知覚過敏を放置するとどうなるの?

公開日:2020/11/17

こんにちは、有楽町デンタルオフィス勤務、日本歯周病学会認定医の佐藤正敬と申します。
冷たいお水を飲んだとき、あるいはアイスを食べたときに歯がしみる症状がでたことがあるという方は多いのではないでしょうか。テレビのCMでも最近はよく聞くようになり、皆さんにとって一番身近な症状と言っても過言ではない「知覚過敏」について今日はお話ししましょう。

佐藤 正敬(日本歯周病学会認定医)

執筆歯科医師
佐藤 正敬(日本歯周病学会認定医)

プロフィールをもっと見る
東京歯科大学卒業。日本歯周病学会認定医、日本口腔インプラント学会会員。

知覚過敏とは?

まず、知覚過敏とはどういうものかお話ししましょう。歯は表面がエナメル質、その下には象牙質、そして象牙質に囲まれた歯髄(歯の神経)があります。エナメル質に神経はありませんので、普段熱いもの、冷たいものを噛めるのはそのおかげですし、しみるなんて事もありません。しかし象牙質には細い管があり、刺激が生じると内部の神経に伝わることで痛みやしみる症状がでます。知覚過敏という症状は、象牙質が口腔内に露出することで、外部の温度刺激や物理的な刺激により内部の神経に刺激が加わり、しみる症状を引き起こす状態を指します。

では、知覚過敏の原因は一体どのようなものが挙げられるのでしょうか。知覚過敏はいろいろなことが原因になりますが、その一部を下記に挙げていきましょう。

 ➀ 過度なブラッシング
 ➁ 歯茎が下がる
 ➂ ブラッシング不足
 ➃ 食生活

まずは、毎日のブラッシングによって表面のエナメル質が削れてしまい、象牙質が露出することで知覚過敏を引き起こしてしまうケースです。たとえどんなに硬い岩でも、波に削られてしまうように、毎日のブラッシングの力が強いとだんだんエナメル質が削れてしまい、歯の根元だけえぐれてしまいます。こうなると内部の象牙質が露出し、知覚過敏の原因となります。

次に歯茎が下がってしまったケースです。歯茎が下がるのにも歯周病や噛み合わせなど原因は多数ありますが、それらの原因によって歯茎が下がり、歯の根元が露出することで知覚過敏が引き起こされます。

また、過度なブラッシングによっても知覚過敏は起こりますが、逆にブラッシング不足でも知覚過敏は引き起こされます。これは歯についたプラーク(細菌の塊)が原因といわれています。知覚過敏が気になって来院される患者さんには、実際ブラッシング不足の方が非常に多いと感じており、大抵の場合しっかりとしたブラッシングを身につけて頂くと治るケースが多いです。

最後に、食生活が挙げられます。特に、酸性のもの(お酢、レモン、炭酸飲料など)を日常的に好んで摂取されている方が該当します。食べ物や飲み物に含まれる酸によって歯の表面のエナメル質が溶けてしまい、象牙質が露出してしまう酸蝕症(さんしょくしょう)という状態になると、必然的に知覚過敏が起こりやすくなります。

知覚過敏を放置するとどうなるの?

では、知覚過敏の症状を放置しておくとどうなるのでしょうか。知覚過敏は上記に記した原因によって刺激が内部の神経に伝わり、神経が過敏に反応してしまっている状態です。つまり、神経がその刺激に慣れてしまえば、知覚過敏の症状は収まります。実際に前までは症状があったのに、気づけば今は何も症状が無いという方も多いでしょう。しかし、知覚過敏は放置したからといって治るとは限りません。

また、原因によっては症状が悪化することもあり得ます。知覚過敏で恐ろしいのは、その症状ではなく、知覚過敏になった原因のほうです。もし歯茎が下がったことが原因ならば、歯周病に罹患している可能性もありますし、ブラッシング不足が原因ならば、歯周病に加えて虫歯になってしまっている歯もあるかもしれません。

そして食生活が原因ならば、生活習慣を見直す必要があります。知覚過敏という症状は、放置して治る事もありますが、何が原因かを確かめる必要はあるという事です。まずはしっかりと歯科医院を受診し、原因を特定することが重要です。

知覚過敏の治療

知覚過敏の治療にはどのような治療法があるのでしょうか。ここでは、あくまでも症状を取り除く治療についてお話します。

知覚過敏の治療は場合にもよりますが、基本的には段階的な治療法となります。まずは薬剤の塗布によって象牙質内の管を塞ぎ、刺激が神経に伝わりにくくする処置を行います。これは短期的な効果ですが、そのまま神経がその刺激に慣れてしまえば症状は無くなります。

もし、薬剤の塗布では症状が治まらない場合、次に行う処置としてコンポジットレジン修復を行います。この処置は、露出部位をプラスチックの材料で覆うことで、物理的に刺激をシャットダウンする方法です。プラスチック材料が神経への外的刺激を防ぐので効果は高いですが、プラスチックと歯の間から虫歯になるリスクもあります。

コンポジットレジン修復でも症状が治まらない場合、最終手段として抜髄処置(歯の神経を抜く処置)が適用されます。歯の神経がなくなるので、知覚過敏の症状はなくなります。しかし、それ以上に歯の神経がなくなるリスクが大きいため、日常生活に支障をきたすレベルでの知覚過敏症状でない限りは選択しないことが多いです。

このように、症状に対しては段階的な治療を踏んでいきます。これとは別に、知覚過敏の原因がはっきりとしている場合は、その原因に対する治療や改善を行っていくことが必要です。

まとめ

知覚過敏は様々な原因によって引き起こされます。そのため、まずは原因をしっかりと特定し、症状を抑える治療に加えて、原因に対する治療や改善を行うことが必要です。