歯周病は歯磨きだけで治せますか?

公開日:2020/09/15

こんにちは。日本歯周病学会認定歯周病専門医の飯島佑斗と申します。
歯周病って歯磨きしっかりやっていれば治るものなんじゃないの?」という声を耳にすることがあります。一時期歯茎から出血したりしていたけど歯周病予防の歯磨き粉を使ったら治ったなど歯周病は歯磨きだけで治せると思われている方は少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は本当に歯周病は歯磨きだけで治るのか、歯周病の原因やメカニズムから説明したいと思います。

飯島 佑斗

執筆歯科医師
飯島 佑斗(日本歯周病学会認定医)
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東京歯科大学卒業。日本歯周病学会認定医。慶応義塾大学病院歯科口腔外科所属。日本口腔インプラント学会会員。

 そもそも歯周病ってどういう病気?

そもそも歯周病とはどのような病気なのでしょうか。歯周病とは一部を除きほとんどが歯周病を起こす細菌による感染症と言われています。一般的に知られているお口の病気である虫歯と違い、歯の周囲の歯茎(歯肉)や歯の周囲の骨(歯槽骨)などの歯周組織と言われる部分に問題が起こります。歯周病は歯肉にのみ症状が起こる歯肉炎と歯肉炎が進行して起こる歯周炎に大別されます。
また昨今、歯周病は生活習慣病として認知されてきていて糖尿病や動脈硬化など全身疾患との関連が示唆されていています。つまり歯周病の予防が全身の生活習慣病の予防にもなると考えられています。

 歯肉炎ってなに?

歯垢などの汚れに潜む歯周病をおこす細菌(歯周病原細菌)によって歯肉にのみ炎症を起こすものを歯肉炎と言います。しかしそれ以外にも原因によって歯肉に病変を形成する歯肉病変と言われるものもあります。

 1 歯の汚れ(プラーク=歯垢)による歯肉炎

一般的に歯肉炎と言われるものです。歯の汚れである歯垢(プラーク)の中の細菌によって歯肉に起こる炎症のことです。歯周炎の前段階とされています。
症状としては歯肉の色調がピンク色から赤色になり、腫れ、出血、痛みなどがみられます。しかしレントゲンや歯周ポケットの検査では異常が見られない状態です。
思春期妊娠などの特定の時期に起こりやすいとも言われ、糖尿病白血病栄養不足などによっても起こりやすいとも言われます。
原因としては歯垢(プラーク)ですので、歯肉炎の発症を予防するためには日々のブラッシングや歯科医院への定期検診は非常に重要となります。

 2 歯の汚れ以外による歯肉炎

歯垢の中の細菌以外でおこる歯肉炎のことです。一般的な歯垢にいる細菌以外の細菌による感染によるもの、皮膚病に伴うもの、アレルギーによるもの、外傷によるものなどがあります。原因によりさまざまな症状をおこします。

 歯周炎ってなに?

一般的に歯周病と言うと、この歯周炎を指すことが多いと思います。
歯周病をおこす細菌による炎症が歯肉からさらに深部の歯を支える骨(歯槽骨)や歯と骨を結合している歯根膜、セメント質にまで及んでしまった状態です。
歯槽骨の吸収などに伴い歯と歯肉に歯周ポケットという深い溝を形成します。一度歯周ポケットを形成してしまうとその溝の中でかたい歯石(歯肉縁下歯石)ができてしまい、その歯石の表面にまた歯垢が沈着し炎症をおこします。歯周ポケットは4mm以上の深さのため歯ブラシの毛先が届きづらくさら歯周ポケットが悪化し、より歯石や歯垢の除去が困難になり悪循環をおこしてしまいます。
歯周炎にもその進行スピードによって種類があります。以前は慢性歯周炎侵襲性歯周炎と分類分けされていましたが、2017年よりステージおよびグレード分類に変更となっています。
症状としては歯周ポケットの形成、歯周ポケットからの膿の排出・出血、歯を支えている骨(歯槽骨)の破壊歯が揺れるなどです。慢性に症状が経過していると前述の症状を自覚されるようになるまでどんどんと病気は進行します。痛みを伴わないことが多く見逃されがちで気づくと治療が非常に困難になってしまっていることもあります。また進行の急激で進行の早いタイプの歯周炎は全身的には健康ですが、急激な歯を支えている骨(歯槽骨)の破壊や歯周ポケットの形成を起こすという特徴があります。家族内で同様の症状がおこることが多いと言われています。一般的には歯垢(プラーク)の付着している量は少なく、発症する年齢も10〜30歳くらいの若い人が多いと言われています。さらにこの歯周病を発症した人には身体の免疫の異常が認められることもあります。

 じゃあ結局、歯周病は歯磨きだけで治せるの?

結論からいうと一部改善できる場合もありますが、ほとんどの場合は歯磨きだけでは難しいと考えられます。
それは歯周病のうち軽度である歯肉炎にとどまっているようであれば歯磨きがしっかりできていれば改善できますが、歯の周囲の歯槽骨や歯根膜という組織にまで影響がでているような歯周炎の状態である場合は難しいことが多いと考えます。また歯に対して歯石が付着している場合には通常の歯磨きでは歯石は除去できないため、たとえ軽度の歯肉炎だったとしても歯科医院などの専門機関に受診しないと改善は難しいかもしれません。そもそも歯磨きがしっかりできているかは自分では判断できないことが多いです。つまり歯磨きで治すことのできる軽度の状態もありますが、それにはしっかりとした歯磨きの知識が必要で、歯周炎の状態に移行している場合には歯磨きだけで改善は難しいということになります。

 まとめ

今回は歯周病は歯磨きだけで治るの? というテーマでお話させていただきました。お口の中はご自身で確認するのが難しい部位です。実際今自分のお口の中がどうなっているか気になる方は歯科医院へ受診し検査をしてみると良いでしょう。また歯周病の疑いがある場合に関しては歯周病専門医がいる歯科医院の方がより望ましいと考えられます。