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「乳首が痛い」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

「乳首が痛い」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

乳首が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

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「乳首が痛い」症状で考えられる病気と対処法

日常的に乳首がズキズキ、チクチクと痛くなる、あるいは生理前後、授乳中や妊娠初期などに片方の乳頭部がヒリヒリとかゆみを覚える、そして男性においても乳頭部を押すと痛い経験をした方もいるでしょう。
今回は、乳首が痛くなる症状で考えられる病気とその具体的な対処法などについて詳しく説明していきます。

ズキズキ、チクチクと乳首が痛む症状で考えられる原因と対処法

ズキズキ、チクチクと乳首が痛む症状で考えられる原因疾患として、乳腺炎が考えられます。
乳腺炎が起こる契機としては、乳頭部に傷がある、授乳中に授乳回数が少なく授乳間隔が開いている、赤ちゃんに病気があって赤ちゃんが上手く授乳できない、授乳を急にやめた、母親のストレスなどが挙げられます。
乳腺炎に対する対策としては、うっ滞した乳汁を排出するために頻繁に授乳を行う、あるいは時に搾乳が必要になることがありますし、24時間以上継続しても症状が軽快しない場合には乳腺外科専門医に相談しましょう。

乳首にかゆみがあり、たまに痛い症状で考えられる原因と対処法

乳首にかゆみがあり、たまに痛い症状で考えられる原因疾患として、「皮脂欠乏性湿疹」が挙げられます。
加齢や身体の洗いすぎ等の行為によって皮脂の分泌が低下して、天然保湿因子の主成分であるアミノ酸の合成量も減少することで皮膚は乾燥します。
皮膚が顕著に乾燥することによって角層に水分を保てなくなった肌はバリア機能が低下し、角質細胞も剥脱しやすくなって、乳首の部分がカサカサした状態になって、ほんの少しの刺激だけで皮膚のかゆみや炎症が引き起こされて乳頭部が痛くなることもあります。
熱いお湯に長時間かけて入浴するだけで、皮膚の皮脂成分が喪失されると言われていますので、毎日入浴する際は短時間のぬるま湯にするように心がけて、それでも症状が改善しなければ早期的に皮膚科など専門医療機関を受診しましょう。

生理前・生理中に乳首が痛い症状で考えられる原因と対処法

主に生理前や生理中に乳首が痛い症状で考えられる原因疾患として、月経前症候群が挙げられます。
月経前になると、胸が張って乳首が痛いなど身体の変化を感じる女性も多く、その背景には、女性ホルモンのプロゲステロンが大きく関連しています。
日々の生活習慣を整えて、規則正しくバランスの優れた食事と質の良い睡眠を確保すれば症状改善が期待できますが、生理前だけで収まらない乳頭部痛が長期化する場合には速やかに産婦人科や精神科などを受診しましょう。

妊娠中に乳首が痛い症状で考えられる原因と対処法

乳首の痛みは妊娠というイベントそのものが原因で出現する可能性があります。
乳頭部痛は妊娠初期症状のひとつと認識されており、おおむね妊娠4週頃から胸の違和感を自覚することが多く、場合によっては片方の乳頭部だけが痛いと感じることもあります。妊娠初期は、プロゲステロンとエストロゲンと呼ばれるホルモンの影響を受けることで、乳首が痛いと感じることがありますので、万が一にも日常生活を送る上で心配になるほどの症状を自覚する際にはなるだけ早く産婦人科など専門医療機関を受診しましょう。

授乳期間中、授乳後に乳首が痛い症状で考えられる原因と対処法

授乳期間中、授乳後に乳首が痛い症状で考えられる原因疾患としては、乳頭炎が考えられます。
サイズが不適切な搾乳器を使用している場合などには、授乳中や授乳後に乳頭部が痛くなることが見受けられます。
サイズが適していないと、乳頭部に過剰な負担がかかって傷つきやすくなるので、あらかじめ自分自身の乳首の直径と搾乳器の搾乳口のサイズに差異がないかどうかをチェックすることが重要です。
セルフケアを実施しても症状改善しない場合には、産婦人科や乳腺外科などに相談しましょう。

