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「妊娠を疑う5つの初期症状」はご存知ですか?セルフチェック法も医師が解説!

「妊娠を疑う5つの初期症状」はご存知ですか?セルフチェック法も医師が解説!

妊娠の初期症状とは?Medical DOC監修医が妊娠の初期症状・生理前の症状との違い・おりものの変化・セルフチェック法・妊娠が発覚したら控えた方がいいこと・やめるべきことなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

阿部 一也

監修医師
阿部 一也(医師)

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医師、日本産科婦人科学会専門医。東京慈恵会医科大学卒業。都内総合病院産婦人科医長として妊婦健診はもちろん、分娩の対応や新生児の対応、切迫流早産の管理などにも従事。婦人科では子宮筋腫、卵巣嚢腫、内膜症、骨盤内感染症などの良性疾患から、子宮癌や卵巣癌の手術や化学療法(抗癌剤治療)も行っている。PMS(月経前症候群)や更年期障害などのホルモン系の診療なども幅広く診療している。

「妊娠の初期症状」

妊娠初期症状は多岐にわたり、個人差があります。一般的な症状には、月経の遅れ、吐き気、乳房の変化、頻尿、疲労感、微熱などが含まれます。これらの症状は、ホルモンの変化によるものであり、妊娠初期には特に顕著に現れます。
妊娠を疑った場合、一般的には市販の妊娠検査薬を使用します。妊娠検査薬は、尿中のヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の存在を検出することで陽性または陰性の結果を示します。
妊娠検査薬が陽性の場合、尿中にhCGが検出されていることを意味します。これは通常、妊娠を示唆するものです。しかし、陽性反応が出たからといって、必ずしも妊娠が確定するわけではありません。医療機関での確認が必要です。
しかし、検査結果が「陽性」であるにもかかわらず、症状が全くなしである場合もあります。この場合でも、妊娠の可能性があるため、医療機関での確認が重要です。
ところで、妊娠の初期とは、いつからのことを指すのかご存知でしょうか。2018 年発行の産科婦人科用語集・用語解説集(改訂第 4 版)では、妊娠初期とは妊娠から13週6日までのこととしています。
妊娠の初期症状は個人差が大きいですが、多くの女性が共通して経験する症状があります。これらの症状はホルモンの変化や身体の適応によって引き起こされます。
この記事では、代表的な初期症状とその対処法について詳しく解説します。また、危険な兆候でないかどうかのチェックすべきポイントについてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。

吐き気と嘔吐(つわり)

妊娠初期における吐き気とつわりは、多くの女性が経験する一般的な症状です。通常、妊娠9週目以前に始まり、多くの女性で14週目までに改善しますが、場合によっては妊娠全期間(分娩までの期間)を通じて続くこともあります。この症状は、ホルモンの急激な変化が原因と考えられています。
症状を落ち着かせるためには、少量の食事を1日に小分けにして食べ、空腹時間を作らないようにすることが有効と考えられます。また、水分をしっかりと摂り、脱水症状を防ぐことも重要です。さらに、十分な休息をとり、ストレスを減らすことも症状の軽減に役立ちます。
吐き気とつわりが軽度であれば、自宅での対応が可能ですが、以下の症状がある場合は医療機関を受診する必要があります。

  • ・持続的な嘔吐: 食事や水分が摂れない場合は、脱水症状を防ぐために点滴が必要です。
  • ・急激な体重減少: 栄養失調を避けるために、医師の診察が必要です。
  • ・血圧の低下やめまい: これらの症状は緊急を要する可能性があるため、すぐに医療機関を受診してください。

妊娠中の吐き気の他の原因としては、消化管潰瘍や食中毒などの可能性もあります。そのため、こうした症状がみられる場合には、婦人科または産科を受診し、症状を詳しく説明して適切な治療を受けましょう。

乳房の腫れと痛み

妊娠初期にはホルモンの変化により乳房が敏感になり、張り感や痛みを感じることがあります。
乳輪(乳首の周りの部分)も黒ずみ、大きくなり始めることがあります。
数週間後には体がホルモンの変化に慣れ、不快感は軽くなることが多いです。
しかし、気になる場合には婦人科での診察してもらうようにすると良いでしょう。

