《危険!?》タバコと歯周病の関係について

こんにちは。メープルデンタルクリニック大久保の剣持正浩(日本歯周病学会認定医)と申します。
日々の臨床において、禁煙指導をすることは数多くありますが、なぜ歯科でも禁煙をすすめるのでしょうか?喫煙と歯周病は関係があるのでしょうか?
患者様からも、「タバコが体に悪いことは分かっているけど・・・。」、「タバコをやめても歯周病が治るわけでもないでし・・・。」、はたまた、「自分は歯周病じゃないから、吸っていても問題ないでしょう・・・。」などなど様々なご意見を頂くことがあります。
みなさんもご存知の通り、喫煙が身体に悪いと分かっていることは周知の事実ですが、口腔内にはどのような影響を及ぼしているのでしょうか?
今回は、喫煙と歯周病の関係をメインテーマにお話しさせていただきます。

 タバコによる影響

タバコは、4000種類以上の化学物質を含んでいます。また、「ニコチン」「タール」「一酸化炭素」の三大有害物質をはじめ約200種類以上の有害物質が含まれていて、そのなかの60種類は発がん性物質といわれています。
まずは、三大有害物質が口の中に与える影響をみていきましょう。(日本歯周病学会 歯周病と禁煙チャレンジ−タバコを吸うあなたのために−より抜粋)

ニコチン

ニコチンには、強力な血管収縮作用があり、歯ぐきが炎症を起こしても出血が抑えられ歯周病の症状である出血が隠されてしまうため、歯周病が気づかないうちに重症化してしまいます。
また、依存性が強く、禁煙しようと思ってもなかなかやめられないのはニコチンが原因です。

タール

タールは歯の露出面に黒褐色に沈着し、不快な外観を作りだします。なによりもタールは有名な発がん物質です。

一酸化炭素

一酸化炭素はニコチンとともに身体の免疫担当細胞の活動を著しく低下させてしまいます。これらの有害物質の相乗作用によって歯周病は悪化し、治療しても術後の経過が不良になるのです。

 喫煙の影響

全身への影響

喫煙は健康に大きな悪影響を及ぼし、悪性新生物・心疾患・脳血管疾患・慢性閉塞性肺疾患などの生活習慣病の重要なリスクファクターであることがわかっています。

口腔内への影響

口はタバコの煙が1番最初に通過する場所ですから、さまざまな影響を受けやすい場所ですし、喫煙により口腔・咽頭がんの発生率が3倍になるといわれています。口の中のわかりやすい変化として、歯ぐきに着色がおこったり、味覚が鈍くなったり、口臭の原因になったり、悪化させたりします。

受動喫煙

喫煙者が吐き出す呼吸煙と副流煙は各種成分の濃度が高く、常習喫煙者より非喫煙者の方がニコチンの作用の反応が強いといわれています。
また、換気扇や空気清浄機では受動喫煙をなくすことはできませんし、吸い終わってからしばらくは、吐く息の中にも有害物質が残っています。さらに、髪や衣服などからも有害物質は検出されます。
最近では、子どものむし歯発生率なども、親が喫煙者か非喫煙者かで左右されるとの報告もあります。

 喫煙と歯周病

歯周病の危険因子として、日常の生活習慣に由来するさまざまな因子(喫煙・糖尿病・ストレスなど)があり、喫煙は最も大きなリスクファクターの一つであることがわかっています。また、重度の喫煙者は特定の細菌や年齢、糖尿病などよりも、歯周病の重症度と関連が深いという報告もあります。
さらに、喫煙者は非喫煙者に比べて2~8倍、歯周病にかかりやすいことが報告されています。

 喫煙者の歯周病の影響と症状

喫煙による歯周病への主な影響は、「歯周病になりやすい」「気がつきにくい」「進行がはやい」「治りにくい」の4つになります。

歯周病になりやすい

喫煙による口臭の悪化、味覚の低下や、メラニン色素の増加による歯ぐきの変色 (黒くなる)、歯面の着色などが口腔内環境を増悪させ歯周病になりやすくしている。

気がつきにくい

タバコに含まれる化学的有害物質(ニコチンによる血管収縮作用など)が歯ぐきからの出血を減少させます。また、歯ぐきを線維化し、角化させて歯ぐきの表面を硬くします。よって、炎症のある歯ぐきが赤くなったりブヨブヨ柔らかくなる、出血するなどの自覚症状が出にくいため、喫煙は歯周病の症状を隠すといわれています。

進行がはやい

歯肉の低酸素状態や免疫力低下により、通常の炎症が起こらないため、歯ぐきの赤みや腫れ、出血などの初期症状が目立たないため、自覚しにくく、非喫煙者と比較すると症状の進行かが早いといわれています。

治りにくい

症状がかなり進行してから気がつくことが多く、そこから治療となることが多いため治療の予後が悪いといわれています。また、歯周組織の修復も阻害されるため、思うように治療効果があがりづらいです。

 禁煙による効果

数週間禁煙することで、歯周組織は本来もっていた免疫応答を回復するようになりますし、継続することで、歯周病のリスクも低下します。歯ぐきの黒ずんだ外観も時間はかかりますが、徐々に本来の歯ぐきの色に戻っていきます。また、炎症反応が正常に戻ることで、歯ぐきの赤みや腫れも増す可能性はありますが、歯周病治療によって、健康な状態を取り戻すことができます。
タバコをやめることで、さまざまなよい変化がみられます。口の中が健康であることは、全身の健康に関わっていき、生活の質が改善されます。

 禁煙をはじめるために

(日本歯周病学会 歯周病と禁煙チャレンジ−タバコを吸うあなたのために−より抜粋)
・なんのために禁煙するのか強い意志をもつこと。
・周囲の環境をととのえ、協力できる仲間づくりをする。
・吸いたい気持ちを発散させる方法を考える。
・専門家委による禁煙サポートを(カウンセリングとニコチン代替療法)を受ける。

 まとめ

喫煙は、歯周病の最大のチスクファクターであり、非喫煙者と比較すると2~8倍歯周病にかかりやすくなります。また、喫煙による歯周病への主な影響は、「歯周病になりやすい」「気がつきにくい」「進行がはやい」「治りにくい」の4つになります。もちろん、喫煙による影響は歯周病だけではありません。さまざまな影響を体に及ぼし、自分以外にも受動喫煙による影響がでます。
歯周病の治療において、タバコをやめることは大きな前進になりますので、禁煙にトライしてみましょう。