男性で乳首が痛い症状で考えられる原因と対処法

男性で乳首が痛い症状で考えられる原因疾患として、乳がんが挙げられます。
乳がんを発症させる原因についてはいまだに正確には解明されていませんが、現在のところではエストロゲン、生活習慣、遺伝子変異などとの関連性が指摘されています。
乳がんの中には遺伝するタイプも指摘されており、同じ家系内に複数の乳がん発症者が存在する場合には通常よりも格段の注意が必要であり、男性が発症する場合もあります。
乳がんにおける代表的な症状としては、乳頭部が痛くなる、乳房にしこりが触れる、乳首から血液が分泌される、脇のリンパ節腫脹などが挙げられます。
本疾患は、薬物治療や放射線療法における治療成績が比較的高く早期に発見して適切に治療が実施されれば良好な予後が期待できますので、心配であれば乳腺外科など専門医療機関を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「乳首が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

乳頭部から血性分泌物が認められる場合は、乳腺外科へ

血性の乳汁分泌を生じる疾患として「乳がん」が知られていますので、乳頭部が痛む以外に乳首から血液が分泌される場合には、可及的速やかに乳腺外科を受診して、乳がんの有無を画像検査や病理検査を実施して詳細に調べてもらいましょう。

受診・予防の目安となる「乳首が痛い」のセルフチェック法

  • ・乳房のしこりが触れるように痛む場合
  • ・乳首が赤く腫れて痛む場合
  • ・乳首の痛み以外に乳頭部から血液が分泌される
  • ・乳首の痛み以外に脇のリンパ節が腫れる症状がある場合

「乳首が痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「乳首が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

乳頭炎

授乳をするときに乳首が痛い場合には、「乳頭炎」を疑います。
一般的に、乳頭部の痛身が自覚されて、乳頭痛を引き起こす主な原因としては、浅飲みやつぶし飲み、赤ちゃんに授乳中に不意に噛まれる、過度に乳頭部を消毒する、サイズが適していない搾乳器の使用などが挙げられます。
症状を我慢せずに、赤ちゃんに乳頭部を含ませなおすなど対処して、授乳のやり方を見直しましょう。
それでも症状が改善しないケースでは、産婦人科に相談しましょう。

皮脂欠乏症湿疹

皮脂欠乏性湿疹は、皮膚が乾燥してうろこ状の鱗屑が認められて、亀甲状や円形の発赤所見が生じて、自覚的に皮膚のかゆみ症状が出現する状態を指しています。
主に、膝から足側の部分に病変を認めることが多く、場合によっては大腿部などに広がることもあって、秋から冬にかけて乾燥した気候によって発症するだけでなく、入浴時の皮膚を洗いすぎる、あるいは過剰な暖房を受け続けることで症状悪化します。
対処策としては、入浴した後に皮膚を刺激する成分を含んでいない保湿作用を有するボディクリームなどを活用して患部を保湿しましょう。
セルフケアを行っても症状が改善しない場合には、皮膚科を受診しましょう。

乳腺炎

乳腺炎は乳腺部分に炎症が起こり、乳房の一部に圧痛、熱感、腫れなどの所見が認められる病気であり、授乳中の女性であれば誰にでも起こり得る疾患です。
発生頻度としては、産後数週間以内に起こることが多いですが、授乳中のどの期間にも発症することも見受けられます。
本疾患は、主に乳汁のうっ滞と感染によって発症し、効果的な授乳などで症状が改善することもありますが、膿瘍形成が合併する場合には、乳腺外科専門医による投薬治療や処置が必要になる場合も想定されますので、心配であれば早期に専門医療機関を受診しましょう。

乳がん

乳がんは、豊富な脂肪組織内に乳汁分泌を担っている乳腺組織が含まれる乳房領域に発生する悪性腫瘍のことを指しています。
乳がんは体表に発生する悪性腫瘍であり、現在のところ乳癌治療の大きな柱は手術、抗がん剤、ホルモン療法、放射線治療の4つであると考えられています。
乳がんという病気は30歳代ごろから罹患率が増加し始め、早期の段階では自覚症状も乏しく発見が遅れてしまうケースも少なくありませんので、乳首が痛くなる症状が出現した際には出来るだけ早く乳腺外科を受診しましょう。

「乳首が痛い」ときの正しい対処法は?

