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日本歯周病学会専門医がオススメする歯磨きの仕方

 更新日:2023/08/03

こんにちは。日本歯周病学会専門医の飯島佑斗と申します。
皆さん日々歯磨きはきちんとされているでしょうか?1日に3回、朝昼晩に歯を磨きましょうと言われたことはあるかもしれませんが正しい歯ブラシの仕方で磨けているでしょうか?実は歯磨きの方法にはいくつか種類があり、歯ブラシの道具にも様々なものがあります。またそれらはそれぞれ適材適所で使い分ける必要があります。
今回はそんな歯ブラシについてのお話をさせていただきたいと思います。

飯島 佑斗

監修歯科医師
飯島 佑斗(飯島歯科医院・院長)

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東京歯科大学卒業。日本歯周病学会専門医。日本口腔インプラント学会専修医。飯島歯科医院 院長。

 歯磨きの目的

歯磨きがなぜ必要かというと口の中の汚れであるプラーク(歯垢)の除去および再付着を防止することにその必要性があります。プラーク除去にはお家でご自身で行うセルフケアという方法と歯科医院で行うプロフェッショナルケアという方法があります。ご自身で行うセルフケアは基本的には歯茎より上についている汚れをとることを目的とします。自宅で行うセルフケアでは歯茎の中の深いところの汚れをとることは難しいと言われています。そのため歯茎より深いところに歯石などの汚れがたまっている場合には歯科医院にて専門の処置をしていく必要があります。

 歯ブラシに使う器具の種類

1.手用歯ブラシ

一般的に市販されている多くの歯ブラシのことを指します。毛の材質、大きさ、直径、長さ、毛束の数や列、持ち手の形などにより多くの種類や型があります。基本的には歯茎の炎症が強い場合には毛の軟らかい歯ブラシを使って、炎症が軽減したら硬めの歯ブラシに変えていきます。通常、歯科医院にて使用する方の年齢や歯の並び、お口の中の状態に応じて使用する歯ブラシや適した磨き方をお勧めしていきます。

2.電動歯ブラシ

電動歯ブラシにはモーターを使用した高速運動電動歯ブラシ、音波歯ブラシ、超音波歯ブラシがあります。電動歯ブラシと手用歯ブラシで汚れの除去効果に差はないと言われていますが、ブラッシング時間が短い、ブラッシング時に複雑な動かし方が必要ないため簡単というメリットがあります。

 ・高速運動電動歯ブラシ

電動歯ブラシが開発された初期からある型で、ブラシが内蔵されたモーターにより振動や回転運動(2000~7500回転/分)をすることでプラークを除去します。比較的安価な機種もあり、手磨きのようにブラシを動かす必要はありません。

 ・音波歯ブラシ

電動ブラシの上位機種に多く見られるタイプで、ブラシ部分に音波振動(3万回~4万回/分)を発生させてプラークを除去します。音波振動に加え、細かな気泡や水流を発生させることで歯垢を除去する機種もあります。ブラシを動かす必要はありません。

 ・超音波歯ブラシ

ブラシ部分に超音波振動(100万回~150万回/分)を発生させてプラークを破壊、浮き上がらせて除去します。超音波振動は非常に細かい振動なため、ブラ シを当てるだけではプラークの除去効果はなく、手磨きと同様に動かす必要があります。

3.歯と歯の間専用の清掃器具

デンタルフロスや歯間ブラシなど、最近では電動デンタルフロスもこれに当てはまります。歯と歯の間の汚れの除去に使用します。通常手用歯ブラシや電動歯ブラシでは歯と歯の汚れはしっかりと除去できないためこのような器具の使用は必須となります。使い方が難しいため正しく使用できているかどうかは歯科医院での使用法のチェックが勧められます。
 
