ガムやマウスウォッシュなどのアイテムは 歯周病にどの程度効果があるの?

公開日:2020/10/19

こんにちは、有楽町デンタルオフィス勤務、日本歯周病学会歯周病認定医の佐藤正敬と申します。
今回は、歯周病にガムやマウスウォッシュなどのアイテムがどの程度効果があるのかについて、分かりやすく説明できればと思います。皆さんは日々の歯磨きと併用して、マウスウォッシュは使っていますか? 日本は諸外国と比較して、洗口液の利用が低いことが分かっています。また、洗口液を途中で使わなくなった人の約25%が「高価」を理由に中断しています。漠然としたものではなく、なぜ洗口液を使うと良いのかを知れば、皆さんもきっと使いたくなるはずです。では本題に入る前に、まず口腔内環境には欠かせない唾液(だえき=つば)からご説明させてください。そうするとより理解が深まりますのでどうかお付き合い頂ければと思います。

佐藤 正敬(日本歯周病学会認定医)

執筆歯科医師
佐藤 正敬(日本歯周病学会認定医)

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東京歯科大学卒業。日本歯周病学会認定医、日本口腔インプラント学会会員。

唾液(だえき=つば)について

唾液は口の中に無意識にあり、あまり意識したことは無いと思います。しかし、実は唾液がないと口腔内は大変なことになります。では実際に唾液にはどのような効果、作用があるか皆さんご存じでしょうか?唾液には様々な役割があり、口腔内の環境維持に欠かせないものです。唾液の役割のうち一部をご紹介します。

~潤滑作用~

その名の通り潤滑油のような働きで、食べ物と交わることで飲み込みやすくする働きがあります。分かりやすく言えば、パサパサなクッキーなど、口の中の唾液がないと飲み込みにくいのは、この潤滑作用が上手く働かないからです。また、粘膜で覆われている口腔内を保護する作用も兼ねており、硬いものや尖ったものによる粘膜の損傷を防ぐ役割もあります。

~緩衝作用~

唾液には、口腔内のpH(酸性かアルカリ性かを表す単位)を一定に保つ作用があり、この作用を緩衝作用と言います。基本的に口腔内は中性に保たれています。それでは皆さん頭の中に梅干しを思い浮かべてみてください。いまお口の中に唾液が出てきませんでしたか? これは梅干しを食べたと錯覚し、一気に酸性に傾いた口腔内環境を一定にしようと反射的に唾液が出てきたのです。この緩衝作用がないと、酸性に傾いた口腔内を中性に戻すことができず、歯はどんどん溶かされてしまいます。

~再石灰化作用~

歯は食べ物や、歯に付着した細菌の産生する酸により脱灰(だっかい=歯質が溶けること)を起こします。唾液中にはミネラルカルシウムなども含まれており、それらの成分によって、歯の表面を修復する作用を持ちます。この作用を再石灰化作用と言い、非常に重要な役割の一つです。

~殺菌作用~

唾液には細菌の増殖を防ぐ酵素など、細菌に対し有効な成分が多く存在しており、唾液自体が高い殺菌性を有しています。傷口を舐めるという行為は実は理にかなった行為なのです。

このように、唾液が口腔内において非常に重要な役割を担っている事がお分かりいただけたかと思います。また、唾液の分泌量は日中よりも就寝時で減少するので、朝起きたときにお口の中がネバついて乾燥しているのはこのためです。寝ている間、唾液が出にくくなると、唾液は先ほど述べた効果を最大限発揮できません。そのため、寝ている間に口腔内の細菌数は上がり続けるのです。虫歯や歯周病は口腔内細菌が原因で引き起こされるため、寝る前にしっかりと歯磨きをすることで、口腔内の細菌数を減らしておくことが予防において非常に重要となってきます。

ガム・マウスウォッシュは歯周病にどの程度効果があるのか

それでは本題に移りましょう。ガムはどの程度効果があるのでしょうか。ガムは歯周病の直接的な予防にはなりません。ガムを噛むメリットは、唾液を出すことにあります。先ほど述べたように、唾液は様々な役割を持っており、口腔内環境を整えるのに重要です。特に女性は高齢になると唾液が出にくくなると言われています。また、口呼吸をしがちな方は口腔内が乾燥し、口臭や細菌が増殖しやすい環境になります。そのため、ガムを噛むことで唾液をしっかり出し、口腔内細菌が増殖しにくい環境を作ることが可能です。

続いてマウスウォッシュですが、マウスウォッシュと一括りにしても、大きく分けると「洗口液」「液体歯磨」の二つに大別できます。洗口液は歯ブラシをせず、適量を口に含んですすいだ後に出すことで、口臭予防効果口腔内の浄化・殺菌作用が期待できます。一方で液体歯磨は、口に含んで出した後に歯磨きすることが前提となっており、殺菌作用抗炎症作用血流促進効果などが期待できます。お買い求めになるボトルにしっかりと記載されていますので、確認後にご購入することをお勧めします。歯周病の原因は歯に付着したプラーク(細菌の塊)であり、プラーク中の細菌がさらに増殖を続けると、バイオフィルムという膜を形成します。バイオフィルムは非常に強力で、基本的に機械的な刺激(歯磨きなど)でないと剥がすことが出来ません。洗口液が効果を発揮するのはバイオフィルムを取り除くことではなく、歯に細菌が付着することを防ぐことにあります。つまり、しっかりとした口腔内ケアの後、バイオフィルムがない状態で洗口液を使い続けることで、細菌の付着を抑制する、それが洗口液の正しい使い方であり、最大限効果を発揮する使い方です。口臭予防や爽快感を与える成分が含まれるため、歯を磨かなくてもいいと錯覚する人も多いですが、それは全く違います。しっかりとした毎日の歯磨きを行うことが大前提であることを忘れないでください。もう一つ洗口液を使用することの利点として挙げられるのが、口腔内全体の細菌数を減らすことができる点です。口腔内で歯が占める割合は約25%であり、舌や頬、喉などその他の部位を含めて口腔内全体の殺菌を簡単に行うことができます。そのため寝る前にしっかりと歯磨きをし、洗口液でゆすいでから寝ることで、就寝時の唾液減少による細菌数増加の絶対数を減らすことが可能となり、虫歯や歯周病の予防に効果的です。

まとめ

ガム、洗口液はあくまでも間接的な予防が可能であって、歯周病の治療ができるものでは無いこと、そして特に洗口液については、使い方が重要であり、しっかりとした歯磨きが前提として必要だという事を忘れないようにしましょう。