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しゃっくりで考えられる病気・原因は?医師が徹底解説!

しゃっくり

しゃっくりは、突然出てくることが多く、誰しもがその対応に困った経験はあると思います。
ひどいしゃっくりが長い時間続くと、不安になってきますよね。しゃっくりのほとんどは、その原因が明らかではなく、一時的なものですが、なかには注意すべき病気が隠れていることもあります。
本記事では、しゃっくりが起こった場合、どのような原因や病気が考えられるか、あるいは、しゃっくりを自分で止める方法や病院での治療法などについて、解説していきます。

しゃっくりが出る仕組み・理由

しゃっくりは、呼吸器系の反射運動の中のひとつ。医学用語で「吃逆(きつぎゃく)」といい、何カ月も治らない方もいますが、それは「難治性吃逆」と呼ばれます。なにかのきっかけで急に横隔膜が収縮やけいれんをすることではじまり、胸壁を腹部側に引っ張ることで、胸腔の領域が広くなります。すると、肺は急に空気を吸い込むことになり、声帯が素早く閉じることで「ヒクッ」という音が出るのです。

しゃっくりが出る理由

しゃっくりは、通常48時間以内に止まるといわれています。そのため、2日以上続く場合は隠れた病気の存在を考える必要があります。
持続時間の長さによって、主な原因を列挙していきます。

①一時的なしゃっくり

  •  食べ過ぎや炭酸飲料によって胃が広がった
  • お餅などのネバネバした食べ物が食道にとどまっている
  • 飲酒後
  • 喫煙
  • 冷たいシャワーや飲水など、急激な皮膚や胃粘膜の温度変化など

②継続するしゃっくり(2日以上)

  •  頭頚部疾患:頭頚部腫瘍、甲状腺腫、咽頭炎など
  • 呼吸器循環器疾患:肺炎、胸膜炎、肺がん、心筋梗塞、縦隔腫瘍など
  • 消化器疾患:横隔膜ヘルニア、胃潰瘍、胃がんなど
  • 薬剤性:麻酔薬、ジアゼパム、ステロイド、抗がん剤など
  • 代謝性疾患、他:低ナトリウム血症、敗血症、心因性など

多くの場合は、一時的なしゃっくり(①)であり、これといった明らかな原因がないことも珍しくありません。しゃっくりが続くことはつらいことですから、嘔吐したり呼吸困難になったりする人もいます。

2日以上続いたり何度も起こったりするときには、継続するしゃっくり(②)にあげたような原因が考えられるため、受診して検査を受けることが勧められます。

②に列挙した病気の多くは、脳から首、胸、腹部の病気です。このことから、中枢神経(脳)から横隔膜までに至る神経の刺激がしゃっくりを起こす原因として大きな要素ではないかと考えられています。

しゃっくりを止める方法

しゃっくりを止める方法には、薬を使わずに行う治療法(非薬物療法)と薬をつかう治療法(薬物療法)があります。
非薬物療法が効果的でない場合は、薬物療法を考慮することになります。

非薬物療法には、主に3種類あります。

  • ①鼻咽頭を刺激する方法
  • ②迷走神経を刺激する方法
  • ③横隔膜を刺激する方法

このうち、①鼻咽頭を刺激する方法は、自宅で注意しながら試すことができると思います。
一方、②迷走神経を刺激する方法、③横隔膜を刺激する方法は自宅で行うことが難しいため、病院で行う方が良い方法です。

自宅でしゃっくりを止める方法

水を飲む、砂糖水を飲む、うがいする、レモンを噛むなど、喉から食道や胃を刺激になるようなことをしてみましょう。

また、ガーゼで舌をつかんで引っ張ること、耳の穴に手指を入れて強く押し当てるという方法も有効だといわれます。

一時的なしゃっくりであれば、これらの対処法で止まることが期待できます。

病院でしゃっくりを止める方法

①に挙げたような方法では、しゃっくりが止まらないことがあります。
その場合には、②や③などの方法を行うこともありますが、状況によっては命に関わってしまうこともありますので、自己判断で行わずに病院受診を検討してください。

②迷走神経を刺激する方法として、バルサルバ手技や頚動脈洞マッサージがあります。これは、心拍や血圧などが大きく変動することなどから、人によっては命にかかわる危険性があります。

バルサルバ手技とは、息こらえをして10−20秒間程度力む方法です。胸腔内圧が上昇することで、最終的に迷走神経を刺激することになります。
ただし、心筋梗塞や狭心症などの心血管系の病気がある方には、危険ですので自己判断で行ってはいけません。

頚動脈洞マッサージとは、頚動脈を首の真ん中あたりで圧迫する方法です。頚動脈洞を刺激することで、迷走神経や舌咽神経が刺激されることになります。
ただし、これは頚動脈分岐部を圧迫することになるので、動脈硬化があって血管が狭い場合には脳梗塞になる危険性があります。動脈硬化の危険因子である高血圧や糖尿病、脂質異常症のない若年者であれば、行うことができる治療法です。

③横隔膜を刺激する方法も有効といわれます。これは、膝を強く抱え込んで前かがみになり、胸部を圧迫することで横隔膜を緊張させるという方法です。

これら以外にもしゃっくりの止める方法はありますが、最も重要であることは、しゃっくりが起こる原因が何であるかを突き止めることです。原因検索を行いつつ、しゃっくりを止める治療法を行うことになります。

しゃっくりに関するよくある疑問

ストレスは関係ある?

