訪問介護ではどこまで介助してもらえる?対象者や利用の流れも併せて解説します
公開日:2025/10/28

訪問介護は、自宅で暮らしながら介護を受けたいと考える方や家族にとって心強い制度です。しかし、どのようなサービスが受けられるのか、費用や利用条件はどうなっているのかと疑問を持つ方も少なくありません。
本記事では訪問介護ではどこまで介助してもらえるのかについて以下の点を中心にご紹介します。
- 訪問介護の仕組みと利用条件
- 訪問介護のサービス内容と利用時の注意点
- 訪問介護にかかる費用の目安と利用するメリット・デメリット
訪問介護ではどこまで介助してもらえるのかを理解し、自身やご家族に合った利用方法を考えるための参考にしていただければ幸いです。 ぜひ最後までお読みください。
監修
目次 -INDEX-
訪問介護とは
訪問介護とはどのような制度ですか?
訪問介護は、要介護認定を受けた方が自宅で生活を続けられるよう支援する公的制度です。介護福祉士や訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の住まいを訪問し、入浴や排泄、食事といった身体介護に加え、掃除や洗濯、調理などの生活援助を行います。対象となるのは自宅だけでなく、有料老人ホームやケア付き住宅など、居宅と認められる施設も含まれます。
少子高齢化が進むなか、家族だけで介護を担うことは難しいケースが増えています。訪問介護を利用することで、住み慣れた環境で暮らしを続けながら家族の負担も軽減できます。
なお、要支援の方には、市町村が行う総合事業を通じてサービスが提供される場合もあります。
訪問介護の利用にはどのような条件がありますか?
訪問介護を利用するには、市区町村に申請して要介護認定を受けることが必要です。要介護1から5に認定された方は、介護保険による訪問介護サービスを利用でき、日常生活の介助や家事支援を受けられます。
一方、要支援1または2と判定された方は介護予防訪問介護の対象となり、介護が必要な状態へ進まないよう、生活習慣の維持を目的としています。
介護予防訪問介護の利用回数には制限があり、自治体によって異なります。要支援1は週1~2回程度まで、要支援2は週1~3回程度を目安に定められています。
利用できる住まいには、戸建てやマンションのほか、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢の方向け住宅なども含まれます。ただし、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護付き有料老人ホームなどの入所施設に暮らしている方は対象外です。
訪問介護ではどのようなスタッフさんが訪問されるのですか?
訪問介護を担当するのは、専門的な研修や資格を持つ介護スタッフです。代表的なのは国家資格である介護福祉士で、身体介護から生活援助まで幅広い支援を行えます。加えて、介護職員初任者研修や実務者研修を修了した訪問介護員も活動しています。
いずれのスタッフも一定の基準を満たしており、自宅での暮らしを安心して続けられるよう支援体制が整えられています。
訪問介護はどれくらいの頻度で利用できますか?
訪問介護の利用頻度は、介護保険サービスを利用するか、自費で介護保険外サービスを組み合わせるかによって異なります。
介護保険サービスでは、要介護度ごとに月あたりの利用上限が定められています。例えば要介護1は27回、要介護2は34回、要介護3は43回まで利用可能とされています。1日に複数回利用できますが、同日に2回以上利用する場合は2時間ルールがあり、訪問の間隔を2時間以上空けなければ別の回数としてカウントされません。
一方、介護保険外サービスを利用すれば回数や時間の制限はなく、掃除や買い物など保険対象外の支援も受けられます。
このような制度の違いを踏まえ、自身や家族の暮らしに合わせて利用頻度を検討することが大切です。
訪問介護のサービス内容
訪問介護のサービスを受けるまでの流れを教えてください
訪問介護を受けるには、まず要介護の申請から始まります。市区町村の窓口で手続きを行い、認定調査や主治医の意見書をもとに審査会で判定されます。結果は申請からおよそ1ヶ月以内に通知され、要介護1以上と認定されれば介護保険による訪問介護が利用可能とされています。
次に、ケアマネジャー(介護支援専門員)が利用者の自宅を訪問し、心身の状態や生活環境、希望を聞き取ります。その内容をもとに、どのサービスをどのくらい利用するかをまとめたケアプランが作成されます。
最後に、ケアプランに沿って訪問介護事業所と契約を結びます。ここで具体的なサービス内容や訪問の頻度が決まり、実際の利用がスタートします。事業所選びに迷う場合は、ケアマネジャーに相談するとよいです。
訪問介護の介助はどこまで対応してもらえますか?
