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「舌がんの生存率」はどのくらいかご存知ですか?初期症状も医師が解説!

 公開日:2025/10/31
「舌がんの生存率」はどのくらいかご存知ですか?初期症状も医師が解説!

ほかのがんと同じように、舌がんも進行度によりステージが分かれます。ステージが進む程治癒が難しくなるため、早期発見が重要なポイントになるでしょう。 そこで今回の記事では、ステージ別の生存率や舌がんの原因・症状・治療方法をまとめました。自覚症状のない舌がんを早期発見するセルフチェック法や、よくある質問にも答えていきます。 舌がんのことをさらによく知りたい方や気になる症状があって不安に思っている方は、ぜひ最後までお読みください。

宮島 悠旗

監修歯科医師
宮島 悠旗(くろさき歯科)

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愛知学院大学歯学部卒業。東京歯科大学千葉歯科医療センター臨床研修医修了。「噛み合わせ」 と「エステティック」 に配慮し、個々の要望に応じた矯正治療を追究している。歯学博士。日本矯正歯科学会認定医。

舌がんとは?

舌がんは舌にできる悪性腫瘍で、お口の中にできる口腔がんの約半数以上を占めています。ただし、口腔がんは全種合わせても全がんの1~2%しかありません。
患者さんの男女比は男性に多い傾向があり、好発年齢は50歳代後半ですが若年層にも見られるケースもあります。舌は自分で鏡を用いて見ることができるため、早期に発見することも難しくありません。
舌がんは早期では治りやすいので、触ってみて痛みや違和感がある場合は早めに医療機関で受診して早期治療に努めてください。

舌がんの生存率

舌がんの進行度は、ステージ1期から4期までの4段階に区分されます。1~2期を早期がん、3~4期を進行がんと呼ぶのが一般的です。舌がんの生存率は、がんの状態・ステージによっても異なります
また、当然ながら患者さんの体力や健康状態・免疫力によっても個人差があるでしょう。数字にあまり神経質にならず、参考程度にしてください。

ステージ別の生存率

舌がんの5年生存率は、国立がん研究センターの統計によると、ステージごとに1期:90%以上、2期:70~80%、3期:50~60%、4期:30~50%と報告されています。ただし、生存率は治療方法や患者の年齢・体力などによっても変動するため、個別の診断と治療計画が重要です。
早期であれば、5年生存率は9割と高く、治癒が見込めるでしょう。舌がんでは、がんがリンパ節に転移すると生存率は半減し、肺などに遠隔転移があるとさらに生存率は低下してしまいます。早期発見・早期治療に努めてください。

5年生存率

舌がんの5年生存率は、全体で60~80%です。1~2期の早期の場合では70~80%と高く、進行した末期がんの状態でも30~40%程度とされています。

10年生存率

生存率は、がんと診断されてからある一定の期間経過した時点で生存している割合のことです。10年生存率は、舌がんが確認された診断後10年間に渡って生存している患者さんの割合で、長期的な予後を示す指標です。通常は5年生存率を%で表します。

進行の速さ

舌がんの進行の速さは、罹患した部位によって異なります。患者さんのもともとの免疫力や健康状態によっても進行速度に差が出るでしょう。また、初期症状を見逃してしまったり、違和感に気付いていながらも放置してしまったりすると、ほかの部位に転移してしまうこともあります。
特に、頸部リンパ節に転移すると急速に進行するでしょう。舌がんの進行速度は個人差がありますが、飲酒・喫煙の習慣がある場合や、慢性的な口腔刺激が続く場合、またHPV関連がん(特に若年層での発症)が関与している場合は、進行が速くなることがあると報告されています。

舌がんの原因や症状

舌がんは早期発見できるかどうかで、生存率が大きく変わります。早期に発見できるよう、舌がんの原因や初期症状をおさえておきましょう。相談できる診療科も説明します。

舌がんの発症原因

不衛生な口内環境・喫煙や飲酒などの化学的な慢性刺激などが舌がんを誘引するのではないかと考えられていますが、原因ははっきりわかりません
また、合わない入れ歯をしている・歯並びが悪く先の尖った歯が常に当たっているなど、機械的な慢性刺激もリスク要因とされています。

初期症状

舌に固いしこりができる・ただれる・動かしにくい・しびれがあるなどの違和感をおぼえるようになります。口内炎が治りにくいなどの症状が見られることもあります。
ただ、初期には自覚症状はほとんどありません。また、舌がんの好発部位である舌の両脇の側面の粘膜が赤くなる紅板症・白くなる白板症が見られることもあります。

