ネットで購入できる性病検査キット|費用相場・検査をするべき症状
性病になっていないか心配になったときや性病かもしれないと思ったとき、忙しくて病院に行けなかったり病院で性病検査をしてもらうことに心理的抵抗があったりする方は決して少なくありません。
しかし性病に限らず病気は早期発見・早期治療が治療が大切です。
特に性病のような感染症は病気を早く認識し適切に対処することで、軽症のうちに治療介入できます。自分の身を守るだけではなく、大切なパートナーが性病に罹患することを予防し、仮にすでに罹患していたとしても症状が出る前に治療を始められます。
検査のために病院へ行くのが難しくてもネットで性病の検査キットを購入し自分が性病に罹患しているかどうかを調べることができるので、活用してみてください。
監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
目次 -INDEX-
ネットで購入できる性病検査キット
ネットで購入できる性病検査キットでは、複数の感染症を同時に検査できます。検査できる感染症は淋菌・クラミジア・梅毒・AIDS (後天性免疫不全症候群) ・B型肝炎・C型肝炎・トリコモナスなどがあります。
男性の場合には尿・血液・のどのぬぐい液を使うことが多く、女性の場合には腟やのどのぬぐい液や血液を使うことが多いです。採血が心配な方も簡便にできる採血キットが入っています。
検査をする時期が非常に重要で、時期が違うと感染していても誤って陰性と出てしまうことがあります。説明書に感染が疑われる行為からどれくらいの期間を空けて検査するべきか書いてあるので、説明書をよく読んで検査をしてください。
血液やぬぐい液を採取したら、付属の封筒に入れてポストに投函しましょう。1週間程度で結果をスマートフォンなどで確認できます。病院に行かなくても自分で性病検査をチェックが可能ですので、性病を疑った場合には積極的に検査キットを活用しましょう。
ネットで購入できる性病検査キットの費用相場
同時に検査する感染症の種類によっても費用が変わってきます。
1〜2種類の病原体を検査する場合には5,000〜6,000円(税込)のものが多く、10種類以上の感染症を同時に測定するキットの場合には10,000〜20,000円(税込)程度になることもあります。
これから紹介するそれぞれの性病の症状と照らし合わせてどの検査をすればよいか参考にしてみてください。
性病検査をするべき女性の症状
具体的にどのような症状のときに、何の病気を疑って検査していけばよいか、症状ごとにまずは女性の場合から以下に解説します。
特に女性の場合は性病にかかっていることを知らずに妊娠してしまうと、赤ちゃんにも影響が出ることがあるので注意が必要です。
これからご紹介する症状は男性も出現する可能性があるため、男性読者の方や男性パートナーに症状がある方も参考にしてください。
おりものの異常
性病に感染したときに出やすい症状の一つがおりものの量や臭い、性状の変化です。病原体によって特徴的な臭いや性状を呈するものもあります。
腟トリコモナス症では泡沫状になることが特徴的ですし、嫌気性菌と呼ばれる種類の細菌によって引き起こされる細菌性腟症では、臭気を伴う灰白色調のおりものが特徴的です。
またクラミジアや淋菌に感染している場合には、おりものの量が増えることがあります。
不正出血
月経以外のときに性器から出血が起きるのが不正出血です。
不正出血の原因には妊娠・ホルモン異常・生殖器の炎症・悪性腫瘍などさまざまなものがありますが、病気が隠れている可能性があるため不正出血があるときは産婦人科で相談しましょう。
性病に関しては、淋菌・クラミジア・トリコモナスなどの病原微生物が生殖器に感染することにより炎症が起き不正出血をきたします。
手足や体の発疹
皮膚に発疹が出る性病は梅毒が代表的で近年増加傾向です。ウイルスによる性行為感染症ではヒトパピローマウイルス・サイトメガロウイルス・EBウイルス・B型/C型肝炎ウイルス・ヒト免疫不全ウイルス (HIV) などがあります。
HIVに感染しているとほかの感染症にもかかりやすくなりますし、潜在感染しているウイルスの再活性化にも関与するため、感染が疑われるときは病院を受診しましょう。
性病以外の病気で発疹が出ることもあるので、皮膚に異常がみられるときはまずは皮膚科でご相談ください。
性器の痛み・かゆみ・かぶれ
女性器に痛み・かゆみ・かぶれを引き起こす性病は性器ヘルペス・梅毒・淋菌・腟トリコモナス症などがあります。
性器ヘルペスは初感染の場合には感染から2〜10日で痛みを伴う水疱が出現し、高熱を伴うことが特徴的です。梅毒の場合は感染から10〜30日で硬く盛り上がってきた皮膚が徐々にかぶれますが痛みは伴いません。
淋菌の場合は2〜7日で症状が出現し、おりものが増えるためにかゆくなりその後かぶれます。腟トリコモナスは性交後10日程度で症状が出現することも多いですが無症状のことも多く、淋菌同様におりものの増加によりかゆみやかぶれが生じる場合もあるでしょう。
また、性病ではありませんが疥癬というヒゼンダニが寝具を介して皮膚に感染する病気があります。激しいかゆみを伴う盛り上がりができ、性交渉がなくてもヒゼンダニがいる寝具の利用で感染するので清潔な寝具を使用するようにしましょう。
性器周辺のしこり
性器周辺にしこりをきたす性病は尖圭コンジローマ・梅毒・伝染性軟属腫です。尖圭コンジローマは、性行為でヒトパピローマウイルスに感染することで発症します。
