歯周病になると歯の色は変わる?

公開日:2020/09/17  更新日:2020/09/16

近年、歯周病や口の中の健康への関心が高まりつつありますので、ご自身の歯の色が気になる方も数多くいらっしゃると思います。
歯の神経が死んでしまうと歯が変色してしまうことは、ご存知の方も多くいらっしゃるのではないのでしょうか。
では、歯周病によって、歯が変色することはあるのでしょうか?
今回は、歯の変色の原因や、歯周病によって歯が変色することがあるのかについてお話しさせて頂きます。

執筆歯科医師
剣持 正浩(日本歯周病学会認定医)

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《保有資格》
日本歯科麻酔学会認定医。日本歯周病学会認定医等。東京歯科大学歯科麻酔学講座非常勤講師等。
《自己紹介》
劒持 正浩です。皆様のお口の健康の改善に努めることをお約束いたします。 

 歯の構造

口腔内に露出して見えている部分を歯冠といい、歯槽骨に埋まっている部分を歯根といいます。
歯冠は、表層からエナメル質・象牙質・歯髄となり、歯根は、表層からセメント質・象牙質・歯髄となります。一般的に歯の変色を訴えられる方が多い、歯冠部の構造についてもう少し、詳しく見ていきましょう。 

 1 エナメル質

歯冠の表面を覆っていて、人間の体の中で一番硬い半透明な硬組織です。

 2 象牙質

歯髄が入っている歯髄腔を囲んでいて、エナメル質ほど硬くはないですが、骨よりも硬く、淡黄色の硬組織です。また、象牙細管と呼ばれる管が歯髄からエナメル質の境目まで、走っています。

 3 歯髄

歯の内部に歯髄腔と言う空洞の中を、神経・血管・リンパ管などから成る軟組織を歯髄といいます。一般的にいう歯の神経のことをいい、象牙質に囲まれています。

 4 セメント質

歯根部の象牙質を覆う硬組織です。歯根膜繊維を介して歯根を歯根膜や歯肉と連結し、歯を支持する役割を果たしています。

 歯の色

歯は、前述した構造をしていて、エナメル質は半透明で、象牙質は黄色っぽい色をしています。そのため、歯が真っ白ではなく、黄色っぽく見えるのは、象牙質の色が透けて見えるためです。エナメル質が薄ければ、より象牙質の色を反映しますから、歯の質の違いにより、個人差が生まれます。

 歯の変色の主な原因は?

歯の変色には、う蝕(虫歯)や歯石、タバコのヤニ、コーヒーなどの外因性のものと、遺伝や、外傷などによる歯の障害、薬剤の作用による内因性のものに分けられます。(チームで成功させるホワイトニング デンタルダイヤモンド社より参照)

 外因性の着色

 1 う蝕(虫歯)

歯の一部が、白色・淡褐色・黒色場合は、虫歯が原因の場合があります。

 2 歯石

プラークが石灰化したもので、歯肉縁上歯石の色は乳白色から黄色、歯肉縁下歯石の色は黒色を呈します。

 3 金属(アマルガム・フッ化ジアミン銀など)

黒褐色から黒色

 4 タバコ・コーヒー・お茶など

食べ物や飲み物の色素で変色することがあります。一般的にステインと呼ばれ、褐色・黄褐色を呈すことが多いです。

 内因性の着色

 1 遺伝性

エナメル質形成不全症(褐色)
先天性ポルフィン尿症(ピンクから赤褐色)
先天性梅毒(褐色から黒色)
象牙質形成不全症(青みがかった褐色)
上記のような遺伝性疾患により、歯が変色することがあります。

 2 代謝性

カルシウム代謝異常やビリルビン代謝異常など

 3 失活歯(神経のない歯)

外傷などによりダメージを受けた歯や神経のない歯は、象牙細管内に血液の成分が入り込み、変色することがあります。

 4 薬剤の作用

歯が完成していない時期に、抗菌薬である「テトラサイクリン」を服用することで、歯にグレーや茶色の縞模様が出現することがあります。

 5 加齢変化

加齢に伴い、エナメル質が摩耗(磨り減る)することや、象牙質の厚みが増えることで、歯が黄色っぽく見えるようになります。
(チームで成功させるホワイトニング デンタルダイヤモンド社より参照)

 歯周病で歯は変色する?

重度の歯周病により、歯を支えている歯槽骨が溶けてしまい、歯周ポケットを経由して、象牙細管や、根尖孔(歯根の尖端)から細菌が感染して、歯の神経が死んでしまうことで起こる内因性の変色もありますが、一般的には、歯周病による変色は歯石による外因性のものだと思われます。

歯石は大きく分けると、歯ぐきより上にできる歯石(歯肉縁上歯石)と歯ぐきの中にできる歯石(歯肉縁化歯石)に分けられます。

 1 歯ぐきの上にできる歯石(歯肉縁上歯石)

✔︎唾液中のカルシウムリンなどの成分と歯ぐきより上のプラークが結びついて石のように固くなり、歯の表面に強固に沈着したものをいいます。
✔︎歯石の色は、主に唾液が関係しているので、乳白色から黄色です。
✔︎歯石がよくできる部位は、唾液の出口がある下顎の前歯の裏側と上顎の奥歯の表側や、食物の流れが悪い機能していない(噛んでいない)歯の表面にできやすいです。
✔︎歯肉縁上歯石は、歯科医院にある超音波で振動を与える器具などで、比較的容易に除去することが可能です。

 2 歯ぐきの中にできる歯石(歯肉縁化歯石)

✔︎浸出液といわれる体液に含まれる鉄分や、血液を取り込んで沈着する歯石です。
✔︎歯周ポケット内にあるので、自分では見つけにくいし、強くこびり付いているので、除去するのが大変です。
✔︎歯石の色は、茶褐色あるいは黒色です。
✔︎よくできる場所は、深い歯周ポケット内に多いです。その原因として、炎症がある深い歯周ポケットは、歯石と結びつく浸出液と呼ばれる体液がたくさん出ていますし、出血を伴うためです。


歯石は、歯の変色の原因にもなりますし、表面が凸凹しており、プラーク(細菌)がたまりやすくなるため、歯周病や虫歯になりやすくなります。
歯石がつかないような口腔内の環境をつくることが、口腔内の健康を維持するためには重要なことになります。そのためには、歯周病専門医や認定医がいる歯科医院を受診し、正しいブラッシング補助器具の使い方を身につけましょう。

 まとめ

一般的には、歯周病による変色は歯石による外因性のものだと思われます。
歯石は、歯の変色の原因にもなりますし、表面が凸凹しており、プラーク(細菌)がたまりやすくなるため、歯周病や虫歯になりやすくなります。
歯石がつかないような口腔内の環境をつくることが、口腔内の健康を維持するためには重要なことになります。そのためには、歯周病専門医や認定医がいる歯科医院を受診し、正しいブラッシングや補助器具の使い方を身につけましょう。