「インフルエンザとコロナの症状」の違いはご存知ですか?見分ける方法も解説!【医師監修】
公開日:2025/10/25


監修医師:
居倉 宏樹(医師)
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浜松医科大学卒業。初期研修を終了後に呼吸器内科を専攻し関東の急性期病院で臨床経験を積み上げる。現在は地域の2次救急指定総合病院で呼吸器専門医、総合内科専門医・指導医として勤務。感染症や気管支喘息、COPD、睡眠時無呼吸症候群をはじめとする呼吸器疾患全般を専門としながら一般内科疾患の診療に取り組み、正しい医療に関する発信にも力を入れる。診療科目
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。
【インフルエンザとコロナ】症状の違い
インフルエンザの症状を教えてください
インフルエンザの代表的な症状は下記のとおりです。
- 38〜39度あるいはそれ以上の高熱
- 強い全身のだるさ
- 頭痛
- 筋肉や関節の痛み
- 咳や喉の痛み
- 鼻水
新型コロナウイルス感染症の症状を教えてください
新型コロナウイルス感染症で、多くみられる症状は下記のとおりです。
- 発熱
- 咳
- 喉の痛み
- 倦怠感
インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の違いを教えてください
インフルエンザと新型コロナウイルス感染症は、いずれも呼吸器の感染症ですが、原因となるウイルスが異なります。
インフルエンザはインフルエンザウイルスによって起こり、新型コロナウイルス感染症は2019年に確認された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によって発症します。新型コロナウイルス感染症はインフルエンザよりも感染性が持続する期間が長いため、周囲に広がる可能性が高いと考えられています。
潜伏期間や経過にも違いがあります。インフルエンザは感染から1〜3日で発症し、1週間程度で治癒することが多い傾向です。一方で、新型コロナウイルス感染症は1〜7日(中央値2〜3日)の潜伏期間を経て発症し、多くは発症から5~10日以内に軽快しますが、最大で14日ほど急性の症状が持続する場合もあります。
また、インフルエンザは回復すれば後遺症は残りにくいのに対し、新型コロナウイルス感染症では倦怠感や息切れなどが長期間続く後遺症が問題となる点も違いです。
参照:
『Symptoms of COVID-19』(CDC)
『新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A』(厚生労働省)
『新型コロナウイルス感染症診療の手引き第10.1版』(厚生労働省)
インフルエンザとコロナを見分ける方法
インフルエンザとコロナを症状だけで見分けることはできますか?
症状だけでインフルエンザと新型コロナウイルス感染症を正確に見分けるのは困難です。どちらも発熱、咳、喉の痛み、倦怠感など共通した症状があります。そのため、流行期にはどちらに感染したのかを自己判断で見分けにくいのが実情です。
ただし、違いがまったくないわけではありません。インフルエンザは発症が急で、朝は元気でも夕方には高熱と関節痛で動けなくなることがあります。一方、新型コロナウイルス感染症はのどの違和感や咳から始まって熱が出る場合があります。また、味覚や嗅覚の異常、息苦しさが強く認められるのは新型コロナウイルス感染症の特徴です。
それでも、これらの症状には個人差があるため、最終的な判断は医療機関で検査を行う必要があります。
薬局などでインフルエンザやコロナの検査キットは販売されていますか?
現在、薬局やインターネットで一般の方向けに抗原検査キットが販売されています。種類は インフルエンザ専用、新型コロナウイルス感染症専用、さらに両方を同時に調べられるタイプがあり、いずれも厚生労働省の承認を受けた体外診断用医薬品が存在します。これらは検査の精度や有効性が評価されており、信頼性の高い検査方法とされています。
一方で、市販されている製品のなかには研究用と表示された承認外のキットもあります。これらは検査の正確性が保証されていないため、パッケージに体外診断用医薬品と明記されているかを確認してから購入しましょう。
市販のコロナ検査キットの精度を教えてください
厚生労働省の承認を受けた抗原検査キットの精度は、発症から数日以内に使用すれば、感染している方を正しく陽性と判定できる確率が70〜80%程度とされています。PCR検査と比べると確率は少し劣りますが、結果が短時間でわかる利点があります。
ただし、発症初期や無症状の段階ではウイルス量が少なく、検出できずに陰性と出ることがあります。つまり、検査結果が陰性でも感染を完全に否定することはできません。
そのため、強い症状がある場合や感染の可能性が高い場合は、医療機関でPCR検査や抗原定量検査を受けることが推奨されます。
参照:『新型コロナウイルス抗原検査の有用性・注意点,活用方法について―ワクチン・検査パッケージの導入時期を迎えてー』(厚生労働省)
インフルエンザやコロナが疑われるときの受診の目安と検査
インフルエンザやコロナの受診サインを教えてください
インフルエンザや新型コロナウイルス感染症は、軽症であれば数日から1週間程度で回復することが多い傾向です。しかし、下記の症状がみられるときは、早めに医療機関を受診しましょう。
- 38度以上の発熱が続いている
- 身体のだるさが強くて動けない
- 咳や息苦しさがある
- 胸の痛みが出ている
インフルエンザやコロナで重症化リスクが高いのはどのような人ですか?
重要化しやすい方としては、65歳以上の高齢の方、妊婦さん、乳幼児、基礎疾患(糖尿病、心疾患、呼吸器疾患、腎疾患、免疫不全など)を持つ方が挙げられます。
新型コロナウイルス感染症に関しては、肥満(BMI30以上)の方も重症化しやすいことが報告されています。こうした方々は軽症であっても病状が急に悪化する可能性があるため、検査や治療を早めに受け、必要に応じて治療を開始することが推奨されています。
参照:『Obesity and COVID-19』(CDC)
病院で行われるインフルエンザやコロナの検査方法を教えてください
インフルエンザでは、迅速診断キットを使った検査が一般的です。この検査は、鼻や喉の粘膜を綿棒でぬぐって検体を採取し、15分程度でインフルエンザに感染しているかがわかります。なお、発症後24時間程度の方が精度は高まります。
一方、新型コロナウイルス感染症の検査ではPCR検査が信頼性の高い方法です。検査はインフルエンザと同じように鼻や喉の粘膜を綿棒でぬぐったり、唾液を用いたりして行います。迅速性を重視する場合には抗原定性検査が利用されますが、正確性はPCRに劣ります。
近年では、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症を同時に検査できるキットを導入している医療機関も多くみられます。
参照:『新型インフルエンザ 診療ガイドライン(第1版)』(一般社団法人日本感染症学会)
編集部まとめ
インフルエンザと新型コロナウイルス感染症は、いずれも発熱や咳、倦怠感といった共通の症状を示し、症状だけで区別することは難しい感染症です。
インフルエンザは発症が急激で短期間で回復する傾向がある一方、新型コロナウイルス感染症は症状が長引き、後遺症が残ることもあります。市販の抗原検査キットは受診の参考にできますが、発症初期では正確性が低く、最終的な診断は医療機関でのPCR検査などが必要です。
特に高齢の方や基礎疾患を持つ方、妊婦さんや乳幼児は重症化するおそれがあるため、軽い症状でも早めに受診しましょう。感染が疑われるときは、適切な検査と治療を受けることが推奨されています。
参考文献