《ブラッシングの方法》

 1.歯ブラシの毛先を用いる方法

①横磨き法
・簡単な方法で、汚れの除去効果は高い
・歯と歯の間の汚れの除去の効果が悪い
・力がかかりやすいので歯の表面が削れたり、歯茎を傷つけやすい
②縦磨き法
・歯と歯の間の汚れの除去はしやすい
・歯茎を傷つけやすい
③バス法
・歯と歯茎の中の汚れの除去を目的とした方法
歯ブラシの毛先を約45度に当て、歯と歯茎の中に入れるようにして細かく動かす
・方法がやや難しい
④フォーンズ法
・汚れの除去効果が高い
・大きく円を描くように歯ブラシをうごかす
・歯茎を傷つけやすい
⑤スクラッビング法
・方法が簡単で汚れの除去効果が高い
・歯の表側は歯に対して垂直に当て、裏側はバス法のように45度の角度で当てる
・歯茎より上の面の汚れを除去する方法なので歯茎の中にいれることはない
 

 2.歯ブラシの脇腹を用いる方法

①チャーターズ法
・歯ブラシの毛先を歯の先端に向けて45度に傾け、その後歯に圧迫しながら歯茎の方向にずらす方法
・歯茎へのマッサージ効果がある
・歯茎を傷つけやすい
・汚れの除去効果が低い
②ローリング法
・歯ブラシの毛束を歯の軸とほぼ平行にし、歯茎に数mm当たる位置で1度圧迫して歯ブラシをわずかに歯の先端方向に回転させる方法
・歯と歯茎の境目の汚れの除去効果は低い
③スティルマン法
・歯ブラシをローリング法と同じように当て、歯ブラシの毛先が歯茎辺縁に触れた位置で加圧振動を与える方法
・歯茎のマッサージを目的としている
④スティルマン改良法
・スティルマン法とローリング法を合わせた方法
・スティルマン法では汚れの除去効果が低いため、スティルマン法で加圧振動させた後に歯ブラシを回転させて歯の表面の汚れを除去する
 

 歯周炎に対して勧められる歯磨き法とは?

まず歯ブラシの選択としては手用歯ブラシの場合は炎症の強い時には毛の軟らかい歯ブラシを使用し、炎症が軽減してきたら硬めの歯ブラシに移行します。
毛先については歯周炎の場合歯と歯茎の間の歯周ポケット内の汚れの除去が必要となるためポケットに入れるために細めの毛先である必要があります。
0.007mmくらいの直径が推奨されます。また歯ブラシのヘッドの大きさがご自身にあった大きすぎないものであり、使用していくことで歯ブラシの毛先が広がって清掃効果が少なくなっていくためそのような時には歯ブラシの交換をする必要があります。
 
また歯磨き法としては歯茎周辺の汚れや歯周ポケット内の汚れを除去するバス法や歯の表面の汚れの除去効果の高いスクラッビング法を併用していくと良いと思います。
さらにそれだけでは歯と歯の間の汚れは除去しきれていないため歯間ブラシやデンタルフロスを併用していく必要があります。
ブリッジなどで治療されている部分にはダミーの歯の下の部分を磨くための専用の清掃器具を併用しましょう。しかし実際の使用法が正しいかどうかについては必ず専門の歯科医師、歯科衛生士に確認してもらう必要があります。正しい器具を持っていても間違ったまま使用していてはあまり効果がありません。
 

 まとめ

今回の歯磨きの仕方についてのお話はどうでしたか?色々な方法や道具があって難しかったかもしれません。
今回は歯磨きの方法についてお話しさせていただきましたが、実際は歯科医院にて自分に適した方法を歯科衛生士さんに相談する必要があります。またその歯ブラシの方法で良いのか評価してもらう必要があります。
 
そうすることで自分の歯ブラシの方法が本当に正しいのか、また評価してもらうことで自分で行うブラッシングに対するモチベーションの向上や自分の口の中に対する関心が増えることで今後の口の中のトラブルに対する予防になります。
虫歯や歯周病になってしまった場合は治療することが大事ですが、一番大事なのはそうならないようにするために予防することなのです。

この記事の監修歯科医師