感染後10日程でカリフラワーのような盛り上がりが性器にでき、徐々に大きくなりますがかゆみはありません。梅毒ではかぶれの項目でもご紹介しましたが、硬い盛り上がりが子宮頸部や腟にできます。
伝染性軟属腫では感染から2週間から6ヵ月と症状の出現時期に幅はありますが、豆粒くらいの大きさにしこりができ中心にくぼみがあるのが特徴的です。また、感染症に罹患すると太ももの付け根のリンパ節がしばしば腫れることがあります。
風邪の場合は一過性にリンパ節が腫れても自然によくなりますが、なかなか小さくならないときやだんだんと大きくなるときは病院でご相談ください。
のどの痛み・腫れ
口腔を使用した性交渉により、性器だけではなく咽頭痛をきっかけに性病が発覚することがあります。
これまでご紹介してきた梅毒・淋菌・クラミジア・HIV・性器ヘルペス・尖圭コンジローマの症状は、お口の中にできる可能性があるためです。梅毒では1期から4期まであり、それぞれのステージで違った症状です。
1期では特に唇・舌・扁桃に硬性下疳という硬い腫瘤がみられます。2期では口角炎による口角に炎症が起きる病変ができたり、粘膜斑という白や灰色の斑点がお口の中にできたりします。
現在は抗菌薬が開発されているため3期や4期まで進行している方はあまりみられません。HIVでは繰り返す口内炎で受診される方もいます。口内炎はHIV感染の初発の40~50%を占めるという報告もある程です。
発熱・リンパの腫れ
発熱・リンパの腫れは何かの病気に特徴的な症状ではありませんが、体で炎症が起きているときに出る症状です。
原因はさまざまありますが感染症・がん・自己免疫疾患でよくみられ、梅毒・B型肝炎ウイルス・C型感染ウイルス・HIVをはじめとして網羅的な検査を行います。
特にHIV感染をきっかけに免疫状態が低下し、多彩な感染症や白血病、悪性リンパ腫といった血液のがんを発症するケースもあるようです。当初は風邪だと思っていても長引く発熱・リンパ節の腫れがある場合には病院を受診しましょう。
発熱の記録をつけていると診断の手助けとなることがあります。また、HIVと聞くと不治の病なのではないかと思い受診が怖い方もいらっしゃるかもしれませんが、現在では治療薬が発達しており病気と付き合いながら社会で活躍されている方が多くいます。
性病検査をするべき男性の症状
次は男性が性交渉後に異変があった際に性病検査をした方がよい症状のご紹介です。
発疹やのどの痛み・腫れは女性の症状と重なる部分もありますが、男性の場合には尿道や精巣の症状が目立つ性病を中心にお話しします。
排尿時の痛み
排尿時に痛みが出るのは尿道に炎症が起きているために症状が出ます。尿道炎を起こす感染症は淋菌・クラミジア・トリコモナスが代表的です。
淋菌とクラミジアは同時に感染していることも多いので一緒に検査をしましょう。検査キットでも両方を検査できるキットが主流です。
感染してから症状が出るまでの期間はやや差がみられ、淋菌は感染から3〜7日、クラミジアは1〜3週間と淋菌の方が早く症状が出現します。排尿痛はクラミジアより淋菌の方が強いことが多いです。
尿道から膿が出る
尿道から分泌物が出るのも尿道炎の症状です。淋菌による尿道炎では膿状の分泌物が出ます。
一方でクラミジア感染のときには透明のさらさらしたまたはやや粘り気のある分泌物が尿道口から出ます。このような症状があるときには性病が疑われるため、性交渉は控えて病院を受診してください。
精巣の腫れや熱感
精巣の腫れや熱感は精巣上体炎による症状です。大腸菌のような尿路感染を引き起こす病原体や淋菌・クラミジアが尿道から入り込み、精巣上体に到達して炎症を起こすことで発症します。
発熱を伴い細菌感染が疑われる場合には抗菌薬による治療が必要です。ほかに似たような症状を起こす病気には精巣捻転という精巣が捻れて激烈な痛みを伴う病気や、ムンプスウイルスというおたふく風邪の原因となるウイルスに感染したときにも起きます。
生殖機能に影響を与えることもあるので早めに検査・治療しましょう。
発熱・リンパの腫れ
女性の場合と同様に発熱・リンパの腫れは男性においても何かの病気に特徴的な症状ではありません。
ただし若年から中年女性の場合には稀ではありますが自己免疫疾患(免疫が自分の体の組織を攻撃してしまう病気)にかかりやすい傾向があり、男性の場合はその可能性が下がり感染症やがんの可能性が上がります。
若い男性の場合はがんを発症していることは少なく、まずは感染症を疑い検査を進めていきます。長引く発熱・リンパ節の腫れがある場合には、治療が必要な病気にかかっている可能性があるので早めに病院を受診してください。
編集部まとめ
性病が人に知られたら恥ずかしい、梅毒やHIVは難しい病気というイメージがあって怖いなど心配に思われることも多いかもしれません。しかしネットで検査キットを買うこともできますし、行政で匿名で検査もできます。
現在は医療が進歩しており一般的な細菌による性病はもちろんのこと、梅毒やHIVの治療薬もあり、一度性病に罹患しても元気に暮らしている方が大多数です。性病かもしれないと思ったときには検査キットや病院を利用して検査をしてみてください。
もし検査が陽性になった場合は、まずは男性であれば泌尿器科、女性であれば産婦人科への受診をおすすめします。
自分や大切なパートナーを守るために避妊具による感染症予防や、罹患した際の早期発見・早期治療が大切です。
参考文献