歯周病が進行していないかチェック項目

こんにちは。日本歯周病学会認定医で杉澤デンタルクリニック行徳の杉澤です。
歯周病は痛みなどの症状が少なく、慢性的に歯周組織の破壊が進行する病気です。症状が出たときにはすでに歯の周りの組織が取り返しのつかない状態になっていることも少なくありません。そうなる前に歯周病の進行に伴う兆候をご自身でチェックし、早めの対応が重要です。今回はそんな歯周病の進行に伴う兆候について書いていこうと思います。
それでは歯周病のチェック項目スタート!

 歯茎から出血する

もともとお口の中の粘膜はからだの表面を覆う皮膚に比べ、角化層が薄く、多くの毛細血管が表層を走行しているため、出血しやすい傾向にあります。そこに細菌の集合体であるプラークの停滞によって細菌の感染が生じると、からだは免疫の役割を担う白血球を集めるために、毛細血管が膨らみ血流量を多くします。薄い粘膜でかつ炎症により血管が拡張している状態の歯肉は、歯ブラシの毛先の刺激で容易に出血することになります。
歯ブラシに血が付くと、怖くなり逆に磨きにくくなる方もいらっしゃるかもしれませんが、一番問題なのは血が出ることではなく細菌の感染が続くことです。歯ブラシでは取れない歯石がついているようなら、早めに歯石を取ってもらい、感染を除去することで比較的早く歯茎からの出血は減少していきます。
 

 歯茎が赤く腫れぼったい

歯周病は細菌による感染症であります。からだはその感染に対する防御機構として炎症が生じます。それが、歯肉炎や歯周炎でありますが、そもそも炎症には5つの兆候(発赤・腫脹・熱感・疼痛・機能障害)があります。そのうちの発赤と腫脹が歯肉での炎症で生じやすい(気が付きやすい)特徴があります。
ピンク色の歯茎が赤く、特に歯と歯の間の歯茎が腫れているようなら歯周病を疑う必要があります。
 

 歯がぐらぐらして咬みにくい

歯はそもそも正常でも生理的な動揺があります。その動揺幅は0.2mm以内であり、ほとんど自分では気が付かないぐらいの動揺です。しかし、歯周病により歯を支える歯槽骨という歯の周りの骨が溶けていくと、歯は支えがなくなりぐらつき始めます。そのぐらつきが大きくなればなるほど、硬いものを噛む力に耐えられず、硬いものが食べづらくなっていきます。
もう一つ、歯がぐらぐらする原因があります。咬合性外傷といって、かみ合わせが均等に当たっていない場合や、歯並びなどが原因で歯にかかる力が、変な方向に力が加わり続けると、歯の周りの骨が大きく吸収していなくても、歯がぐらつく可能性があります。
歯のぐらつきは、歯にとって大きな問題になりえる症状です。ぐらつきを感じたら、早めの検査や治療が必要です。
 

 口臭が気になる

口臭には、お口の中に原因があって出る口臭と全身的疾患やアルコールやニンニクなどの飲食物が原因で肺から呼気としてでる口臭があります。飲食物による口臭は長く続くことはなく、口臭が特徴的な全身疾患がない場合、ほとんどがお口の中で口臭が発生していることになります。
お口の中で発生する口臭には生理的な口臭と病的な口臭が存在します。ほとんどの口臭は生理的な口臭で、原因は口臭を主に防いでくれる唾液の減少が考えられます。その口臭の原因物質は口腔内の細菌により作られるガスの揮発性硫黄化合物です。唾液には抗菌作用のある酵素が含まれています。唾液が減少することにより、細菌の数が増加し、細菌によって放出される口臭原因物質が多くなってしまいます。
起床時や空腹時、緊張時などの生理的な唾液の減少による口臭のほかに、病的な口臭も存在します。主な原因は歯周病です。歯の周りや歯周ポケットに細菌が多く住みつき、また唾液の抗菌作用がいきわたりにくいため、生理的な口臭より強い口臭が特徴です。
口臭も自分では気づきにくいですが、口臭を指摘されたら、強い口臭である可能性があるため、歯周病を疑う必要がるでしょう。
 

 歯石がついている

歯石はもともと歯の周りに付着したプラークが唾液中のリンやカルシウムなどと結合し石灰化したものです。唾液がお口の中に分泌される主な場所は舌の下や頬の裏側にあります。だから、下の前歯の裏側と上の左右奥歯の頬側に唾液が当たりやすく、歯石ができやすい部位になります。歯石は歯と強固にくっつくため歯ブラシでは取れません。また、表面はザラザラしているため、またプラークが停滞しやすく、歯ブラシで磨いても細菌の集合体であるプラークを取り除くことが難しくなってしまいます。
下の前歯の裏側に歯石が付着していないかチェックし、定期的に除去することにより、ご自身での歯ブラシにより効果的にプラークを除去し歯周病の予防または進行を防ぐことができます。
 