肌が乾燥しがちになる冬期などにおいて乳頭部の痛みやかゆみを落ち着かせるためには、常に保湿を心がけて、痛みやかゆみ症状が強い際には市販の痛み止め薬や他のかゆみ止めの外用薬との併用も推奨されます。
乳頭部のしこりをセルフチェックする方法は、仰向けに寝た姿勢で3本の指をそろえて、指の腹の部分で乳房全体をゆっくり触るように確認しましょう。
万が一、しこりを自覚する場合には、乳腺外科など早期的に専門医療機関を受診しましょう。
乳頭部の湿疹やかゆみを伴う場合には、入浴後に保湿クリームを塗布するなどして乳首を保湿して良質な睡眠を確保しましょう。
乳首はとてもデリケートな部位ですので、サイズが合わないブラジャーや刺激の多い素材の衣類を身に付けていると、摩擦や蒸れが起こって乳首が痛むことがありますので、下着や衣類の素材はできるだけ柔らかく刺激の少ない綿や絹などを選択しましょう。
また、根菜類などを含む温かい飲み物は、血行を良くして、母乳の分泌を良くしますので摂取されることをお勧めします。
早く治したい時や応急処置をしても症状が収まらない場合、あるいは乳首以外にも、乳房が腫れてしこりを伴っている場合には重大な病気が隠れている懸念がありますので、できるだけ早期に専門医療機関を受診しましょう。

「乳首が痛い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「乳首が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

乳首が痛くてしこりがあるのは乳がんの可能性がありますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

乳頭部が痛くてしこりを触れる際には、乳がん以外にも乳腺炎や乳腺線維腺腫などの病気が考えられますので、乳腺外科を受診しましょう。

生理前に胸・乳首が痛いのは婦人科で治療できますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

生理前に乳頭部が痛む原因として、ホルモンバランスが関連している月経前症候群などが考えられますので、症状が長引いて改善しない場合には、産婦人科や精神科などに相談しましょう。

乳首が片方だけ痛いのは乳がんの初期症状なのでしょうか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

乳首が片方だけ痛む際には、乳がんの初期症状の可能性も否定できませんので、乳腺外科専門医に相談して、マンモグラフィや超音波検査などを実施して適切に診断してもらうことをお勧めします。

更年期が原因で乳頭が痛くなることはありますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

更年期においては、卵巣機能が低下して、エストロゲンの分泌が減少してプロゲステロンが増加することによって乳頭部が痛くなることがあります。40代以降は、乳がんなどの疾患にも罹患しやすい年代とも言えますので、心配な症状があればすぐに専門医療機関を受診しましょう。

中高生で成長期に乳首が痛い場合は何科の病院へ行くべきですか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

中高校生など成長期に乳首が痛いと感じている人は多く、ごく自然な胸の成長過程であり、心配する必要はありません。特に、成長期はブラジャーを付けることで自然な成長を妨げることなく乳頭部の痛みなどを緩和することができると期待されます。どうしても不安であれば、乳腺外科など専門医療機関を受診しましょう。

まとめ

何の心当たりもないのに乳首が痛むと、重大な病気が隠れているのではないかと不安になる方も多いでしょう。
心配が大きくなる前に、まずは乳首が痛くなる原因疾患や簡便な対処法を知っておくことが重要です。
本記事では医師監修のもと、乳首の痛みの原因や具体的な対処策、あるいは受診の目安などについて執筆しています。
今回の情報が参考になれば幸いです。

「乳首が痛い」で考えられる病気と特徴

「乳首が痛い」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

乳腺外科の病気

産婦人科の病気

皮膚科の病気

  • 皮脂欠乏性湿疹

精神科の病気

皮膚の乾燥に注意するなどセルフケアを行なうなどしても改善しない場合には受診することも検討しましょう。

「乳首が痛い」と関連のある症状

「乳首が痛い」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • ち首がかゆい
  • 乳首に皮膚病変がある
  • 乳首の痛み以外に乳房の腫れやしこりなどを伴う
  • 乳頭部から血性の分泌液がみられる

「乳首が痛い」症状の他に、これらの症状がある場合も「乳腺炎」「乳がん」「月経前症候群」「皮脂欠乏性湿疹」「乳頭炎」などの疾患の可能性が考えられます。しこりがある場合には、早めに医療機関への受診を検討しましょう。