歯周病の検査って何をする? 専門医が徹底解説

公開日:2020/10/10  更新日:2020/10/08

みなさんこんにちは。有楽町デンタルオフィスに勤務しております、日本歯周病学会専門医・歯学博士の武内崇博と申します。
病気を診断し、治療していくために検査は必要不可欠です。検査なく治療を行うことはありません。それも一つの検査だけではなく、様々な検査を経て病名を決定し、治療方針を決定していきます。医科領域での検査はイメージがつきやすいと思いますが、歯科領域でも様々な検査があります。
歯周病多因子疾患であり、重症の場合、治療期間が長期化することがほとんどです。また自覚症状がない方でも進行している場合がある大変恐ろしい病気です。今回は歯周病の診断や治療計画を決定する上で、必要な検査の種類やその意義をご紹介したいと思います。

武内 崇博

執筆歯科医師
武内 崇博(日本歯周病学会専門医)

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歯科医師、歯学博士。東京歯科大学歯周病学講座講師(非常勤)。日本歯周病学会、日本口腔インプラント学会、日本顕微鏡歯科学会の各会所属。

 歯周病の定義と原因

歯周病はギネスブックにて人類最大の感染症として認定される、細菌によって引き起こされる感染性炎症性疾患です。歯周組織とよばれる歯を支える4つの組織(歯肉:歯茎、セメント質:歯の根を覆う組織、歯根膜:歯と骨をつなぐ靭帯、歯槽骨:歯を支える上下の顎の骨)に起こる疾患のことをいいます。症状の進行程度により歯肉炎歯周炎に分類されています。
また最近、歯周病は食習慣、歯磨き習慣、喫煙などの生活習慣により増悪することから生活習慣病として位置づけられ、さらに糖尿病などの全身性疾患との関連性が示唆されています。
前述のように歯肉炎・歯周炎の原因は細菌です。歯と歯茎の間にある歯肉溝歯周ポケットとよばれる溝に存在するプラーク(歯垢)中の細菌と、生体の防御機能とのバランスが崩れることにより発症・進行します。口の中には500種類を超す細菌が存在していると言われています。そのなかで歯周組織の原因となる細菌は特定されています。それらが歯周組織を構成する細胞に作用し、歯周組織の破壊を引き起こすと考えられています。

 歯周病の症状

健康な歯肉は薄いピンク色をしており、硬く引き締まっています。歯肉炎が発症すると歯肉の腫れ歯肉からの出血が認められるようになります。炎症が拡がり歯周炎になると、歯と歯肉との付着が破壊され、結果として歯と歯肉との溝(歯肉溝)が深くなり、歯周ポケットとよばれる3mm以上の深い溝が形成されます。さらに炎症が進むと歯槽骨の吸収がエックス線上でも認められるようになり、歯の動揺歯の移動が起きます。歯周ポケットでは細菌が増殖し、特有な口臭を生じます。また、膿が出たり、歯周膿瘍(膿のかたまりのようなもの)が認められるようになります。

 歯周病の検査項目とそれぞれの目的

それでは以下に歯周病の検査項目を列挙します。一般的なものからそうでないものまでありますが、全ての検査を必ず行う訳ではなく歯周病の重症度の診断や、治療計画を立てるために必要最低限の検査が行われます。大切なのは初診時にのみ行うわけではなく、治療が進んでその段階ごとの効果を調べるため、あるいは積極的な治療が終了し安定状態にある歯周病の状態をみるためにも定期的に検査は行われるということです。

 □ 問診

歯科を受診されたことは誰もが経験あると思いますが、まずは現在の症状いつ頃から起こったか、過去の歯科治療歴全身の状態喫煙歴服薬状況などを詳しく問診を行います。歯周病の種類によっては遺伝も関わっていることがあるため、両親のお口の状態を伺うことも少なくありません。

 □ 歯周ポケットの深さ

歯周病検査の基本に当たります。前述のように歯周病が進行すると歯周ポケットの値が3mmを超えてきます。深い歯周ポケットの有無を把握するために行います。

 □ 出血の有無

歯周ポケットを測定した際の出血の有無を記録します。歯周病の活動の程度を調べるために有効とされています。出血がある部位は歯周病の活動期にあると診断します。喫煙者では歯周病の活動期にあっても出血してこないことがあるため注意が必要です。

 □ 口腔清掃状態の確認

歯面に付着するプラーク中には歯周病の原因となる細菌が大量に存在します。歯周病の予防にはご自身のブラッシングが最も大切です。適切にブラッシングを行えているかどうかを確認します。

 □ 歯の揺れの度合いの確認

歯周病が進行すると歯を支える骨が破壊されます。骨の破壊が起こると歯は揺れるようになります。動揺の程度を数値化し、記録していきます。

 □ エックス線検査

前項にもあるように骨の破壊の程度を視覚的にも把握するためにレントゲンの撮影を行います。一回で全体を撮影するものや、二次元では骨の状態の診査が難しい場合には三次元的に骨も状態を把握するためのCT撮影を行うことがあります。

 □ 咬み合わせの検査

咬み合わせが悪く、過度に強い力がかかる歯は歯周病が増悪すると言われています。噛み合わせの状態を確認することにより付加的な原因因子を検索します。歯周病により骨が失われたことで歯の移動が起きてしまい、咬み合わせが狂うこともあるため重要な検査項目です。

 □ 汚れが付きやすい要素の診査

歯の形態異常合わない詰め物・被せ物により清掃が難しくなる要素を診査します。また歯と歯の隙間が空いた部位も食物が停滞しやすく、歯周病の好発部位となるためフロス(糸ようじ)などを用いて診査します。

 □ 口腔内写真撮影

カメラを用いて口の中の状態を記録します。歯科医師側が診査するためや治療の効果を確認するために重要であるだけでなく、実際の口の中を視覚的に患者さんに見せることで状態を説明するためにも非常に有効です。

 □ 上下の歯型取り

前項にもあった噛み合わせの状態や歯並びの状態を記録するために行います。患者さんが来院していないときにも噛み合わせの状態を診査することができます。また、模型にすれば実際見ることが出来ない方向(喉の奥からの視点など)から診査することもできます。

 □ 細菌検査

歯周病の原因は細菌です。歯周病の原因となる特定の細菌の有無や量を測定するために行います。歯周病の状態が改善すれば細菌数が減ることがわかっているため治療効果の判定のためにも有効です。唾液や歯周ポケットから採取する方法があります。

 まとめ

歯周病は複雑な因子が絡み合い発症するため、単独の検査だけで状態を把握することは困難です。検査ばかりで治療が進まないといった不安・不満を感じたことはありませんか?今回の記事で検査の重要性がお分かりいただければ幸いです。歯周病により歯を失うことなく健康なお口を保つために、自覚症状が何もなくても一度、歯周病専門医・認定医のいる病院で検査を受けてみることをおすすめします。