性もあります。また、汗をかいたり、水分摂取が少なければ、脱水に伴う頭痛が出ることも考えられます。後頚部の痛みを伴う頭痛であれば、PC作業や家事などで肩や首回りのコリが悪化した事が原因で頭痛が起こることも少なくありません。 片頭痛や三叉神経痛といったストレスが要因となり頭痛をきたしている可能性があります。仕事などのストレスで頭痛が出現している可能性も考えられます。毎日の様に頭痛が続く場合には、頭痛外来で相談をしてみましょう。毎日夜に頭痛が起きる症状で考えられる原因と対処法
夜に頭痛が起こる原因として、日中の疲れやストレスが影響しているのかもしれません。眼精疲労による頭痛、肩こりに伴う緊張性頭痛やストレスが要因となって起こる片頭痛の可能性が考えられます。デスクワークで毎日頭痛が起きる症状で考えられる原因と対処法
デスクワークやPC作業で起こりやすいのは、首や肩周りのコリに伴う緊張性頭痛や眼精疲労による頭痛の可能性もあるでしょう。そのほかに、仕事のストレスによる片頭痛の可能性も考えられます。毎日頭痛と肩こりが起きる症状で考えられる原因と対処法
毎日頭痛と肩こりが起こる場合に考えられるのは、緊張性頭痛です。肩こりが原因となっているため、首や肩回りを動かして肩回りの筋肉をほぐしたり、ストレッチをすることも効果的です。また、入浴の際に首や肩を温めて、マッサージをすることも良いでしょう。肩こりを改善させることで頭痛の頻度が減る可能性があります。毎日頭痛がしてこめかみが痛い症状で考えられる原因と対処法
こめかみが痛くなる頭痛は、片頭痛や群発頭痛、緊張性頭痛などの慢性頭痛が考えられます。片頭痛や群発頭痛は片側で起こることが多いですが、緊張性頭痛は両側のこめかみであることが多く、後頭部や首の痛みも伴うことが多いです。毎日頭痛がして後頭部が痛い症状で考えられる原因と対処法
後頭部の痛みが起こる頭痛は緊張性頭痛であることが多いです。首や肩のコリを伴いやすく、長時間のデスクワークやスマホ、家事などを行うことで首周囲の筋肉に負担がかかり発症します。首や肩のコリをもみほぐす、マッサージを行うことでも頭痛が改善することもあります。また首周囲を温めることで筋肉の血流を改善し、症状が改善することもあるため試してみましょう。すぐに病院へ行くべき「毎日起こる頭痛」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。毎日頭痛がしてしびれや麻痺の症状がある場合は、脳神経外科へ
毎日頭痛が起こる場合には、慢性頭痛の可能性が高いです。しかしこの中には他の病気に伴って頭痛が起こる二次性の頭痛の可能性があります。この中でも、しびれや手足や顔面に麻痺症状、ろれつが回らない、言葉が出てこないなどの症状が出てきた場合には注意が必要です。脳梗塞や一過性脳虚血発作、脳出血などの可能性があります。脳神経外科を受診して精密検査を受けてください。病院受診・予防の目安となる「毎日頭痛がする」症状のセルフチェック法
・毎日起こる頭痛以外に吐き気の症状がある場合・毎日起こる頭痛以外に発熱の症状がある場合
・毎日起こる頭痛以外にこめかみの激痛の症状がある場合
・毎日起こる頭痛以外に鎮痛剤が効かない症状がある場合
これらの症状がみられる場合には、脳神経外科、脳神経内科などの診療科もしくは頭痛外来で相談をしてみましょう。
「毎日起こる頭痛」症状が特徴的な病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「毎日起こる頭痛」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。片頭痛
片頭痛は、頭痛の原因として比較的頻度の多い病気の一つです。日本における頻度は、成人の約8.4%程度と言われています。頭痛が起こる前に前兆がある場合があり、キラキラした光やギザギザの光が視界に現れる症状がおこることがあります。このような症状を閃輝暗点(せんきあんてん)と言い、視覚的な症状のほかに脱力感や回転性めまいなどの前兆の症状がみられることも少なくありません。片頭痛の痛みは、発作的に出現し、4〜72時間持続します。片側性が多いですが、時に両側性のズキズキと脈打つような拍動性の痛みが起こります。また、発作が起こると、感覚が過敏となり、光や音、臭いなどが不快と感じることも少なくありません。発作時に吐き気や嘔吐を伴うこともあります。このような頭痛が連日のように起こると、生活に支障をきたすこともあります。頭痛がよく起こり、なかなか頭痛薬が効かない場合には脳神経外科や脳神経内科で相談をしてみましょう。頭痛外来と言って専門的な外来を開設している病院もあります。緊張型頭痛
日本人の慢性頭痛のなかで多い原因の一つです。世界での有病率は38%と言われています。頭痛は圧迫されるような、あるいは締め付けられるような頭痛で両側性であることが多いです。ストレスなどでひきおこされることが多く、後頭部やこめかみ、額の辺りに重苦しさや圧迫感を感じることが特徴的です。長時間同じ姿勢でいたときに締め付けられる痛みを感じたり、首や肩の強いコリを感じることも多いです。 頭痛の頻度が少なく、生活に支障が出ていない場合には問題ありません。しかし、頭痛が頻回に起こったり、痛みが強い場合には頭痛外来を受診しましょう。 治療の前に、肩や首の緊張をほぐすためにマッサージやストレッチ、軽い運動を行うことも効果があります。薬物乱用頭痛
