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プロ野球選手が「160km」のボールを打てる理由はご存知ですか?

 公開日:2025/03/19

野球選手が160kmのボールを打てるのは、無意識に行われる脳内情報処理による力です。

本記事では、ボールを打つ際の脳の動きやプロ野球選手のような運動能力を手に入れるためのポイントを紹介しています。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

160kmのボールを打つバッターの神業は脳に秘密があった!

160kmのボールを正確に捉えるバッターの打撃は、まさに神業ともいえる技術です。
しかし、その裏には驚くべき脳の働きが隠されています。単に身体の反応だけではなく、脳が瞬時に判断する能力が、この離れ業を可能にしています。

プロ野球選手がボールを打つ際の脳の動き

脳神経の伝達イメージ
ここからは、プロのボールを打つ際の脳の動きを解説します。

ボールの運動軌道を予想

ピッチャーが投げたボールは0.4秒程でバッターの手元に届きます。そのため、ボールが来るまでにボールの軌道を予想しなければ打つのは難しいでしょう。
野球選手は、無意識のレベルでボールの軌道を予測し、打つ準備をしています。

運動計画に基づく意思決定

0,4秒の間にボールの軌道を見定めて、打てるボールかどうかを考えていては間に合いません。
そのため、ピッチャーの事前情報やバッターボックスに立った際の情報から、球種やコースを予測します。
加えて、ピッチャーが投げた後のフォームや腕の振り、速度や軌道から打てるかどうかを判断してバットを振ります。

運動タイミングを調節

パフォーマンスの高い選手は、ぎりぎりまでボールを追うため、適切なタイミングでスイングを始めることが可能です。
1軍選手と2軍選手の違いを測定した実験では、バットを動かすタイミングに0.1秒程の差があります。
1軍選手は、バッティング動作の修正が可能なタイミングまでボールを追うことで、適切な運動タイミングを図っていると考えられます。

プロ野球選手のような運動能力を手に入れるためのポイント

野球
ここからは、プロのような運動能力を手に入れるためのポイントを紹介します。

投球フォームとボールの挙動をよく見る

トップの選手は、投球フォームの違いやボールの挙動で、球種を見極めている可能性があります。
この能力は本人も言語化が難しく、脳が感覚的にとらえているものとされています。パフォーマンスを向上させるためには、この能力を向上させる必要があるでしょう。

質の高い反復練習で瞬時の判断力を鍛える

質の高い反復練習を行うことで、動作が修練されていき、自動化されるようになります。身体が反応するレベルになると、考える間もなく適切な行動が起こせます。
大リーグで打率が3割に満たないバッターのスイングスピードは、平均して0.28秒です。ピッチャーが投げたボールが0.4秒でバッターの手元に届くとすると、判断の時間は0.12秒しかありません。
この短時間でヒットを打つためには、的確な動作と判断力が必要になるでしょう。

まとめ

打者
野球選手が160kmのボールを打てるのは、ピッチャーのデータや投球フォーム、投球後球速や軌道などを無自覚に判断して打つまでの動作が修練されているためです。

パフォーマンスが高い選手は、ぎりぎりまでボールを追い、予測が外れた際にはスイングのタイミングを調節しています。

質の高い反復練習で判断を鍛えることで、バッティングのパフォーマンスも向上するでしょう。

この記事の監修医師