 お肉や繊維質などの食べ物が歯と歯の間に詰まりやすくなった

歯と隣接する歯は正常では接触しています。その接触は点状であり、その接触の強さを歯間離開度といいます。だいたい、110μm以上の厚みのものは歯と歯の間に入らない接触の強さになっています。(平均:上顎臼歯90μm、下顎臼歯70μm)この状態だと、食べ物は歯と歯の間に咬むことで挟まることはありません。しかし、歯間離開度が150μmを超えてくると、お肉や繊維質の食べ物が歯と歯の間に挟まり始めます。
歯周病により歯を支える歯槽骨が吸収し、歯がぐらつき始めると、歯間離開度が大きくなり、食べ物が歯と歯の間に詰まりやすくなることに気が付きます。また、デンタルフロスを通すことにより、フロスが抵抗なく歯と歯の間に入るようなら、食べ物も入っているかもしれません。また、虫歯により歯と歯の間が広くなる可能性もあります。もの詰まるようになったら、歯周病や虫歯の検査が必要です。
 

 歯が長くなった気がする

久々に鏡で歯や歯肉を見てみると、『あれっ!?歯が長くなった気がする』と思われた方もいらっしゃると思います。歯の構造として、歯の成長が終わるのは15歳前後です(親知らずは20歳前後)。よって、それ以降歯が長くなることはあり得ません。歯が長くなったと感じる原因は歯肉がさがることにあります。今まで歯肉によって覆われていた歯が、歯肉の退縮により、露出する部分が多くなるためです。では、歯肉が退縮する原因には何があるでしょうか。
歯肉がさがる主な原因として、歯周病があります。他にも、歯ブラシの圧が強かったり、矯正治療により歯肉が退縮することがあります。歯ブラシの圧で歯肉が退縮しても、正常な圧でのブラッシングに戻してあげると、歯肉は元の位置に戻ります。しかし、歯周病によって退縮してしまった歯肉は元に戻りません。
そもそも、歯周病で歯肉がさがる原因は歯肉を支える骨の吸収にあります。歯周病の進行による、歯の周りの骨の吸収により歯肉は下がってしまうのです。特に前歯が見えやすいので、歯ブラシの時にチェックしてみましょう。
 

 朝起きた時にお口の中がネバネバする

ヒトは眠っている時は唾液が減少します。唾液が減少すると、唾液の抗菌作用も減少し、お口の中は細菌が増殖します。細菌は歯にくっつくためや細菌の集合体を作るために菌体外多糖を分泌します。この成分が多くでき、プラス唾液減少でお口の中が潤っていないため、ネバネバする場合があります。これはだれでも起こり、唾液の減少により生じます。
もう一つネバネバが強いまたは続く場合、大きな原因として歯周病があります。睡眠中に唾液が減少するのも相まって、歯周病の進行により歯周ポケットの中の多くの細菌がさらに増加し、感染によってできた膿が、歯周ポケットからでてきます。この膿が口の中のネバつきになっているのです。普段は唾液で潤っていて気が付かないのが、起床時のお口の乾燥時にわかりやすい特徴があります。
就眠中に一番細菌が増殖するため、お休み前の歯ブラシが最も重要となります。しかし、歯周病の進行により、お口の中の細菌数は増え続けるため、歯周病の予防や治療により口腔内細菌を増やさないようにしないといけません。
 

 特に前歯の歯並びが悪くなった

正常な歯列における上の前歯は、下の前歯の前に重なるように並んでいます。そして上の前歯は咬むときには下の前歯から突き上げられる方向に力が加わり、また前歯の前にある上の口唇からの内向きへの力が常にかかり、その両方の力が相反し、位置は変わりません。
歯周病が進行することにより、奥歯の歯がぐらつき傾くことで奥歯のかみ合わせが低くなることがあります。そうすると、自然と前歯のかみ合わせの負担が大きくなり、下の前歯の上前歯への突き上げが大きくなります。
結果的に、上の前歯は出っ歯のように前に出てきます。以前は前歯は出ていなかったのに、最近上の前歯が出てきたような気がするなら、歯周病の可能性があります。
 

 まとめ

歯周病は直接目で確認しにくく、また症状もないため、自分でも気が付きにくい病気です。かつ、歯周病の進行も不可逆的なことが多く、早く治療をしておけばよかったと後悔することも少なくありません。そうならないためにも、進行をなるべく早く止めるためにご自身による毎日の自己チェックと定期的な専門的な検査が必要です。
日本歯周病学会の認定医/専門医による歯周病に対する予防や治療により、できるだけ長くご自身の歯を健康に残していきましょう。