気になる産後の膣のゆるみの原因・治療法・セルフケア方法を婦人科医が解説!
出産は女性の体にとって一大イベントです。だからこそ、産後は「色々な不調があるのは当たり前」と、我慢してしまう人も多いのではないでしょうか。しかし、産後のトラブルは、医療機関で治療できることもあるとのことです。そのなかでも今回は「産後の膣のゆるみ」にフォーカスを当てて、「SENSHIN CLINIC」の三浦先生に解説していただきました。
※本記事で扱われている内容は保険適用外の治療が含まれます。リスクや副作用など担当医師から説明を受け、ご自身が納得した形で治療を受けるようにしましょう。
監修医師:
三浦 直美(SENSHIN CLINIC)
目次 -INDEX-
産後に膣がゆるくなるのは分娩が原因? 膣のゆるみや尿漏れなど、産後に気になる主な症状
編集部
「産後は膣がゆるくなる」と聞いたことがあります。本当ですか?
三浦先生
そうですね。分娩の際、膣内が引き伸ばされて中の空洞が広がるようになってしまい、ゆるみを感じることがあります。
編集部
どのような症状が表れますか?
三浦先生
膣がゆるんだときの代表的な症状として、「尿もれ」があります。くしゃみやジャンプ、スポーツをしたときなどに、尿もれするという産後の女性はとても多くいらっしゃいます。そのため、尿もれをしているかどうかが膣のゆるみの指標になると思います。
編集部
ほかにもありますか?
三浦先生
お風呂から上がってしばらくすると、膣からお湯が流れ出てくることもあります。ほかにも、タンポンを入れる際にゆるみを感じるようになって気がつく人もいらっしゃいます。逆に体を鍛えている女性は、産前はキツかったのが、お産を経てちょうどよくなるというケースもあります。
編集部
膣のゆるみを放置するとどうなるのですか?
三浦先生
一般的に、出産後の膣のゆるみは時間が経つと回復してくると言われていますが、完全に戻らない人も多くいます。さらに、膣の近くにあり内臓を支えている「骨盤底筋」のゆるみがあった場合、子宮下垂や子宮脱と呼ばれる症状につながってしまう可能性もあります。膣に違和感を覚えたら、産婦人科に相談するのがおすすめです。
産後に膣がゆるんだときの治療法 膣のゆるみは病院で治療できる? 膣圧トレーニングが必要?
編集部
医療機関では、どのような改善方法があるのですか?
三浦先生
膣の状態などによって治療法は異なりますが、一般的には磁気装置による骨盤底筋群の強化や膣トレーニング指導を最初におこないます。それでも改善がみられなかった場合は、レーザー治療などを検討していきます。なお、膣の感度については、膀胱の裏にヒアルロン酸を入れるという治療法もあります。
編集部
レーザー治療について教えてください。
三浦先生
レーザーの種類はいくつかあるのですが、世界的にも安全性が確立されている「炭酸ガスフラクショナルレーザー」は、当院でも採用しています。炭酸ガスフラクショナルレーザーを照射すると、熱刺激によって膣粘膜の繊維芽細胞が活性化して、新生コラーゲンが生成されます。そして、ふっくらと厚みのある上皮を形成して、分泌液の代謝機能の回復を目指します。
編集部
では、膣トレーニングについてはいかがでしょうか?
三浦先生
いわゆる「膣トレ」という言葉が、最近少しずつ一般的になってきたと思います。膣トレは、先ほど説明した「骨盤底筋」を鍛えるトレーニングのことで、出産後の膣のゆるみや尿もれが気になる人におすすめの方法です。
産後にゆるんだ膣の締まりをよくするセルフケア方法・膣圧アップを婦人科医が紹介
編集部
「骨盤底筋」と「膣トレーニング」について、もう少し詳しく教えてください。
三浦先生
「骨盤底筋」は文字通り骨盤の底にある筋肉で、子宮などの内臓をハンモックのように支えたり、尿が出ないように留めておいたりする役割があります。産後は、ホルモンの影響などで骨盤底筋がゆるんでしまうのですが、トレーニングによって鍛えることができます。通常の筋トレと同様に、「収縮」と「弛緩」を繰り返すことで、少しずつ筋力がついていきます。
編集部
具体的に、どのようなことをすると骨盤底筋が鍛えられるのですか?
三浦先生
私はいつも、患者さんに無理なく続けられるよう、シンプルに1つだけ指導しています。普段、座っているときに「おしっこを我慢する」「途中で止める」ようなイメージで、下腹部に力を入れるトレーニングです。1日10回程度おこなうと徐々に効果が出てくると思います。
編集部
自分でできるのはありがたいですね。
三浦先生
そうですね。体の内側にある筋肉なので収縮しているかがわかりにくく、コツをつかむまではトレーニングしている実感が得られないかもしれませんが、続けていると少しずつ意識できるようになってきます。すぐに結果が出るわけではありませんが、コツコツとやっていると、尿もれしにくくなる実感が得られるでしょう。ただし、人によってはトレーニングだけでは膣のゆるみが解消できない場合もあるので、効果が実感できない場合は一度、産婦人科に相談しましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
三浦先生
産後に限らず、昨今はインナーマッスルが弱っている女性がとても多いようです。普段から、ヨガやピラティスなどでインナーマッスルを鍛えるのがおすすめですが、産後の膣のゆるみは、これらのトレーニングと並行して、専門家にも相談してみましょう。「膣のゆるみ」というと、美容系のクリニックというイメージが強いかもしれませんが、産婦人科でも対応していますので、1人で悩まず気軽に相談してくださいね。
編集部まとめ
今回は「産後の膣のゆるみ」について、産婦人科医にお話を伺いました。「骨盤底筋」を鍛えること自分でもできそうですが、医療機関で治療する方法もあるので並行するのがおすすめとのことでした。デリケートゾーンの悩みを誰かに相談するのが恥ずかしいという人も多いかもしれませんが、産婦人科でアドバイスをもらうのもいいかもしれませんね。
医院情報
所在地 | 〒107-0062 東京都港区南青山3-1-30 PASONA SQUARE 3階 |
アクセス | 東京メトロ「外苑前駅」 徒歩5分 東京メトロ「表参道駅」 徒歩5分 |
診療科目 | 婦人科、乳腺外科、美容皮膚科、内科 |