訪問介護で受けられる支援は、大きく身体介護と生活援助に分けられます。身体介護は利用者の身体に直接関わるケアで、日常生活に欠かせない行為を快適に行えるよう手助けします。生活援助は家事や身の回りの支度など、暮らしを維持するための支援です。
身体介護の例としては、食事や入浴、排せつ、着替え、移動や歩行の補助、褥瘡予防の体位変換などが挙げられます。条件を満たしたヘルパーであれば、たん吸引や経管栄養といった一部の医療的ケアも対応可能とされています。
生活援助には、掃除や洗濯、ゴミ出し、買い物や調理、食事の配膳や片付けなどが含まれます。医療行為にあたらない範囲での血圧測定や耳掃除など、簡単な健康管理も行われています。
このように、訪問介護は身体面と生活面の両方から支援されています。
訪問介護では対応できないケースを教えてください
訪問介護は、利用者本人の生活を支えるために内容が明確に定められています。そのため、日常生活に直接必要でないことや、本人以外への支援、医療従事者しか行えない処置などは対象外となります。
具体的に対応できないケースには、次のようなものがあります。
● 利用者本人以外への支援(家族の食事づくりや洗濯、部屋の掃除など)
● 日常生活に直結しない行為(庭木の手入れ、窓ガラス磨き、大掃除、引っ越し準備、ペットの世話など)
● 専門資格が必要な医療行為(インスリン注射、点滴、床ずれの処置など)
● ケアプランに記載されていないサービス
訪問介護は本人の自立支援を目的とした制度であり、市区町村によって細かいルールが異なる場合もあるため、事前に確認しておくことが大切です。
訪問介護の利用にかかる費用と注意点
訪問介護を受ける場合にかかる費用を教えてください
訪問介護の費用は、介護保険を利用するかどうかで大きく異なります。
介護保険を利用する場合は、自己負担が1〜3割に設定されており、サービス内容や時間区分ごとに料金が決まります。身体介護では20分未満、30分未満、60分未満、90分未満といった区分があり、生活援助は20〜45分未満、45分以上に分かれています。また、初回利用時や夜間、早朝、深夜の利用には加算がつき、費用が高くなることもあります。
一方、介護保険外サービスでは全額自己負担となりますが、利用回数や時間に制限はありません。さらに、家族分の家事や大掃除など、介護保険では対応できない依頼にも対応可能とされています。
訪問介護のサービスを受けるメリットとデメリットを教えてください
訪問介護には、自宅で暮らし続けたい方や家族にとってさまざまなメリットがありますが、デメリットもあります。
メリット
● 住み慣れた自宅で個別のケアを受けられるため、安心感が得やすい
● 家族の介護負担が軽減され、在宅介護の質が向上する
● 施設入所と比べ、必要なサービスだけを選ぶことで費用を抑えられる場合がある
デメリット
● 医療行為や専門的な処置には限界があり、病院での対応が必要になることがある
● 緊急時はスタッフ到着まで時間を要し、即応性に欠ける場合がある
● 利用できるサービス内容や回数は、ケアプランや要介護度によって制限される
このように訪問介護にはメリットとデメリットがあります。利用者や家族の状況に合わせ、必要に応じてほかのサービスと組み合わせることが大切です。
編集部まとめ
ここまで訪問介護ではどこまで介助してもらえるのかについて解説してきました。 訪問介護ではどこまで介助してもらえるのか、要点を整理すると以下のとおりです。
- 訪問介護は、要介護認定を受けた方が身体介護や生活援助を受けられる制度であり、対象やサービス範囲には明確な制限がある
- 費用は介護保険を利用すれば自己負担1~3割で済むが、利用時間や回数によって変動し、保険外サービスを組み合わせると柔軟性が高まる一方で全額自己負担となる
- メリットは自宅で安心して介護が受けられる環境ができることや家族の負担軽減であり、デメリットは緊急時の対応やサービス範囲の限界にある
訪問介護は生活を支える大切な仕組みですが、ケアマネジャーや事業所と相談しながら、自身に合った形で活用するのがおすすめです。
この記事が判断の一助となれば幸いです。最後までご覧いただき、ありがとうございました。