しゃっくりは、疲れや睡眠不足、興奮、ストレスといった心因性要因からも起こることがあります。
また、しゃっくりが続くことで、これらが解消できず悪循環に陥ることも考えられます。
このような心因性要因によるしゃっくりの場合は、カウンセリングや向精神病薬などが効果的です。
早めに受診して治療を始めることで、早く回復できる可能性があります。

薬での対処はできる?

水を飲むこと、息こらえをしてみることなど、薬以外の方法でもしゃっくりが止まらない場合は、薬による治療を考慮します。

しゃっくりの原因が判明している場合は、その原因疾患に有効な治療を行います。

例えば、食べ過ぎや炭酸飲料を飲んだことなどによって、お腹が張っていたり胃が広がっていたりする場合には、メトクロプラミドが有効である可能性があります。

胃潰瘍や逆流性食道炎の場合には、H2遮断薬やプロトンポンプ阻害薬を投与します。

上気道炎や肺炎が原因と考えられる場合には、抗菌薬や抗炎症薬を使用します。

低ナトリウム血症などの電解質異常がある場合、その電解質異常を補正(正常化)します。

中枢性疾患が疑われれば、抗けいれん薬を試すことがあります。

その選択した薬剤の効き目は個人差があるため、効き目が弱ければ他の薬を投与します。1週間以上しゃっくりが出なくなったときや、しゃっくりの原因が改善された場合には、薬剤を中止します。

すぐ病院に行ったほうが良い「しゃっくり」症状は?

夜間や休日に救急外来を受診するような緊急性の高い症状ではないことがほとんどです。

ただ、長期間にわたってしゃっくりが止まらない場合には、何らかの病気が隠れている場合が考えられます。その原因によっては、治療が必要になる場合があるため、早めに受診を検討しましょう。

病院に行く場合は何科に行くべき?

主な受診科目は、内科、脳神経内科、消化器内科です。問診、診察、画像検査(レントゲン、CT、MRI)、血液検査などが実施される可能性があります。。

消化管の病気が疑われる場合には、上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査などが追加される可能性があります。心臓の病気が疑われる場合には、心電図検査や心臓超音波検査などが追加される可能性があります。

病院を受診する際の注意点は?

持病があって内服している薬がある際には、医師へ申告しましょう。
いつ頃からしゃっくりが始まったのか、出現する時間帯や持続時間は決まっているのか、手足の不自由や頭痛はないか、声のかすれや胸部痛などはないのかどうか伝えましょう。
飲酒やタバコ、食べ過ぎ、炭酸飲料など、しゃっくりを起こすきっかけとなるものが考えられれば、申告しましょう。

治療をする場合の費用や注意事項は?

保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。この場合、医療費控除の対象となります。
飲酒やタバコ、食べ過ぎ、炭酸飲料など、しゃっくりを起こすきっかけとなるものは、治療期間中は控えるようにしましょう。

しゃっくりは病気の前兆?関連する病気

日常生活の中で、一時的なしゃっくりは、気にせずに過ごしてしまいます。
しかし、48時間以上続くしゃっくりの場合には、注意すべき病気が隠れている可能性があります。そのため、しゃっくりは、注意すべき病気の存在を知らせている症状かもしれません。

しゃっくり以外に、他の症状もあれば、原因となる病気を疑うきっかけになります。
例えば、首のしこりがある場合は、頭頚部腫瘍や甲状腺腫といった頭頚部疾患が考えられますし、咳や痰、息苦しさなどがあれば、肺炎や肺がんといった呼吸器疾患が考えられます。

また、服用している薬によってしゃっくりが起こることもありますし、ストレスなどがきっかけとなる心因性のしゃっくりもあります。

関連する病気

まとめ

しゃっくりを起こす原因や病気には、多くの可能性があることを説明しました。
しゃっくりの多くは、短い時間で終わってしまうため、普段は大して気にせずに過ごしてしまうことが多いと思います。しかし、しゃっくりの原因を検査することで早めに病気が見つかって、治療につながることもあります。
いつもと違うしゃっくりだなと感じる場合には、一度は医療機関を受診して検査を行った方が良いでしょう。