倦怠感

多くの人が妊娠初期につよい倦怠感を感じます。この症状は、プロゲステロンというホルモンが高いレベルになることによって起こります。
他の妊娠初期の症状と同じように、倦怠感は妊娠中期には改善する傾向があります。しかし、多くの人は妊娠後期に倦怠感を再発します。
疲労感を改善するためには、できるだけ睡眠や休息をとるようにしてください。
一方で、妊娠中の疲労は貧血によっても引き起こされる可能性があります。妊娠中の貧血の最も一般的な原因は鉄欠乏によるものです。妊娠中の鉄欠乏性貧血の予防には、鉄分を豊富に含む食品を摂取することが重要です。妊娠中の貧血の治療では、通常、鉄剤を服用します。時には、鉄分点滴(点滴で鉄剤を投与する)が必要になることもあります。外来あるいは入院で行うことが出来ます。時間は30分から1時間で投与可能です。鉄分の点滴は、かかりつけの医師が行うこともできます。
疲労感が強く、日常生活にも支障があるといった場合には、一度産婦人科を受診しましょう。

頻尿

妊娠初期には、頻繁にトイレに行きたくなることもあります。これは、以前よりも血液量が増えているために起こります。妊娠中は、体内の血液の量が増加します。腎臓は、体内の血液をろ過して、余分な老廃物を除去します。この老廃物は尿として体外に排出されます。そのため、体内の血液量が増えるほど、尿の回数も増えます。
対応としては、水分補給を控えるのではなく、適度な量を維持することが望ましいです。排尿を我慢してしまうと、膀胱炎になる恐れがありますので、トイレにはきちんと行くようにしましょう。
ただし、頻尿に加えて排尿時の痛みや血尿がある場合には、膀胱炎になっている可能性があります。泌尿器科や産婦人科での診察を受けるようにしましょう。

感情の変化

妊娠初期には体内に大量のホルモンが放出されるため、感情的になり、涙もろくなることがあります。気分のむらもよくあることです。
対策としては、リラックスする時間を持ち、ストレスを避けるようにすることが大切です。
一方で、悲しい気持ちが数週間から数ヶ月続くような場合には、うつ病などの心の病になりかかっている可能性があります。そのような場合には、婦人科や精神科でのカウンセリングを受ける必要があります。

妊娠の初期症状と生理前の症状の違いについて

妊娠初期症状と生理前の症状で似ているものもあります。例えば、頭痛は両者共に体内のホルモンの変化などが原因となります。この場合には、風邪と間違う場合もあります。
一方、妊娠の初期症状と生理前の症状には異なる部分もあります。ここでは、妊娠の初期症状と生理前との違いについて述べていきます。

生理がこない

最も大きな違いは、妊娠している場合には生理がこなくなります。一方、生理の場合には出血が起こります。しかしながら、着床出血という、子宮内膜に受精卵が着床した兆候を示す、軽い出血が起こることもあります。

味覚の変化

妊娠初期には、味覚変化が現れることがあります。口の中に、金属のような味がするという症状です。生理前にも、食欲の変化が現れてたくさん食べたいという欲求が出る場合がありますが、味覚の変化を伴うことはあまりありません。

妊娠初期には頻尿になることがある

先ほど述べたように、妊娠初期には頻尿になることがあります。
一方、生理前にはそうした症状はあまりみられません。生理前には、便秘または下痢になることがあります。

妊娠すると、おりものはどのように変化するの?

腟からの分泌物のことを、おりもの(医療用語では帯下(たいげ))といいます。
女性においては、思春期にはおりものが出始め、閉経するとその量は減っていきます。
それでは、ここからは妊娠すると、おりものはどのように変化するのかをみていきましょう。

おりものの色が変わる

妊娠すると、おりものの色が白っぽく変化することがあります。妊娠中の性状な腟分泌物は、白帯下と呼ばれ、薄く、白く、乳白色で、わずかな匂いがあります。
これは、妊娠に伴うホルモンの変化や血流の増加によるものです。

おりものの量が増える

妊娠すると、おりものの量が増えることがあります。これは、腟から子宮への感染を防ぐために役立ちます。こちらも妊娠に伴うホルモン変化の影響です。

おりものの性状が変化する

妊娠中はおりものの性状にも変化が見られます。おりものは通常よりも粘度が高くなり、クリーム状になることがあります。この変化は腟内の細菌や感染症から保護するための自然な反応です。