片頭痛や緊張性頭痛などが原因で鎮痛薬やトリプタン製剤などの頭痛の治療薬を過剰に使用しすぎると、かえって頭痛の頻度が増える様になります。これを薬物の乱用による頭痛と言います。 頭痛が頻繁に起こり、それに対し鎮痛薬を内服、早めに鎮痛薬を内服したり痛みがなくとも鎮痛薬を内服するようになり薬物(鎮痛薬)を乱用してしまうことが原因です。乱用により薬が効きにくくなり、さらに鎮痛薬を内服するといった悪循環が生まれている状態と言えます。薬剤の乱用による頭痛は、まず薬剤をやめることが重要です。乱用をやめることで治る方が多いですが、3割程度で再発することもあると言われています。頭痛が頻繁に起こる場合、また薬剤の使用量が多く、月に10日以上使用する場合には頭痛外来で相談をしてみましょう。慢性頭痛(慢性連日性頭痛)
頭痛を慢性的に繰り返す場合、頭痛症として診断されます。頭痛症は、脳腫瘍、髄膜炎、脳炎やクモ膜下出血などの脳の病気の症状として起こる二次性頭痛と、他に病気が隠れているのではなく頭痛を繰り返す一時性頭痛に分けられます。 一次性頭痛は、片頭痛、筋緊張性頭痛や三叉神経痛などです。一次性頭痛症は慢性頭痛症とも言われます。 慢性頭痛症の明確な定義はありません。しかし、慢性頭痛症は3か月以上持続して起こるものをいうことが多いです。 慢性頭痛症が疑われた場合には、自己判断をせず頭痛外来で相談をしてみましょう。群発頭痛
群発頭痛は、眼周囲から前頭部、側頭部にかけての激しい頭痛が一定期間(数週間~数か月)群発することが特徴です。慢性頭痛の中で最も激しい痛みを伴うと言われています。額や顔に汗をかいたり、痛む方の目が充血したり、涙や鼻汁が出たりという症状が頭痛とともに出現することもあります。夜間や睡眠中に頭痛が起こることが特徴です。 群発頭痛は20〜30歳代に多くみられます。 群発頭痛は通常の鎮痛剤では効果がありません。群発頭痛の発作時の治療として、スマトリプタンの皮下注射や酸素吸入が効果的です。群発頭痛を疑ったら、頭痛外来で相談をしましょう。「毎日起こる頭痛」の正しい対処法は?
市販薬の正しい使用方法はある?
頭痛が起こる場合、軽い症状であれば市販の鎮痛剤を使用しても問題ありません。痛みが激痛であったり、痛みが徐々に悪化する場合、また鎮痛剤の頻度が月に10回以上と多くなった場合、鎮痛剤が効かなくなってきた場合には早めに脳神経外科や脳神経内科、頭痛外来などを受診して相談をしましょう。予防できる・改善できる生活習慣とは?
頭痛はストレス、睡眠不足、脱水、食事や首・肩回りのコリなどの影響で起こることが多いです。このため、頭痛を予防するためには以下のようなことに気を付けて生活習慣を改善することが大切です。・適切な睡眠時間の確保(睡眠不足も過眠も頭痛が起こりやすいです。)
・こまめな水分補給
・カフェインの過剰摂取を控える
・アルコールは控える
・適度な運動を行う、特に首や肩回りの運動やストレッチをして肩こりを解消
・PC、スマホ作業は1時間ごとに休憩をとる
・深呼吸や軽いストレッチでリラックスを
・頭痛ダイアリーで頭痛の起こるパターンを把握して、発症のパターンを把握する。
これらのことに気を付けてなるべく頭痛を発症させないような生活パターンを送りましょう。また、頭痛が起こった時に片頭痛は頭を冷やす方が改善しやすく、筋緊張性頭痛は首や肩回りを温めると改善しやすいです。
「毎日起こる頭痛」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「毎日起こる頭痛」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
毎日頭痛が起こる理由は何でしょうか?気圧や季節は関係ありますか?
伊藤 陽子(医師)
毎日頭痛が起こる原因はさまざまです。中には脳腫瘍などの病気もあるため、頭痛が毎日持続する場合には脳神経外科や脳神経内科を受診して調べてみることをお勧めします。脳などに問題がなく、片頭痛などの慢性頭痛の場合、気圧や季節により一定の頭痛が起こりやすい傾向があると言われています。頭痛ダイアリーでパターンを把握することも頭痛を予防するために有効です。頭痛に悩むことが多い場合には、是非一度頭痛外来で相談をしてみると良いでしょう。
何日頭痛が続いたら病院を受診した方が良いでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
頭痛が1週間以上続く場合、毎日でなくとも月に10日以上頭痛がみられる場合には病院を受診することがすすめられます。また、これより日数が少なくとも激痛であったり、頭痛以外に吐き気や発熱、麻痺など他の症状も伴う場合には早めに受診をしましょう。
毎朝のように寝起きに頭痛がするのは脳の病気なのでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
毎朝頭痛がする場合、脳腫瘍などの病気の可能性もあります。毎日頭痛がつづく場合には、脳神経外科や脳神経内科を受診しましょう。
ほぼ毎日頭痛がします。頭痛薬は飲み続けても大丈夫でしょうか?
伊藤 陽子(医師)
毎日の様に頭痛がして頭痛薬を飲み続けている場合、薬剤乱用による頭痛の可能性があります。鎮痛薬を飲み続けることで鎮痛薬が効かなくなり悪循環となっている可能性があります。一旦鎮痛薬を中止することが大切です。薬物乱用性頭痛が疑われる場合には、頭痛外来で相談をしてみましょう。