手磨きより電動歯ブラシを使ったほうがよいの?

こんにちは、たまプラーザの日本歯周病学会認定歯周病専門医が在籍する歯医者「美しの森デンタルクリニック」院長の村野嘉則と申します。
毎日行う歯磨きですが、歯ブラシを使って手で磨く「手磨き」が一般的な方法として皆さんも行っていると思います。最近では電動歯ブラシの普及もあり、歯科医院を受診する患者さんがすでに電動歯ブラシを使っているケースも多くなっています。しかし、使い方を間違えて行っていると、うまく歯周病や虫歯の原因となるプラーク(歯垢)が除去できずに、一生懸命に頑張っているのに予防効果が出ないという悲しい結果に繋がってしまいます。
今回はお口のケアにおいて最も重要な歯ブラシの方法、特に手磨きと電動歯ブラシについて比較しながら詳しくご説明したいと思います。

村野 嘉則(日本歯周病学会専門医)

執筆歯科医師
村野 嘉則(日本歯周病学会専門医)
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《保有資格》
日本臨床歯周病学会認定医。日本歯周病学会認定歯周病専門医。厚生労働省認定歯科医師臨床研修指導歯科医等。
《自己紹介》
美しの森デンタルクリニック院長の村野です。歯を失う原因である歯周病の治療を専門としておりますが、歯周病は歯だけでなく、全身の健康にも被害を及ぼすのではと懸念されている疾患の一つです。各科の専門医と協力することで、「なるべく歯を残す治療」を心がけています。

 手磨きと電動歯ブラシで効果的なのはどちら?

手磨き電動歯ブラシもやり方を間違えずに磨けば、どちらもしっかりとプラークを取り除く事ができます。
手磨きの場合、歯ブラシを自分で動かし続けてプラークを除去する必要があります。しかし電動歯ブラシに比べコストがかからず、手軽にどこでも磨けるというメリットがあります。また様々な形の歯ブラシがあり、手磨きでプラークをしっかり落とせる技術のある方は、こちらで十分だと思います。
一方、電動歯ブラシは種類にもよりますが、基本的に動かす必要は無く、ブラシを歯に当てるだけで短時間で均一にプラークが除去できます。手磨きでどうしても磨き残しが出てしまう方や、歯ブラシに時間をかけられない方などに適しています。しかし、手磨きに比べて歯ブラシ部分の交換などにコストがかかってしまうので注意が必要です。
また、歯ブラシだけではお口の中全体の約6割しか磨けないと言われています。歯と歯の間にプラークが残ってしまうので、歯ブラシと共にデンタルフロス歯間ブラシなどを用いて歯間部の清掃を行う必要があります。

 電動歯ブラシの種類

電動歯ブラシには「高速運動電動歯ブラシ」、「音波歯ブラシ」、「超音波歯ブラシ」の大きく分けて3種類の歯ブラシがあります。

 「高速運動電動歯ブラシ」

電動歯ブラシが開発された初期からある型で、ブラシが内蔵されたモーターにより振動や回転運動(2000〜7500回転/分)をすることでプラークを除去します。比較的安価な機種もあり、手磨きのようにブラシを動かす必要はありません。
参考製品:ブラウン・オーラルB

 「音波歯ブラシ」

電動ブラシの上位機種に多く見られるタイプで、ブラシ部分に音波振動(3万回〜4万回/分)を発生させてプラークを除去します。音波振動に加え、細かな気泡や水流を発生させることで歯垢を除去する機種もあります。ブラシを動かす必要はありません。
参考製品:フィリップス・ソニッケアー、パナソニック・ドルツ など

 「超音波歯ブラシ」

ブラシ部分に超音波振動(100万回〜150万回/分)を発生させてプラークを破壊、浮き上がらせて除去します。超音波振動は非常に細かい振動なため、ブラシを当てるだけではプラークの除去効果はなく、手磨きと同様に動かす必要があります。
参考製品:朝日医理科株式会社・スマイルエックス

 電動歯ブラシの使用方法

電動歯ブラシは超音波歯ブラシを除いて、手磨きのように動かす必要はありません。使い方で重要なポイントを説明していきます。
1. 歯を磨く順序を決めましょう
手磨きと同様に電動ブラシでも歯にブラシを当てる順序をしっかりと決めて行いましょう。順序を決めて行うことで磨き忘れを防止し、全ての歯の面にブラシを当てることができます。これは、プラークの取り残しを防ぐためにとても大切です。
2. 優しい力で、ゆっくりとずらすようにブラシを移動させましょう
ブラシは毛先の部分でプラークを掻き取ります。ブラシを強く押し付けず、振動がうまく歯に伝わるよう、毛先が広がらない程度の圧力で歯に当てるようにしましょう。
また、手磨きのように細かく動かす必要はありません。歯ブラシ自体が振動しプラークを取り除いてくれますので、歯に当てる順序を守りゆっくりと奥歯から一本一本ずらすように動かしましょう。
3. ヘッド部分は定期的に交換が必要歯ブラシは毛先が開くと清掃効率が下がってしまいます。手磨きに使う歯ブラシと同様に、電動歯ブラシもしだいに毛先が開いてきてしまう為、定期的な交換が必要です。機種によって交換時期が違うので、説明書などで確認しましょう。
4. 電動歯ブラシでも歯と歯の間の清掃が必要です!
いくら電動歯ブラシといえども、歯と歯の間のプラークを完全に除去することは不可能です。歯ブラシだけではお口の中全体の約6割しか磨けないと言われています。歯ブラシと共にデンタルフロス歯間ブラシなどを用いて歯間部の清掃もしっかりとやりましょう。

 電動歯ブラシに使う歯磨き粉は?

基本的に歯磨き粉を使用しなくてもプラークを除去することは可能です。注意点として、一般的な歯磨き粉だと泡立ちが良く磨きにくくなってしまうのと、さっぱりとした爽快感が出るため磨き残しがあっても磨けている気になる、また研磨剤の配合されているものですと歯が削れていってしまうなどの問題点があります。
その為、歯磨き粉を使用する場合は研磨剤の配合が少なく、泡立ちの少ない低発泡の歯磨き粉を使用すると良いでしょう。研磨剤や発泡剤の含まれていないジェルタイプのものなど電動歯ブラシに適した様々な製品がありますので、どれを使ってよいかお悩みの時はかかりつけの歯科医師や歯科衛生士にご相談いただくと安心です。また、歯磨き粉の中にはフッ素が配合されていますので、虫歯予防の観点からは欠かせないものです。

 まとめ

短時間で効果的にプラークを落とすことの出来る電動歯ブラシですが、過信は禁物です。しっかりした使用方法を守らなければ、手磨き以上に磨き残しができてしまいます。使用方法が分からない場合は、かかりつけの歯科医院か歯周病認定医専門医の在籍する歯科医院にぜひご相談することをお勧めいたします。