受診の目安となる「妊娠の初期症状」のセルフチェック法

  • ・強い吐き気や嘔吐がある場合
  • ・異常な疲労感がある場合
  • ・激しい腹痛がある場合
  • ・不正出血がある場合
  • ・頭痛やめまいがある場合
  • ・不快な匂いで緑や黄色に変色したおりものがある場合
  • ・排尿時に痛みがある場合

妊娠が発覚したら控えた方がいいこと、やめるべきこと

それでは、妊娠が発覚した際に控えたりやめたりするべきことを解説していきます。

生肉や魚を食べること

生、または加熱が不十分な魚介類、卵、肉については、妊娠中は避けるようにしましょう。トキソプラズマやリステリア食中毒に感染する恐れがあるためです。

お酒を飲むこと

妊娠中の飲酒は、胎児に悪影響をもたらします。妊娠初期に飲酒をすると、赤ちゃんに奇形が生じる恐れがあります。そのため、もともとお酒を飲んでいた方でも、妊娠がわかったらその時点で禁酒する必要があります。

タバコを吸うこと

妊娠中にタバコを吸うと、赤ちゃんの体重が十分に増えない状態に陥る、あるいは流産や早産といったトラブルの原因にもなります。
そのため、妊娠中に喫煙している場合には、すぐにやめるようにしましょう。

エックス線検査を受けること

妊娠のごく初期に0.1グレイ(100ミリグレイ)以上の放射線を浴びる(被爆:ひばく)と、流産が起こることがあります。また、赤ちゃんの体が形作られる時期(器官形成期)に0.1グレイ以上被爆すると、奇形が起こることもあります。そのため、緊急の場合を除き、妊娠中のX線検査は通常すすめられません。因みにX線検査の1回の放射線量は胸部X線では、約0.01ミリグレイ以下とされています。

接触の危険があるような運動をする

妊娠中でも、ウォーキングなどの適度な運動であれば問題はないでしょう。
一方、仰向け、あるいは立ったままでいるような姿勢は好ましくありません。また、お腹に圧力が加わるような運動は避けた方が良いでしょう。たとえば、接触するような格闘技やサッカー、バスケットボール、その他、ソフトボールなどはやめておきましょう。
また、重いものを持ち上げるようなお腹に負担がかかる運動も避けましょう。

「妊娠の初期症状」についてよくある質問

ここまで妊娠の初期症状などを紹介しました。ここでは「妊娠の初期症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

最後に性行為をしてから何日後に、妊娠の初期症状は現れますか?

阿部 一也医師阿部 一也医師

性行為をし、受精卵が子宮内膜に着床すると、特にhCGというホルモンの分泌が始まります。そして、1週間ほどでこのホルモン値はかなり上昇します。このホルモン値の上昇によって初期症状が現れる可能性があります。

妊娠とわからずに飲酒や喫煙をしてしまった場合、胎児にどのような影響がありますか?

阿部 一也医師阿部 一也医師

妊娠しているとわからずに飲酒や喫煙をしてしまった場合、赤ちゃんに低出生体重や早産などのリスクが増加します。これらは胎児の発達や健康に重大な影響を及ぼします。そのため、妊娠に気づいた時点で飲酒や喫煙はやめるようにしましょう。不安な場合は、医師に問い合わせるようにしましょう。

まとめ

妊娠の初期症状は多岐にわたりますが、適切な知識と対処法を持つことで、安心して妊娠生活を送ることができます。症状に不安を感じたら、早めに医療機関を受診することが大切です。
今回の記事が参考になれば幸いです。

「妊娠の初期症状」で考えられる病気

「妊娠の初期症状」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

消化器科の病気

精神科の病気

婦人科の病気

泌尿器科の病気

これらの病気は、妊娠初期の症状と似た症状を引き起こす可能性があります。妊娠初期であっても、日常生活に支障が出る場合には医療機関を受診しましょう。

「妊娠の初期症状」に似ている症状・関連する症状

「妊娠の初期症状」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 月経の遅れ
  • 吐き気と嘔吐(つわり)
  • 疲労感
  • 乳房の変化
  • 微熱
  • 味覚や嗅覚の変化
  • 気分の変動
  • 軽い腹痛や出血(着床出血)

妊娠初期にはこうした症状が出ることがあります。症状の強さや出現については個人差があります。