発症後の主な症状

がんが進行すると、舌の腫れ・異物感がある・舌が動かしにくい・触ると硬くて痛みがあるなどの症状が出てきます。さらに、痛みや出血が続いたり、口臭が強くなったりすることもあります。
口内炎が2週間以上続いているような場合は、早めに歯科・耳鼻咽喉科などの医師に相談してください。詳しい検査が必要なときは、頭頸部外科や歯科口腔外科など専門の医療機関に紹介状を書いてもらいましょう。

舌がんの治療法

舌がんの検査は、視診・触診・病理組織検査の後に確定します。必要に応じて、CT・MRI・PETなどで病変の転移や進行度を評価して治療方針を検討します。舌がんの治療には以下のような治療法を行うので、順番に説明しましょう。

手術療法

がん全体と周囲の正常組織の一部を切除する手術が、舌がんの中心的な治療法になります。外科的切除ではがんが大きいほど切除範囲になり、切除した部位をほかの組織で再建する手術も必要になるでしょう。
治療を効果的に行うための支持療法、手術後は食事や会話に影響が残るため、嚥下(飲み込み)や発音のリハビリテーションが重要になります。特に、言語聴覚士(ST)による専門的な指導を受けながら、構音機能の回復を目指すことが推奨されます。また、心と体の痛みを和らげる緩和ケアが必要なときには担当の医師に相談してください。

放射線治療

患者さんの身体の状態によって手術が難しい場合は、放射線治療など手術以外の治療を行うことがあります。早期の舌がんでは放射線治療単独、または手術と組み合わせる場合もあるでしょう。
また、T1~T2・T3で舌の表面からの腫瘍の深さが10mm以下のがんを対象に、組織内照射を行うこともあります。

化学療法

舌がんの治療は、手術とともに進行の程度で抗がん剤を用いた薬物療法を行うのが一般的な治療法です。手術後は病理検査の診断に基づき、担当の医師が再発のリスクが高いと判断した場合には化学療法と放射線治療を組み合わせて治療を徹底させます。

舌がんの生存率についてよくある質問

ここまで舌がんの生存率・症状・治療方法などを紹介しました。ここでは「舌がんの生存率」ついてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

舌がんの末期にはどのような症状が現れますか?

舌がんの末期では、腫瘍が大きくなり、リンパ節やほかの臓器への転移が見られます。著しく舌の機能が低下するため、会話や食事など普段の生活に支障が出てきます。発音や食べ物の摂取が困難になることもあるでしょう。それによって体重減少・疲労感など全身症状も現れるかもしれません。心と体の痛みを和らげる緩和ケアを積極的に取り入れ、前向きにリハビリに励んでください。

舌がんの生存率を向上させるためにはどうしたらいいですか?

舌がんの発症を抑えるには、口腔内を清潔に保つことが基本です。そのためには禁煙および適度な飲酒に控えるなど口腔の衛生面を改善しましょう。また、定期的に歯科医院で受診して歯石を除去し、むし歯・歯周病・合わない詰め物や入れ歯をメンテナンスしてください。また、術後のQOLを保つためにも自分のお口で食べ物を摂取することは欠かせません。術後に舌の機能が低下した場合は、看護師や言語聴覚士が中心となってリハビリテーションを行います。多種の専門家からなる嚥下リハビリチームとともに、術後の栄養支援の方法を実践していきましょう。

編集部まとめ

私たちの舌には、声を言葉にする構音・嚥下・味覚など生活の質(QOL)に不可欠な働きがあります。 舌がんは、早期発見によりほとんど障害を残さないで治療ができる病気です。初期症状を見逃しやすい舌がんですが、今回の記事を参考に早期の発見を心がけましょう。 口の中の腫瘍が良性か悪性か判断できないときは、触ってみて硬い場合は悪性腫瘍の可能性が高いです。改善しない口内炎など気になる症状があれば、躊躇せずに耳鼻咽喉科・頭頸部外科を受診してください。

舌がんと関連する病気

「舌がん」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

舌がんと関連する「重複がん」として喉頭・咽頭・食道・胃・肺などほかの臓器にがんが見つかることがあります。また、区別を要する病変として「白板症・紅板症」があります。舌がんになる可能性が高いことが知られているので、定期的に医師の診察を受けてください。

舌がんと関連する症状

「舌がん」と関連している、似ている症状は7個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 口内炎が2週間以上治らない
  • 舌やお口の中の粘膜が白っぽい
  • 舌に赤または白い斑点ができる
  • 舌の側面にしこりができる
  • 歯茎に腫れや出血がある
  • 舌を動かしにくく違和感がある
  • 食事や会話がしにくい
舌がんは初期症状に気付きにくく、見つかった時点で進行していることが多いがんです。上記のような症状を感じたら、なるべく早めに医師に相談してください。

この記事の監修歯科医師